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精密加工

冷間鍛造・CR技術が切り拓くステンレス軸受の量産品質確保と製造コスト低減の可能性

北海道

北日本精機株式会社

2020年3月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ステンレス製品の冷間鍛造・冷間ローリング(CR)加工技術開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、自動車、食品、印刷・情報記録、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード 耐腐食性、防錆性、低コスト
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成21年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

防錆性、耐腐食性、耐熱性等の面から川下産業界での潜在需要が多いステンレス製品は、生産技術又製造コストの課題に対し新たな技術開発が遅れている。本計画は、弊社が高炭素クロム軸受鋼の生産技術として確立した「冷間鍛造・冷間ローリング」技術をステンレス軸受け鋼の加工へ応用、その加工に適した材料、金型・工具、熱処理等の課題を解決し、コスト削減とフレキシブルな供給体制を確立する

開発した技術のポイント

・ステンレス軸受の製造コスト低減に向け、下記の達成を目指す
‐必要となる材料単重を30~40%削減し、材料歩留まりを向上させる
‐材料の割れ発生据え込み率を現行の64%から70%へ改善
‐金型・工具寿命をSUJ2比90%以上へ改善
‐加工方法を変更し、加工トータル時間を現行の38.8秒から15.9秒へ、1/2以下に短縮
・冷間鍛造/CR加工の導入
‐ステンレス軸受鋼の成分組成研究
‐金型、工具・材料の研究
‐焼きなまし温度の研究
(新技術)
<新たなステンレス軸受製造工程>
・「冷間鍛造」→「焼きなまし」→「CR」→「平面研削」→「外面研削」→「切削」
(特徴)
・加工時間の短縮(1/2いかに短縮)
・材料の歩留まりの改善(必要となる材料単重を30~40%削減)
・金型・工具寿命の改善
・トータル製造コストダウンに寄与

据え込み試験
具体的な成果

・ステンレス軸受鋼の最適な成分組成条件を決定
‐材料となるステンレス軸受鋼のSiとmnの含有量を規格内(1.00%以下)で調整し、最適条件となる成分組成mn:0.25%、Si:0.20%を導出
・金型の材質・コーティング選定、焼きなまし温度の最適化
‐冷間鍛造における金型を材質:REA35、コーティング:TiCNにし、金型の摩耗や塑性変形・破壊につながる変形抵抗の低減を確認
‐次工程の焼きなましの最適温度を550[℃]にし、製造工程にかかる総コストを低減
・最適なCR加工条件により、総コストの削減と小ロット多品種生産に目途
‐CR加工におけるCR送り速度:8[m/min]、CRワーク回転数:85[min-1]、CR送り圧力:6[Pa]の最適条件を導出し、工具寿命改善、加工時間短縮、CR完了品の外径真円度抑制の効果を確認
‐上記の製造条件による総コスト削減率は、目標値の16.7%には及ばずも11.1%のコスト削減を達成
‐従来品と同等以上の品質確保、小ロット多品種生産にも目途
・ステンレス軸受の冷間鍛造・CR加工最終選定最適条件
~タグチメソッドを用いた実験結果により材料成分、金型、CR送り速度/回転数/送り圧力、焼きなまし温度の最適条件を導出~
・冷間鍛造・CR加工への変更によりトータルコスト削減率11.1%を達成
~各コスト削減率に加え、切削加工から冷間鍛造・CR加工への変更による材料歩留まりおよび加工時間の改善等を含めると合計のコスト削減率は11.1%~

ステンレスベアリング
金属組織
知財出願や広報活動等の状況

出展:ものづくりフォーラム2010(H22.11)

研究開発成果の利用シーン

自動車関連部品、医療機器、食品加工機、釣具等の耐腐食性や防錆性が要求される機器の部品に利用

用途例 自動車関連部品
用途例 医療機器
用途例 食品加工機
用途例 釣り具

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・金型・治具の表面処理(コーティング技術)の改善など、コスト低減となる耐摩耗性工具の開発などの取り組みについて継続中

CR加工前後
提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

低コスト化:製造コストの11.1%削減

ステンレス軸受
今後の実用化・事業化の見通し

金型・治具の耐摩耗性向上を継続し、量産化への対応を含む事業化を目指す
・量産化対応(金型・治具の耐摩耗性向上など)について補完研究を継続中
・製造コストの削減について一定の効果は得られたが、量産化への対応に課題が残り、製品価格の引き下げにつながらず、事業化には時間を要する

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 北日本精機株式会社 西芦別工場
事業管理機関 北日本精機株式会社
アドバイザー 旭サナック株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 北日本精機株式会社(法人番号:9430001048251)
事業内容 小径玉軸受の製造、薄肉形玉軸受の製造
社員数 600 名
生産拠点 北海道芦別市
本社所在地 〒079-1371 北海道芦別市上芦別町26-23
ホームページ https://www.ezo-brg.co.jp
連絡先窓口 生産技術部  横須賀 紀昭
メールアドレス yokosuka@ezo-brg.co.jp
電話番号 0124-22-1250