機械制御
自己熱再生熱循環システムによる蒸気系加熱プロセスに対して革新的な省エネルギー化、低コスト化
神奈川県
株式会社リッチストーン
2020年4月13日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 小型自己熱再生熱循環システムに用いる蒸気圧縮機の開発 |
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基盤技術分野 | 機械制御 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、産業機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 小型スクロール蒸気圧縮機、自己熱再生、濃縮・乾燥・蒸留、省エネルギー化、化石燃料削減 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成25年度~平成27年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
ものづくり産業の製造過程に、化石燃料を燃やしてボイラーで低温の水蒸気を作り、蒸留・濃縮・乾燥を行うプロセスがあるが、燃料量を大幅削減、製造コストの低減が課題となっている。本提案の自己熱再生熱循環システムは、ボイラーの燃料量を80%以上削減でき、ボイラーの設備規模も1/5以下にできる革新的な省エネルギー方法である。動力3.7~15KW級の高効率蒸気圧縮機を開発し、本システムの実現を目指す
開発した技術のポイント
(新技術)
代替フロン系の作動媒体用の膨張機や圧縮機の開発で培ってきた技術を生かし、独自のECO Scroll®(エコ・スクロール)式蒸気圧縮機を発明した。
スクロール式蒸気圧縮機の大型化には、遠心力による旋回転の機械的強度に耐えて軸動力を旋回運動に変換し、旋回スクロールに伝達しうる構造として、図1に示すようなスクロールが片持ちではなく、図2に示すような両歯両持ち3.7kW級のオイルフリーECO Scroll蒸気圧縮機を発明した。
(図1冷媒用ECO Scroll®膨張機発電機) (図2 新技術のECOScroll®蒸気圧縮機)
(新技術の特徴)
独自のECOScroll(登録商標:エコ・スクロール)式蒸気圧縮機を試作開発して、その圧縮性能を評価するとともに小規模自己熱再生循環システムへの適用
自己熱再生熱循環システムを用いることにより、比較的小型の分野の高効率の蒸気圧縮機による製造プロセス(蒸留・乾燥・濃縮プロセス)の省エネルギー、製造コスト低減が期待される。
具体的な成果
・独自の技術で特許取得したECO Scroll方式の3.7kW級蒸気圧縮機の試作開発を行い、性能評価項目の体積効率最高値96.9%、全断熱効率最高値67.0%が得られ、目標値の体積効率90%以上、全断熱効率65%以上を達成でき、高効率の圧縮機を実現することができた。
・図3に示すように試作開発したECO Scroll蒸気圧縮機を適用した自己熱再生熱循環システムを構築して、革新的な省エネ化のための性能評価試験を実施した結果、省エネ率85.4%が得られ、目標値の80%以上の達成を実証することができた。
(図3 構築した自己熱再生熱循環システム)
・図4に示すように一般的なスクロール式では達成されていない7.5~15kW級のECOScroll蒸気圧縮機の大型化を目指して、7.5kW級の蒸気圧縮機については設計と試作開発を行い、動作確認を行った。
(図4 7.5 kW蒸気圧縮機を組込んだ評価試験装置の全体構築と動作確認)
・15kW級の蒸気圧縮機については、7.5kW級の連結型および15kW級の単体蒸気圧縮機の設計検討を行い、大型化の15kWの製作の可能性を見極めることができ、本研究開発の課題及び目標はすべて計画通りに達成することができた。
知財出願や広報活動等の状況
本プロジェクトの知財として 【発明の名称】スクロール流体機械 特許5109042の特許取得により、技術移転などライセンス供与の売り込みを進めている。また、併せて、共同で開発製品化のパートナーを探している。
研究開発成果の利用シーン
開発した独自技術のエコスクロール型3.7~15kW級蒸気圧縮機と自己熱再生熱循環システムを用いることにより、蒸留・濃縮・乾燥を行うプロセス生産工程における革新的な大幅な省エネルギー効果をもたらすことが可能である。バイオマス等の乾燥工程及び廃液の濃縮工程などへの利活用が可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
試作品の製作及び信頼性試験、寿命試験などの取り組み段階で、試作品や製品の販売には至っていない。引き合いはあったが、信頼性試験と寿命試験の達成に至っていないので、試作の製作は控えた。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・小型のECO Scroll蒸気圧縮機をを用いた自己熱再生熱循環システムを実用化・事業化することより、ボイラーの燃料使用量を80%以上削減でき、ボイラーの設備規模も1/5以下とする省エネルギー化、低コスト化が期待できる。票に示すように適用分野の濃縮・乾燥・蒸留生産工程への導入をPRしていく。
(表1 ECO Scroll® 蒸気圧縮機の容量と適用分野との関係)
・ECO Scroll® 蒸気圧縮機を組込んだ自己熱再生熱循環システムの事業化には、自己熱再生が適用できる蒸気系加熱の生産プロセス分野ごとに、例えば、蒸留、濃縮、乾燥など生産プロセスに応じたシステムの製品化開発が不可欠となる。生産プロセスに応じたシステムの製品化開発の課題解決には、自社だけでなく、その適用分野のパートナ企業との連携が必要である。ECO Scroll® 蒸気圧縮機を組込んだ自己熱再生システムを作る能力のある企業との業務提携により、共同開発と事業化をすすめて、川下のユーザへの導入促進のPRを行っていくこととする。
・3.7kW級から15 kW級の小型蒸気圧縮機は、この規模では世界初の製品となる。
今後の実用化・事業化の見通し
・ECOScroll蒸気圧縮機の知的所有権に関して、国内では特許登録となっており、英国、韓国、米国、中国へは特許出願し、すでに韓国と英国は特許登録となった
・当社は研究開発型のベンチャー企業であり、製造部門を持たないため、蒸気圧縮機を委託製造できるパートナーと提携し、小規模の自己熱再生の熱循環システムの装置化販売の事業化においても専門のプラントメーカなどとの連携で進めていく
・アドバイザーの方々と及び業務提携先との打ち合わせを密に実施することにより、事業化に向けた研究開発を進める
実用化・事業化にあたっての課題
蒸気圧縮機の信頼性・耐久性の向上。
事業化に向けた提携や連携の希望
蒸気圧縮機を委託製造できるパートナーとの提携及び自己熱再生熱循環システムを製造できるパートナーとの提携。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社リッチストーン 本社 墨田区錦糸4-4-8板橋第2ビル2F |
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事業管理機関 | 株式会社リッチストーン 事業所 横浜市神奈川区泉町2-4 |
研究等実施機関 | 株式会社リッチストーン リッチストーン袖ヶ浦ラボ 渡辺公雄・石井芳一・藤本健・黄光宣 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社リッチストーン(法人番号:5010601041627) |
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事業内容 | 新技術製品の輸出入事業とECO Scroll技術開発 |
社員数 | 6 名 |
生産拠点 | 千葉県袖ケ浦市にあるリッチストーン袖ヶ浦ラボで研究開発を継続しており、小規模の生産は同袖ヶ浦ラボで行う予定。 |
本社所在地 | 〒221-0842 神奈川県横浜市神奈川区泉町2-4 |
ホームページ | http://www.richstone.co.jp |
連絡先窓口 | 渡辺公雄 石井芳一 |
メールアドレス | richstone@richstone.co.jp |
電話番号 | 045-322-2600 |
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