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精密加工

液晶レンズの高度化のため、ガラスの高精度・微細薄板加工/多層ガラスユニット切断技術を開発

東京都

株式会社びにっと

2020年3月22日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 液晶光学素子を2層2重構造とし、レンズ効果を高める高精度・微細な切削技術開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 光学機器
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成22年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究では、液晶レンズにおける中間ガラスを薄板加工する高精度・微細な切削技術を開発する。当社は、液晶レンズを2層2重構造とすることにより、光の複屈折効果を高め、高速応答性に優れた液晶光学素子を提案する。この2層2重構造では、電極間の液晶を2層に分離するために、中間ガラスを設ける必要がある。この中間ガラスを薄板加工する高精度・微細な切削技術を開発するのが本研究の課題である

開発した技術のポイント

ガラスユニットの高精度・微細な薄板加工及び多層ガラスユニット切断技術開発
・ガラスユニットの高精度・微細な薄版加工
化学的ガラス薄板加工:200μm⇒30μm、加工後のガラス板厚精度:30μm±10μm、加工後のガラス表面平坦性:0.3μm/20mm
・多層ガラスユニット切断技術開発
薄板からなる多層ガラスユニットの切断:30μm厚のガラス4枚、200μm厚のガラス4枚の多層ガラスユニットを切断、ハーフ切断加工:隙間30μmからなるガラスユニット1枚のみを残し、全てのガラスを切断。残したガラスの表面にキズなどのダメージを与えない
(新技術)
<液晶レンズ>
・電圧制御が可能な屈折率分布レンズ
・機械的可動部が無く、高速応答が可能
・凸レンズとして機能させる場合、Vo電極に高電圧、Vc電極に低電圧を印加する
・Vcの電圧を0V→Vupと変化させることにより、屈折力大→小と変化させることが出来る

具体的な成果

・化学的研磨による高精度・微細薄板加工技術の開発
‐ガラス板を薄板化する手法としては機械研磨と化学的研磨(エッチング)があるが、機械研磨は研磨圧力でガラスが反るなどの問題点がある
‐そこで、加工面の均一性を保ちながら、板厚加工精度を確保する最適なエッチング速度の検討を行った。エッチング液の組成と組成比も検討し、速度を最適化したエッチング液を開発した
‐エッチング装置の仕様を定めるための実験を重ね、均一な板厚で、かつ平坦性の高いガラスエッチングを実現する装置を開発した
‐化学的研磨ではガラスの微妙な表面状態の違いにより平坦度が数μmのうねりが発生する。独自のノウハウによる機械研磨で仕上げを行うことでこの問題を解決した
・薄板からなる多層ガラスユニット切断の技術開発
‐多層ガラスユニットには、数十μmの薄い部分があり、切断時にこの部分が最初に損傷する。この薄さが切断速度の制約につながった。また、切断時に、切削されたガラス屑がギャップの隙間に入りこむ問題が生じた
‐この対策として、ガラスユニットの隙間部分にUV硬化樹脂を充填した。この結果、ガラス屑がギャップに入り込むことが防げ、切断速度は8mm/secにまで向上させることができた

知財出願や広報活動等の状況

・出展:マイクロマシン/MEMS展(H23.7)
・新聞:日本経済新聞(H23.8)、日刊工業新聞(H23.8)
・特許:「液晶光学素子およびその製造方法」(特願2010-232846)、「多層構造液晶光学素子およびその製造方法」(特願2010-288237)など関連特許6件

研究開発成果の利用シーン

アクティブレンズとして、オートフォーカス機能つきカメラモジュールに内蔵される

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H23年度に実用化に成功
・試作機・サンプルあり

製品・サービスのPRポイント

・小型化:携帯電話・スマホ向けには「薄い」がキーポイント、小型化も重要な要素
・耐久性:低電圧・低消費電力は電池寿命に効果。ノンメカニカルのため、故障が減少

今後の実用化・事業化の見通し

製品の完成度を高め、携帯・スマホ市場で事業化を進める
・関係先への試作品の紹介、デモなどの実施により、具体的な課題が明らかになった。これを受けて、今後の方向性や事業化への取組を検討している
・バーコードメーカーから実用化の打診を受けている
・提携先との協力体制を広げ、光学レンズとのユニット構造、カメラモジュール実装など、具体的な上市に向け活動を進める。携帯電話・スマートホン市場を狙う

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社びにっと
事業管理機関 株式会社びにっと

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社びにっと
事業内容 タッチパネル事業:タッチパネルの設計・製造・販売新規開発事業:液晶光学素子の開発など
本社所在地 〒190-0012 東京都立川市曙町2-32-1La鳳山ビル2F
ホームページ http://www.binit.co.jp
連絡先窓口 越石健司
メールアドレス koshiishi@binit.co.jp
電話番号 042-528-8823