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精密加工

金型の製作時間が従来の22%!低入熱・低歪レーザ・アークハイブリッド溶接法

岐阜県

今井航空機器工業株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ホットプレス法によりCFRP製三次元大型形状品の高精度、高効率成形を可能とする、低熱歪み金型の開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 航空・宇宙、産業機械、工作機械
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成22年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

航空機分野では、航空機の一次構造体に軽量で高強度なCFRPを採用している。そのため、型成形によるCFRP部材の高精度、複雑形状化に対応するため、高精度、高効率成形金型(低膨張合金)の適正溶接方法、板厚の変形や残留応力による変形の回避、高精度な成形面の三次元曲面の高精度仕上げ技術を開発し、CFRPの用途拡大を目指す

開発した技術のポイント

溶接欠陥のない、低入熱、低歪のレーザ・アークハイブリッド溶接法を確立
・第1層溶接時の割れ:従来:1→10%以下
・残留応力による変形量:従来20~30mm→10mm以下
・総加工時間:従来200時間→175時間以下
・高精度加工面の輪郭度公差の精度達成時間→現状基本の50%以下
(新技術)
<レーザ・アークハイブリット溶接法+MIG溶接>
(特徴)
・溶接割れ、気泡の発生が少ない
・熱変形による応力の制御が可能
・応力除去の時間短縮可能
・ビード幅が狭くても溶込み深さ(強度)の維持が可能(局部に高熱を与えるため)歪量が少なく薄板使用が可能

具体的な成果

・金型組立て用レーザ・アークハイブリッド溶接システムを開発
‐レーザ装置としては5kWのファイバーレーザ発振器を、アーク溶接としてはMIG溶接ロボットを選定、金型組立て用レーザ・アークハイブリッド溶接システムを開発
‐成分を指定した溶接棒、混合比を指定したガスの組み合わせの最適化を検討しながら各種形状の溶接実験を実施して適正条件を確立
・低周波振動を利用した残留応力の除去方法の開発
‐低周波振動を利用した残留応力除去の有効性を確認
‐超音波応力除去装置を溶接時に併用する方法を開発
・硬材において、製作時間22%、歪量1mm程度を達成
‐鋼材においては、低熱歪溶接技術により従来の約22%の鋼材溶接時間を達成
‐その時の溶接における変形量も1mm程度に抑えられ、この後の機械加工も容易になると考えられる
・低熱膨張合金であるインバー材における溶接法では、熱伝導率が低いことから溶接母材に熱が溜まり易く溶接時間と共に溶け込みが深くなるという現象が発生、今後の課題となるダミー金型製作時間集計
~今回行った、レーザ・アークハイブリット振動溶接では、従来の約22%の作業時間となった。これは、残留応力除去のために熱処理時間が無くなったことが大きい~

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H26年度の実用化に向け、補完研究を継続
・川下企業よりのニーズにより製品サンプルを製作することは可能(有償)

製品・サービスのPRポイント

・精度向上→アーク・レーザハイブリット溶接法により、溶接母材に熱影響が少ない低歪み溶接の実現の結果、歪み量は従来溶接法の1/10以下に抑制
・製作時間短縮→厚板溶接では、従来溶接法は数層の溶接が必要であったが、アーク・レーザハイブリット溶接法では、一層の溶接で、作業できるため、溶接時間が約60%となる
・低コスト化→開発した、振動・アーク・レーザハイブリット溶接法は、低歪みであるために、従来歪み量を見込んで厚くしていた母材板厚を薄くできるため、材料費を約70%にできる

今後の実用化・事業化の見通し

補完研究を継続しつつ、航空機産業以外への営業展開も実施
・インバー材の振動・アーク・ハイブリット溶接法の最適条件実用研究を引き続き実施中、また川下企業より問い合わせのあった厚板アルミ材の低歪み溶接も合わせて補完研究を実施
・CFRP成型金型の製造においてインバー材の振動・アーク・レーザハイブリット溶接法の安定化に課題があり、補完研究を実施中
・航空機産業の川下企業のみでなく重電機産業からの問い合わせもあり、研究開発した、振動・アーク・レーザハイブリット溶接法を利用した低歪み溶接部品の受注獲得に向けて営業活動を実施

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 今井航空機器工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター
研究等実施機関 株式会社最新レーザ技術研究センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 今井航空機器工業株式会社
事業内容 航空宇宙用機械加工部品及び航空機用組立品の製造、航空機関連地上支援器材の設計・開発及び製造
本社所在地 〒504-0957 岐阜県各務原市金属団地128番地
ホームページ http://www.imaiaero.co.jp
連絡先窓口 製造部生産管理グループ 長林淳
メールアドレス hayashi@imaiaero.co.jp
電話番号 058-389-2011