研究開発された技術紹介

自動車産業では高性能内燃機関の製造に向け、燃料噴射装置の高圧・高応答化が急務であり、その対策として同装置部品の小型化ニーズがある。同装置には1ミリ以下を含む小径穴部品が多く、国内の現行モデル当該部品の大半は当社内面研削盤で加工している。しかし、更なる小型化対応へは、工具回転に依存する加工では達成できないレベルにあり、マイクロ切削・研削加工の高度化を図るべく、超音波・電解作用の援用加工の確立を行う

超音波振動の援用と同時に電解作用の援用も可能とした超音波電解ハイブリッド内面研削盤の開発を行い、従来研削では加工不可能な高アスペクト比の内面研削の高能率・高精度加工を実現する
(新技術)
超音波電解ハイブリッド内面研削盤の開発を行う
(新技術の特徴)
従来研削では加工不可能な高アスペクト比内面研削の高能率・高精度加工が可能になる

・超音波振動を援用した内面研削加工の確立
‐加工条件の最適化と超音波スピンドルの最適仕様を構築した
‐マイクロ工具設計と機能性表面の創成実験実施
‐内面研削用超音波スピンドルを試作した
‐超音波援用効果の最大化とその検証を行った
・超音波電解ハイブリッド内面研削盤の開発
‐電解研削専用電源の試作、クーラントスルー型超音波スピンドルの開発とその性能評価を行った

【特許】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
特願2011-101583・特許5827031・「高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤及びその研削方法」
特願2011-281793・特許5903689・「高周波数振動内面研削盤」
特願2012-107417・特許5909148・「内面研削盤及び内面研削方法」
特願2012-155396・特許5935089・「高周波振動援用電解研削方法及びその装置」
PCT/JP2013/002519（原出願：特願2012-155396）・US9751142B2・「高周波振動援用電解研削方法及びその装置」
特願2013-191659・特許6141157・「高周波振動援用加工装置及びその加工方法」　　　　　　　　　　　　　　【文献】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
S．Kobayashi，K．Shimada，C．Murakoshi，K．Koike，M．Takahashi，T．Tachibana and T．Kuriyagawa：Development of an Ultrasonically-Assisted Electrolytic Grinding System，IJAT，V7，N6 (2013) 654-662
小林敏，高橋征幸，立花亨，厨川常元，嶋田慶太：マイクロ超音波・電解ハイブリッド内面加工装置の開発，精密工学会誌，V80，N2 (2014) 146-150
小林敏，立花亨：超音波電解内面研削加工装置の開発，機械と工具，V4，N6 (2014) 19-24"

・従来研削では加工が難しい部品へ超音波電解ハイブリッド技術を活用した製造・受託サービス
・高能率、高精度を実現する研削盤
・高能率、高精密が求められる小型化部品

事業期間終了時点では、超音波電解ハイブリッド内面研削盤本体、内面研削用実用型超音波スピンドルユニット、および超音波電解研削用スピンドルユニット、さらに付属する電解用パルス電源と専用動力計を試作し、各々テスト加工に供し、性能確認を行ったが、専用工具のバリエーションが課題で販売・事業化には至っていない

・内面研削部品の高精度・高能率生産への貢献
‐内面研削部品製造ラインへ新開発の超音波ユニット搭載内面研削盤を導入することで、従来困難であった加工条件で仕上げ面粗さを向上できる
‐動力計付き超音波ユニット搭載内面研削盤を導入することで、研削抵抗の自動制御を可能とする独自の定圧研削技術により、生産能率を向上できる
・小径深穴燃料噴射装置部品量産化への寄与
‐開発した超音波電解研削加工技術により、効率向上が困難であった高硬度・難削部品の量産ラインにおいて、高能率で高精密の加工精度が得られる
‐従来研削では不可能だった内径0.8mm、アスペクト比10の内面加工が実現できるため、特に各種小径深穴部品において高精度な量産化が可能になる

・内面研削用実用型超音波スピンドルユニットについて、高硬度・難削部品の量産に対応した最高回転速度50000min-1仕様ユニットを製作中である
・超音波電解ハイブリッド内面研削盤は、超音波電解研削用スピンドルユニットの耐久試験、および付属する電解用パルス電源と専用動力計のいずれも熱的変化抑制のための改良が為されると受注可能となる
・自動車部品産業への展開を予定しているが、難削材を対象とした医療機器産業等への展開も期待できる　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ・超音波電解研削用スピンドルユニットへの適応工具のバリエーションを増やすべく超音波発振回路を改良中

・超音波電解研削用スピンドルユニットへの適応工具のバリエーションを増やすこと

・本事業での研究共同体メンバー、アドバイザーと今後も連携を保って事業化を進めたい