精密加工
グリップモード解析による加工状態の可視化・定量化で、難削材研削加工の自動化・省力化を支援
岐阜県
株式会社ナガセインテグレックス
2022年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 複合耐摩耗工具のグリップ解析に基づいた適応・学習制御による新研削システムの開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車、工作機械、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 異種材料金型、グリップモード解析、適応・学習制御、可視化・定量化 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
電気自動車や半導体の高性能化を支える部材産業では、工具や金型の高機能化のため高硬度・高脆性の難削材を含む異材接合複合素材の利用が拡大しており、その超精密加工の生産性向上が望まれている。本研究では、加工中の機械や砥石状態のリアルタイム計測・加工条件の最適化制御・未知の材料への適応学習機能を有する革新的な超精密平面研削盤を開発し、従来の熟練者の勘と経験による条件最適化から脱却し、生産性向上に寄与する。
開発した技術のポイント
・摩擦係数と研削抵抗を中心とした加工状態判別手法の開発
-グリップモードの解析のための摩擦係数の導出
-グリップモードの解析方法の確立
・加工中の砥石状態の可視化と定量化
-リアルタイム計測加工システムの開発
-データ処理手法の構築及び処理ユニット開発
・グリップモード解析に基づく複合耐摩耗工具材の最適加工パラメータの導出
・グリップモード解析に基づく適応・学習制御
具体的な成果
・摩擦係数と研削抵抗を中心とした加工状態判別手法の開発
-研削加工において砥石とワーク間の加工現象を摩擦の変化で扱える事を実証できた。
-研削加工中の砥石の状態を摩擦の概念で定義できた事によって、加工中の摩擦係数の変化や加工機の状態を把握する事で研削加工メカニズムを捉える事ができ、研削加工においてグリップモードという新概念を投じる事ができた。
・加工中の砥石状態の可視化と定量化
-加工中の砥石とワークの状態をリアルタイムに計測するシステムの開発に成功した。
-リアルタイムに計測するシステムから得られるデータを元に高速で演算処理及び制御指令を出力するユニットの試作に成功した。
・グリップモード解析に基づく複合耐摩耗工具材の最適加工パラメータの導出
-グリップモード解析を加工中にリアルタイムで行う事が可能となった事で、加工中の砥石とワーク間の状態が加工パラメータを調節しながら確認する事が可能となった。
・グリップモード解析に基づく適応・学習制御
-加工機が機体内に組込まれたセンサから得られる情報を元に自身に適切な動作に調整する適応制御が可能な工作機械の開発に成功した。
知財出願や広報活動等の状況
1.知財出願について ・令和1年12月25日付け特許出願番号2019234356「回転工具を用いた加工方法及び工作機械」として特許出願し、現在公開中。
2.広報活動について ・2021年10月に開催された展示会(メカトロテックジャパン2021)にて令和2年度に製作した加工評価システムをユニット化して出展。
研究開発成果の利用シーン
加工中の摩擦係数の変化グリップモード解析をリアルタイムに行う事が可能となったことで、経験の浅い若手作業者への研削支援を促し、最終的に品質向上やコストダウンにつながると考えている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
加工中にリアルタイムに状態観察し、解析を行い得られた加工中の砥石の接触状態を検出する技術は、本事業の派生技術として商品化を進めており、2022年度を目途に発表・販売開始を計画している。加工中に摩擦係数や研削抵抗をリアルタイムで計測するための特殊なスピンドルユニットは、加工機の中に組込む事のできるセンシングユニットとして、工作機械メーカへの販売を視野に入れている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
新たな研削加工の概念ともいえるグリップモードの定義を主にして、各々の装置を用いて実験や解析を行い、加工中の砥石の加工状態をグリップモードとして可視化・定量化に至った。これにより、グリップモード解析から得られる情報を元に異種材料接合ワークを加工する事で材料間段差を最小に抑える事ができ、さらに砥石のツルーイング・ドレス工程の時間を大幅に削減することができた。
今後の実用化・事業化の見通し
開発したスピンドルユニットは加工力測定の為のサブテーブルユニットも加工測定器として、周辺機器としての事業展開を計画している。さらに、小型の工作機械においてもブラッシュアップを行う事で、自社製品の新たなラインナップとしての展開を検討している。また、スピンドルユニットを搭載した加工機はオープンラボやテスト加工で使用を開始していく予定であり、実際にユーザ様に使用して頂きその声をフィードバックする事で、より製品としての完成度や価値を向上していく計画である。一方で、グリップモード解析に基づいた機械学習においても、ある程度加工ワークの違いが検出できているため、本事業の研究開発を続けていく事により、より強力な新研削加工システムとして確立していく予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
本事業の概念は革新的であるが故に、普及するにあたっては、今後も川下企業の方々の意見や大学や研究機関と連携を続けて、技術の精度や実用性を向上する必要がある。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ナガセインテグレックス |
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事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 開拓研究本部 大森素形材工学研究室 |
アドバイザー | 国立大学法人東北大学 株式会社東京精密 株式会社井高 株式会社クリスタル光学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ナガセインテグレックス(法人番号:8200001019417) |
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事業内容 | 工作機械製造販売、鍛圧機械製造販売、電子測定機器製造販売、産業機械製造販売 |
社員数 | 137 名 |
本社所在地 | 〒501-2697 岐阜県関市武芸川町跡部1333-1 |
ホームページ | http://nagase-i.jp/ |
連絡先窓口 | 株式会社ナガセインテグレックス 技術部 制御設計課 井村 諒介 |
メールアドレス | r.imura@nagase-i.jp |
電話番号 | 0575-46-2323 |
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