複合・新機能材料
ジルコニウム系化成処理技術の開発を通じて、塗装下地処理技術の機能維持と低コスト化を同時に実現!
大阪府
貴和化学薬品株式会社
2020年5月11日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 皮膜特性と環境性能を両立する塗装下地用化成処理技術の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械、建築物・構造物、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 塗装、化成処理、ジルコニウム、低スラッジ、密着性 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成23年度~平成25年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車の塗装部材には、耐食性と塗膜密着性を確保するための下地処理としてリン酸亜鉛処理が必須である。しかし、リン酸亜鉛処理は環境性能に課題を残している。代替処理技術としてジルコニウム系化成処理の開発が進んでいるが、実用化に至っていない。本研究開発では、ジルコニウム系化成処理液の組成を一新し、その環境性能を維持しつつ、リン酸亜鉛処理を凌駕する耐食性・塗膜密着性を有する塗装下地処理技術を開発する
開発した技術のポイント
ジルコニウム系化成処理を基本として、厚膜化すなわち製膜速度の著しい高速化と結晶形態の精密な制御を可能にすることにより、リン酸亜鉛処理を凌駕する耐久性・塗膜密着性と工程からの環境負荷の大幅な低減を達成した
(新技術)
ジルコニウム系化成処理を基本に、製膜速度の著しい高速化と結晶形態の精密な制御を可能にする技術を開発した(図1)
(新技術の特徴)
環境負荷の低減とともに、塗装部材の耐久性を大幅に向上させることが可能になる
具体的な成果
・高速製膜、皮膜結晶形態制御を可能とするジルコニウム系化成処理液を開発した
・皮膜特性の評価手法の開発をおこない,ジルコニウム系化成皮膜の耐食性および塗膜密着性の向上を実証した(図2)
・連続操業時の課題を抽出し,スラッジ量の低減、化成皮膜の安定性を実現した
知財出願や広報活動等の状況
随時国内外の展示会に出展
専門誌への寄稿(資料1)
研究開発成果の利用シーン
・ジルコニウム系化成処理液
・上記化成処理液及び技術を活用した表面処理、加工サービス
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・サポイン事業終了時点で事業化間近の段階まで到達することができた
・成果の事業化に関連して、成果の新聞掲載・発表、論文発表、講演会などの情報発信を実施することによって成果の発信を継続的に実施した
・開発試作品をお客様現場で評価頂き、ユーザー側からの目線で改善すべき点を見いだした
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
・塗装部分の表面処理コストの削減を実現
-従来のリン酸亜鉛処理では、表面処理の際に発生する処理液の処分とスラッジの発生により、環境負荷が大きく、処理コストが多く発生していた
-本研究開発を通じて開発したジルコニウム系化成処理は、リン酸亜鉛処理と同等の耐久性を保有するとともに、処理に伴う環境面への影響を低減することに成功した
-ジルコニウム系化成処理を使用することによって、表面処理に伴う諸コストの削減へと寄与し、高品質製品の価格競争力の強化が可能である
・塗装下地処理を通じた製品イメージ向上へと貢献
-環境負荷が少ない表面処理を導入することにより、製品の環境配慮を実現し、製品や企業イメージの向上に寄与する。
今後の実用化・事業化の見通し
・既に事業化し、お客様での現場ラインテストを踏まえ国内・海外で採用頂いている
・用途はリン酸亜鉛に見られる鉄材に限らず、アルミ材への適用にも成功し、掲げた特性のみならず用途展開にも多様性が出ている
・更にサポインで得られた研究成果を押し進め、次世代の表面処理薬剤の開発にもチャレンジしたい
・塗料メーカーとも共同開発することも計画し、新たな応用分野である電着塗装にも着手したい
・この化成処理液と組み合わせて脱脂工程も含め一気通貫で脱リン酸塩、化成処理の低温化を提案を実施を提案して行きたい
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 貴和化学薬品株式会社 |
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事業管理機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 電子材料研究部・表面工学研究室 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 貴和化学薬品株式会社(法人番号:2 1209 0102 3531) |
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事業内容 | 1.金属表面下地処理剤の開発製造販売2.化学品の仕入れ販売 |
社員数 | 70 名 |
生産拠点 | 豊中工場(大阪府) 中国の2拠点にグループ会社も展開 |
本社所在地 | 〒564-0062 大阪府吹田市垂水町2丁目20-25 |
ホームページ | http://www.kiwachem.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術部 能浦 |
メールアドレス | s.noura@kiwachem.co.jp |
電話番号 | 06-6170-6320 |
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