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精密加工

MOPA CO2レーザ発振器と水ミスト冷却を用いたクールカット技術開発行う

石川県

マイクロプロセス株式会社

2023年2月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 炭素繊維強化複合材加工と生産性を両立するレーザ技術の研究開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 自動車
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)
キーワード AOMモジュール、MOPA CO2レーザ発振器、寄生発振フィルタ、クールカット切断技術
事業化状況 研究中止または停滞中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

自動車の軽量化にはCFRTP素材が有望視されているが、切断トリーミングの実用技術開発が必須である。現在、レーザ加工が最適とされるが、熱影響の低減と高速化が大きな課題である。本研究開発では、世界初となる3,000w級の高出力高繰返し短パルス発振器の開発と、レーザヘッドを高速スキャンしながら水ミストによる気化冷却を繰返し熱影響の少ない加工技術開発により、実用レベルの高速レーザ加工装置を開発する。

開発した技術のポイント

パルスCO2レーザの開発を下記の6ステップで行ったが、安全上の観点からパルス動作をやめ連続動作に変更した。

・マスタオシレータの開発
光学的にパルスを発生させるAOMの配置が安全上、問題があることがわかり開発方向を全面的に見直した。パルス光を発生できなくなったので連続出力CO2レーザにより高速で掃引することにより熱影響の低減と加工幅の低減化を行うことにした。また、ビームコンバイナーは、改善を重ね令和3年度に完成した。この他にも反射ミラーのコーテング剥離やレーザ電源の不具合の発生等があり苦慮しました。これらの結果は、連続出力CO2レーザの開発(ガス噴出しノズル、レーザ電源、ビームコンバイナ等)となった。
・パワー増幅器の開発
マスターオシレータ光を光増幅するため放電部にレーザ光を導光し増幅した。増幅率が1.2以上得られたが目標の4以下であった。
・寄生発振フィルタの開発
過飽和吸収ガス(SF6)を使いガスフィルタを形成しビームのクリーンナップを行う構想であった。しかし、ガスが汚れていたため運転始めた場会は、100%近くの透過割合であったが内部の光学ミラーの損傷が拡大し0%まで低下した。この時点で加工を実施するためこのフィルタを削除しクールカット技術の開発に専念した。
・水ミスト(クールカット)効果の技術開発
CFRTPの加工にクールカット技術の効果検証を行い、冷却効果を確認することができた。特に熱可塑性樹脂を使うCFRTPの複合材は、切り離す際に冷却が必須であることを見出した。
・水ミスト効果シミュレーションの開発
金沢工業大学はクレイドル社製のソフトを使いCFRTP複合材を炭素繊維の織り方を無視する固有値パラメタでのシミュレーションを行った。最終的にCFRTPの加工データと合致させたかったのですが加工サンプルの加工条件を提供するに至らなかった。
・水ミスト効果のIRカメラによる計測装置開発
IRカメラを用いたシステムを構築し蓄積加工温度の平均値を測定し室温レベルに温度低減することができることがわかった。

資料①
資料②
資料③
資料④
具体的な成果

開発を行ったのは以下の2点になる。
・MOPA連続出力CO2レーザの開発
・水ミスト(クールカット)技術の開発
これによりMOPAレーザの特殊な共振器構造が明らかとなり、さらなる発振器小型化と大出力化に光明を見出した。また、水をミスト状にレーザ加工後に噴霧することにより(局所冷却)特に熱可塑性炭素繊維複合材に冷却効果があることが明らかとなったことが成果となる。

知財出願や広報活動等の状況

特許出願 2件
・レーザ加工機           特願2020-109590
・レーザ加工機及びレーザ加工方法  特願2020-109591
学会発表 2件
・ノズルからの水ミスト噴霧による冷却効果の数値解析、日本機械学会北陸信越支部第58期総会・講演会 2021年3月
・ノズルからの水ミスト噴霧による冷却効果の数値解析の高度化、日本機械学会北陸信越支部2022年合同講演会 2022年3月

研究開発成果の利用シーン

炭素繊維強化複合材の加工は、特殊な加工に属するが下記の3点が明らかとなった。
1.炭素繊維や樹脂に対して吸収があるCO2レーザ光がCFRTPの加工に適していることを見出した。
2.連続出力CO2レーザで加工の高速化が図れると濃く幅が狭く熱影響の少ない角ができる。
3.樹脂の加工温度を下げる(室温近く)ことは切り離すことにおいては適当であることを見出した。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

非常にタイトなスケジュールであり期初の目標に達しなかった。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・連続出力CO2レーザの知見と可能性
・水ミスト(クールカット)技術を用いたレーザ切断による加工速度の向上

今後の実用化・事業化の見通し

・MOPA連続出力レーザの特殊性が明確に理解できさらなる大出力化の知見となった。
・水ミスト(クールカット)技術を用いたレーザ切断に関しては成果があり、加工速度が今までにないほどの速度を要するため、世界に新たな加工機の姿を提案できる可能性がある。

実用化・事業化にあたっての課題

光スイッチング装置(AOM)の配置条件の過失や寄生発振フィルタの破損を招いたことは、マイナス成果となる。

事業化に向けた提携や連携の希望

高速軸流型CO2レーザに関して新たな知見を得ることができ、大出力化の可能性を得ることができた。この知見を生かすことができるとであれば共同で技術開発をし事業化したい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 マイクロプロセス株式会社 開発部 小関 良治
事業管理機関 公益財団法人石川県産業創出支援機構 プロジェクト推進部技術開発支援課
研究等実施機関 株式会社松浦電弘社 取締役 制御技術部 部長 扇谷 大
株式会社ソフトウェアクレイドル (令和元年度のみ) 名古屋営業所 川口 裕紀
高松機械工業株式会社 新分野事業部 部長 上杉 伸一
独立行政法人国立高等専門学校機構石川工業高等専門学校 電気工学科 助教 田中 文章
学校法人金沢工業大学 (令和2~3年度) 航空システム工学科 教授 佐々木大輔
アドバイザー 学校法人金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター
株式会社日本レーザ

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 マイクロプロセス株式会社(法人番号:2.22000100945)
事業内容 主な取引先は、トヨタ、キャノンや日本ガイシ等の大手メーカーや半導体製造装置メーカーとなります。後工程の半導体製造装置に関しては技術力があります。
社員数 30 名
生産拠点 本社第1工場、第2工場
本社所在地 〒920-2147 石川県白山市中ノ郷147-1
ホームページ http://www.microprocess.jp
連絡先窓口 マイクロプロセス株式会社 小関 良治
メールアドレス hdlkoseki@icloud.com
電話番号 090-2036-5562