精密加工
“1ミリ以下の高強度ステンレス線(SUS線)の異型伸線加工機や異型伸線技術の確立”“八角形断面を有する縫合針の実用化”
山口県
株式会社アルモウルド
2022年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 世界初・八角断面縫合針を実現するワイヤ伸線加工技術の高度化とその装置の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(信頼性・安全性向上)、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 高強度ステンレス線、異型伸線、直線矯正 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成28年度~平成29年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
目的を、“1ミリ以下の高強度ステンレス線の異型伸線加工機や異型伸線技術の確立”とし、補助事業期間中の重点目標を“八角形断面を有する縫合針の実用化”として、プロジェクトを進めた。
心臓血管縫合術や消化器外科における腹腔鏡下手術といった微細な術式に使用される医療用縫合針に対して、安定して把持しながら把持角度を自在に調整するため、把持部が八角形断面の縫合針が強く求められてきた。本研究では、従来加工が困難とされてきた八角形断面形状を持ったワイヤの伸線加工技術を高度化し、商用生産向け加工装置を開発することで、世界初の微細手術向け医療用縫合針を実現し医療技術の高度化に貢献することを目指した。
目標を明確にすることで、目的への道筋が明確化され、結果としてスムーズなプロジェクト運営が可能となった。
開発した技術のポイント
補助事業期間中の重点目標を“八角形断面を有する縫合針の実用化”とした
この目標の実現のために、“正確な八角形状の実現”、“捻れのない直線矯正の実現”という二つの課題を克服した、八角断面を有する直線カットワイヤの製作を行った
(新技術)
・1ミリ以下の高強度ステンレス線の異型伸線加工機や異型伸線技術の開発
・異型線の直線矯正加工機や直線矯正技術の開発
(新技術のポイント)
・異型伸線加工機の開発(図1)
・高精度な異型伸線加工技術の確立(図2)
・直線矯正装置の開発(図3)
・捻じりのない直線矯正技術の確立
具体的な成果
・異型伸線加工技術の確立
‐異型伸線の装置開発、また、加工技術を高度化したことで、0.260~0.450mmの範囲で、八角断面を有する2500MPaのステンレス線の製造方法を確立
・直線矯正技術の確立と連続生産検証
‐八角形状を維持した直線矯正方法を確立し、それを実現する新たな矯正装置を開発
・八角形断面を有する直線カットワイヤの品質分析
‐物性評価に必要な90度曲げ試験機‐トルク試験機を新たに開発し、工程検査における物性評価、形状評価の手法を確立
知財出願や広報活動等の状況
【意匠に係る物品】縫合針
意匠登録第1592785号(D1592785) (意願2016-014767)
意匠登録第1592988号(D1592988)(意願2016-014768)
研究開発成果の利用シーン
八角断面を有する直線カットワイヤの実現により、アドバイザーの手により、八角縫合針がリリースされた
・心臓血管外科での血管吻合や腹腔鏡下手術、また、外科手術(消化管吻合、眼科、形成外科等)で使用する縫合針への適用
・直線矯正装置の医療分野以外への応用
・ステンレス線に限らず、様々な難加工材への技術の応用
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
高強度ステンレス線(SUS線)の異型伸線技術を利用して、当面の目標として八角縫合針の実現に必要な八角断面を有するワイヤの実用化に取り組んでいる。2018年7月には川下企業である、株式会社河野製作所より、異型線を利用した八角縫合針の製品化のプレスリリースが行われた。現在、アドバイザーによる、無償提供による臨床評価が行われており、臨床現場からの情報を基に、八角断面を有するワイヤの最終調整を行っている段階である。この八角縫合針の有償販売に併せ、まずは、事業の成果物である八角断面を有するワイヤについて事業化への移行を行う。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、素材・部品製造
製品・サービスのPRポイント
・高強度線による、高精度な異型線の実現
・直線矯正装置は、他社の既存品には存在しない、異型線の捻じれのない直線矯正機能を実現
今後の実用化・事業化の見通し
アドバイザーが試作した八角縫合針による臨床評価が進行している。コンソーシアムからの有償による試作品の提供も一部で始まっており、事業化に向けた開発の最終段階にある。
・八角縫合針の市場拡大に応じて、しかるべきタイミングで、本研究を基礎にした量産機の製造販売を目指す
・異型線に対応した直線矯正の機能を武器に、直線矯正装置の医療分野以外への販売を目指す
実用化・事業化にあたっての課題
線径が細くなるのに伴い、当初判断していた以上に技術力が必要とされ、試行錯誤が必要となった。そのため、スケジュールに遅延が生じた。現在は、派生技術の開発を視野に入れつつ、ノウハウの蓄積を進めている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社アルモウルド 生産管理グループ |
---|---|
事業管理機関 | 地方独立行政法人山口県産業技術センター 企業支援部 イノベーション推進センター |
研究等実施機関 | ジャパンファインスチール株式会社 開発部事業開発グループ |
アドバイザー | 株式会社河野製作所 和歌山県立医科大学 長嶋光樹准教授 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社アルモウルド(法人番号:6250001002931) |
---|---|
事業内容 | 産業プラントから精密部品加工・組立まで「約束を守る」を企業風土として開発総合機械メーカーを目指す |
社員数 | 46 名 |
本社所在地 | 〒759-0207 山口県宇部市際波1770-1 |
ホームページ | https://www.almould.co.jp/ |
連絡先窓口 | 統括部長 古谷 富近 |
メールアドレス | furutani@almould.co.jp |
電話番号 | 0836-83-1011 |
研究開発された技術を探す