立体造形
成形型の寿命を2倍以上に!CNT、CNFを活用した複合材料製成形型
愛知県
株式会社前田技研
2020年3月26日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | CNT;CNFを活用した複合材料製成形型の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
複合材料は航空機構造軽量化のため、787では構造重量の50%を占めている。今後、生産機数の多い中小型に対応するためには、高レートかつ低コストで生産する必要がある。寸法安定性等に優れた複合材料製成形型は部材硬化に必須であるが、繰返し使用によるクラック発生等の課題がある。そこで、CNT、CNFを活用した長寿命化成形型を開発し、生産課題を克服すると共に、軽量化が必至な自動車構造部材への活用も目指す
開発した技術のポイント
CNT、CNFを活用した長寿命な複合材料製成形型を開発
・炭化ケイ素(SiC)をCNT化した粒子(SiC-CNT)を樹脂に均一分散させたプリプレグ材料の開発
・プリプレグ層間に適用する電界紡糸法による(CNF)を開発
・成形型の長寿命化→従来の2倍以上
(新技術)
<CNT、CNFを活用した複合材料製成形型>
特徴
・CNT、CNFで補強(複合材料製成形型成形素材(プリプレグ材料)製造時、成形型製作時)
・長寿命化
・高熱効率化
具体的な成果
・SiC-CNT添加プリプレグ材料、電界紡糸CNF不織布を開発
‐SiC-CNT粒子の小径化(0.5m)、SiC-CNT粒子の解砕、SiC-CNT粒子の表面へ分散剤塗布等により、均一分散されたSiC-CNT添加プリプレグ材料を開発
‐電界紡糸NF不織布製作、耐炎化処理、炭化焼成処理の各条件の適正化を図り、電界紡糸CNF不織布を割れ無く安定に製作
・熱サイクル試験の結果、型寿命2倍以上を達成
‐成形硬化条件を設定し、SiC-CNT添加プリプレグ材料と電界紡糸CNF不織布を組み合わせた複合材料を製作、品質を確認
‐複合材料製成形型の耐久性について熱サイクル試験等を実施、クラックが発生する熱サイクル数は、SiC-CNT粒子無添加は100サイクル、重量比5%添加は200サイクル、7.5%添加は300サイクルであり、クラックの抑制効果を確認
‐結果、目標である型寿命2倍以上を達成
・切削加工装置を設計から製造まで実施
‐切削加工装置を設計・製造し、加工実験を行う
‐粗さは、二次加工を必要としないレベル(Ra3.2m以下)では、全ての切断条件において問題なし
・微小クラックおよびトランスバースクラックの発生個数(耐久試験結果)
〜SiC-CNT粒子無添加プリプレグ試料の微小クラック初回発生が100サイクルであることに対し、SiC-CNT粒子5%添加プリプレグ試料では200サイクル、SiC-CNT粒子7.5%添加プリプレグ試料では300サイクルとなり、SiC-CNT粒子を添加した試料の方が初回クラックの発生が抑制され、成形型としての耐久性が向上する可能性がある〜
知財出願や広報活動等の状況
出展:メッセナゴヤ2010(H22.10)、TECHBizEXPO2012(H24.11)等
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H27年度の実用化に向け、補完研究を継続
・アクリルナノファイバー不織布、カーボンナノファイバー不織布(CNF)のサンプル提供可能。有償、無償についてはサンプル仕様に応じて決定
製品・サービスのPRポイント
・新素材の開発→複合材料にSiC-CNT粒子を添加することで、複合材料製成形型のクラック抑制につながることを確認。これは今後複合材料自体の長寿命化の指針となる
・低コスト化→従来品に比べ成形型の寿命が2倍以上になることを確認したことにより、成形型費用の低下→製品価格のコストダウンの道筋をつけた
・強度向上→CFRPの層間に今回開発したナノファイバー不織布を導入する事で、CFRPに衝撃を加えた際発生する層間剥離を抑え、衝撃後のCFRPの強度(CAI強度)が10%向上
今後の実用化・事業化の見通し
・CNFは川下企業と共同で研究を継続、複合材料製成形型は量産化等の研究を実施
‐CNFについては、川下企業と共同して試作品の改良を実施するとともに用途展開を図っている
‐複合材料製成形型は、SiC-CNT粒子を添加することで長寿命化につながることを確認できたものの、SiC-
・CNT粒子のコスト面で実用化にはすぐに展開ができないことが判明。この粒子の量産化技術の確立と各技術のさらなる高度化を補完研究にて実施中
‐メンバーに川下ユーザーが入っているため、その指導を受けながら実用化、事業化につなげる。また、CNFについては展示会等への出展を通じて電池材料、フィルター等への用途展開を図る
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社前田技研 |
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事業管理機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究等実施機関 | 株式会社フジワラ 玉川工業株式会社 株式会社豊田自動織機 三菱レイヨン株式会社 国立大学法人名古屋大学 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社前田技研 |
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本社所在地 | 愛知県岡崎市池金町字金山76-4 |
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