機械制御
回転軸の軸振れXY方向・Z方向・軸倒れの検出機能を有する高精度で大口径のロータリエンコーダを開発する
東京都
エ・モーションシステム株式会社
2023年2月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 軸姿勢検出機能を有する中空大型の3D高機能ロータリエンコーダの開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 機械制御 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、ロボット、工作機械、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 軸振れ検出、磁気式・光学式ロータリエンコーダ、高精度、大口径スケール、故障予知 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
大口径な光学式円筒型格子スケール及び磁気式歯車型スケールを製作し、回転軸の周方位と軸方位の変位を検出する光学式及び磁気式センサを開発することにより、回転軸の「回転角度」、「軸振れXY方向」、「軸振れZ方向」、「軸倒れ」の値を測定演算し、各変位情報をエンコーダ信号として出力する3Dロータリーエンコーダを開発する。実現した光学式・磁気式エンコーダは、大型の回転テーブルや工作機械に搭載することにより、回転軸の動作精度の誤差を低減し、大型一体モノ加工の精度の向上に寄与するものである。
開発した技術のポイント
・産業技術総合研究所で開発した自己校正機能付ロータリエンコーダの原理をさらに高度化し、「軸振れXY方向」、「軸振れZ方向」、「軸倒れ」の3次元的な軸姿勢変化を検出するための演算アルゴリズムを構築した。演算アルゴリズムの検証のため、自己校正原理検証装置と、軸姿勢検出原理検証装置を開発し、評価を行い、角度の高精度化と3次元的な軸姿勢の検出機能を統合した原理を確立した。
・高精度の回転テーブルと恒温装置を導入し、レーザにより円筒型格子スケールを描画する技術を完成した。また軸姿勢検出のアルゴリズムを基に、回転軸の角度と軸姿勢変化の情報を出力する信号処理基板を開発した。これにより、光学式3Dロータリエンコーダを開発した。
・回転軸の「軸振れZ方向」、「軸倒れ」の軸姿勢を検出可能な、はすば歯車を開発した。またリアルタイムオートチューニング機能を有するセンサを開発し、高精度化を実現した。これにより、はす歯車型磁気式3Dロータリエンコーダを開発した。
具体的な成果
・光学式3Dロータリエンコーダ
‐レーザによる円筒型格子スケール描画装置によりφ400mmの円筒面に、円周方向・軸方向ともに10umのLins/Spaceを加工した格子スケールを製作。
‐回転軸の「XY方向変位」、「Z方向変位」、「軸倒れ」の変位を検出する光学式センサ及び信号処理回路を開発。 -開発した光学式3Dロータリエンコーダの角度精度は±0.5秒、「軸振れXY方向」検出は±0.5um、「軸振れZ方向」検出は±0.5um、「軸倒れ」検出は0.01mradであり目標値を達成した。
・歯車型磁気式3Dロータリエンコーダ
‐「軸振れZ方向」「軸倒れ」の軸姿勢を検出可能とするφ400mmのはずば歯車を開発。 -センサの角度誤差をリアルタイムで検出するオートチューニング機能を開発し、磁気式エンコーダの高精度化に成功。 -開発した磁気式3Dロータリエンコーダの角度精度は±1秒、「軸振れXY方向」検出は±0.5um、「軸振れZ方向」検出は±5um、「軸倒れ」検出は0.1mradであり目標値を達成した。
-「軸振れXY方向」の数値をAIにより自動分析を行うことにより、3Dエンコーダを導入した回転軸の軸ガタ寿命を予測できるシステムを構築。
知財出願や広報活動等の状況
回転機構の3次元軸ガタ及び角度高精度検出に関する論文・・・・・1件準備中
研究開発成果の利用シーン
・大口径な3Dロータリエンコーダを大型マシニングセンタの大型回転テーブルに組み込むことにより、回転テーブルの制御精度の向上に寄与し、大型部品の高精度な一体モノ加工が可能となる。、その結果、作業効率の向上や加工品の高精度化、強度や剛性の向上、薄肉設計による軽量化などのメリットが期待できる。
・歯車型磁気式ロータリエンコーダの高精度化により、油、水、振動などの悪環境で使用されてきた磁気式エンコーダの角度精度を大幅に改善でき、、従来磁気式が採用されていなかった高精度の回転テーブルへの搭載が期待できる。
