精密加工
著しく摩耗が少ない、医療・光学用ステンレス系射出成形金型のダイヤモンド切削技術
埼玉県
池上金型工業株式会社
2020年4月20日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 医療・光学用ステンレス系射出成形金型のダイヤモンド切削技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、航空・宇宙、食品、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、低コスト化 |
キーワード | ナノカーボン、ダイヤモンド工具、鏡面加工、射出成形金型仕上げ |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成26年度~平成28年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
医療・光学製品用の高品位な射出成形に使用されるステンレス系金型材を対象に、単結晶ダイヤモンド工具を用いた鏡面切削加工法の実用化を目指す。従来ステンレスとダイヤは加工中に化学反応を起こし高品位な切削が不可能であり、母材表面に施したメッキ面を切削して高品位な金型を製作していた。本実用技術開発により母材自体を直接切削加工する事が可能となり、著しい光沢面の創成と共に工程削減、短納期等の効率化につなげる
開発した技術のポイント
鉄(ステンレスも含む)の加工で生じる、拡散摩耗や高温酸化による化学反応で起こるダイヤモンド工具の摩耗を抑制し、高精度の切削を実現する実用化技術の開発・検証を行う
(新技術)
添加剤や潤滑剤等を利用した専用のクーラントを用いることで、工具すくい面に掛かる仕事量を低減させる効果を活用する
(新技術の特徴)
工具と被削材の接触部分において熱(摩擦熱等)の発生が抑制され、鉄とダイヤモンドの化学反応が起きづらくなる
具体的な成果
・ケロシン滴下のダイヤモンドピンとステンレス材の摩擦係数を1とした場合、低減率60%±2%を満たす実電流範囲と、ナノカーボン(NC)濃度範囲を明らかにし、加工専用クーラントの開発を行った
・平面の旋削加工では、表面粗さ:Ra3.98nm、形状精度(平坦度):PV0.06μmの均一な加工面が得られた
・球面の加工では、表面粗さ:Ra2.86nm、形状精度:PV0.08μmの高精度な加工面が得られた
・ステンレス系金型材のダイヤモンド工具における切削仕上げの球面金型を使用し、射出成形による樹脂製品テスト成形を行い、鏡面性は問題ないレベルに仕上がることを確認した
・供給システム装置及びシステム仕様を適正化し実用型の設計、製作を行った
研究開発成果の利用シーン
・ナノ粒子添加電解クーラント
‐単結晶ダイヤモンド工具専用
・金型
‐ダイヤモンド工具による鏡面レベル
・上記システム専用クーラント供給装置
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
加工としては問題なく適用できるが、加工効率を上げられず実用化に至っていない。現在、加工効率を上げるための切削液の開発を行っている。新たに切削液メーカーに協力頂き、開発中。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、製品製造、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・ナノ粒子添加電解クーラントの耐摩耗性
‐摩擦係数の低減率60%±2%
・優れた鏡面加工や高精度加工
‐球面形状精度:PV0.08μm、表面粗さ:Ra2.86nm
‐鉄系被削材の切削方法及び切削液供給装置(特許公開2010-64184)を利用
今後の実用化・事業化の見通し
・様々な加工方式、加工材料に適用したクーラントの専用化、例えば、一般鋼材、超硬合金、チタン等の他の材料への適用効果や、円筒加工、エンドミル加工、さらには研削加工等への様々な加工方式への展開を目的とする
・金型分野への期待される効果として、エンドミル形状の単結晶ダイヤモンド工具も近年使用されており、複雑形状の部品や微細部品もステンレス系金型材での製作が可能となり、超精密加工分野への適用も格段に広がる
実用化・事業化にあたっての課題
加工効率の向上が必須である。
事業化に向けた提携や連携の希望
液の供給装置、システムの開発設計が可能なメーカーを調査中
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 池上金型工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人埼玉県産業振興公社 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 東洋工学株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 池上金型工業株式会社(法人番号:7030001030648) |
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事業内容 | プラスチック射出成形用金型設計・製作、ニッケル電鋳製品製作、金型標準部品・特注部品・機材の製造販売 |
社員数 | 143 名 |
生産拠点 | 国内(埼玉県久喜市、同加須市、愛知県名古屋市)、海外(アメリカ、中国、メキシコ、タイ、インド) |
本社所在地 | 〒349-1148 埼玉県加須市豊野台2-664-8 |
ホームページ | https://www.ikegami-mold.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術開発グループ 松澤隆 |
メールアドレス | t-matsuzawa@ikegami-mold.co.jp |
電話番号 | 0480-78-0075 |
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