・大口径円筒型格子スケールのレーザ描画技術により、大口径の円筒形スケール単体の需要にも対応できる。測定機器やその他アクチュエーター用エンコーダへの需要が期待できる。
・「軸振れXY方向」の数値をAIにより自動分析を行うことにより、3Dエンコーダを導入した回転軸の軸ガタを予測でき、軸受の寿命予測や工作機械の故障予知に役立つ。そこから工作機械の高速化・高剛性化・静音化・低振動化の機能向上や、信頼性、作業の安全性、工具の寿命管理、生産工程の改善などに加え、軸受の保守時期の把握が可能となり予防保全を推し進めることができ、工作機械のみならず、風力発電装置等の大型かつ高耐久性が要求されるあらゆる回転機器への適用が考えられる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・光学式軸ガタ検出ロータリエンコーダについては、川下製造業者装置の回転テーブルへの組込および評価を実施中。 ・歯車型磁気式3Dロータリエンコーダについては、大型回転テーブルに組込み、実機評価予定。
・歯車型磁気式3Dロータリエンコーダについては、工作機械用スピンドルモータを中心に高精度、軸故障予知可能な商品を提案予定。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・「角度の高精度化」「3次元の高精度な軸姿勢検出」により大型部品の高精度な一体モノ加工が可能となり、大型マシニングセンタ用大型回転テーブルへの性能向上に寄与できる。
・「大口径円筒型格子スケールを用いた3D高機能光学式ロータリエンコーダ」は、「角度」、「軸姿勢」を高精度に検出可能であり、特に高精度な制御が必要な回転テーブルへの搭載が見込まれる。
・「大口径はすば歯車を用いた3D高機能磁気式ロータリエンコーダ」は、「角度」、「軸姿勢」を高精度に検出可能であり、油、水、振動などの耐環境性を重視した回転テーブルへの搭載が見込まれる。
今後の実用化・事業化の見通し
・マシニングセンタ搭載用の大型回転テーブル、工作機械用主軸モータへの事業化に向け試作開発を継続する。
・川下製造業者3社とアドバイザーとの体制を確保し、装置メーカも引き込んだ体制を検討する。
・研究開発内容に関する外部の取組状況の調査、製品事業化に向けた市場や妥当性の調査、客先への調査などを進めつつ、研究内容や成果を学会発表していく。
実用化・事業化にあたっての課題
・3Dロータリエンコーダを川下製造業者の装置へ組み込んでの軸姿勢評価にはまだ多くのデータが必要であり、、実用化の検討に時間がかかる。 ・円筒型格子スケールの加工精度向上のため、恒温設備を整備した温度の安定化を含めた加工(描画)時間の短縮が課題である。 ・AIによる軸ガタ解析については、軸ガタの状態と装置故障原因の関連に関するのデータの蓄積が必要である。
事業化に向けた提携や連携の希望
事業化に向けて、回転軸の高精度化のニーズがある工作機械その他の川下製造業者との提携を希望している。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | エ・モーションシステム株式会社 開発部 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人長野県産業振興機構 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 光学計測標準研究部門 多摩川精機株式会社 第二事業所 |
アドバイザー | 学校法人静岡理工科大学 飛田 和輝 株式会社三共製作所 三菱電機株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | エ・モーションシステム株式会社(法人番号:5010701014061) |
---|---|
事業内容 | 電子部品・デバイス・電子回路製造業 |
社員数 | 14 名 |
生産拠点 | エ・モーションシステム株式会社(東京都品川区西五反田5-21-3) |
本社所在地 | 〒141-0031 東京都品川区西五反田5-21-3 |
ホームページ | https://www.e-motionsystem.biz/ |
連絡先窓口 | エ・モーションシステム株式会社 営業部 渡部 恵教 |
メールアドレス | y.watanabe@e-motionsystem.com |
電話番号 | 03-5437-1160 |
研究開発された技術を探す