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測定計測

分析分野における精度向上および効率化

和歌山県

株式会社アイスティサイエンス

2025年1月22日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 オンライン固相誘導体化SPE-GC/MSシステムを用いた生体試料中代謝物の分析法の開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、農業、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)
キーワード メタボロミクス,生体試料,生産性向上,自動化
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和4年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要
SPL-M200

本事業は、メタボローム分析の前処理技術「固相誘導体化法」を開発・改良し、その普及を目指すものである。従来のメタボローム分析は、前処理に多大な時間と労力を要し、熟練した技術者の手作業が不可欠であったため、国内の研究が停滞していた。本事業では、前処理工程を迅速化し、短時間かつ高精度な自動化を実現することで、分析の効率を飛躍的に向上させる。具体的には、固相誘導体化法を用いた自動前処理システム「オンラインSPE-GC自動前処理システム(SPL-M100)」の開発と、前処理から分析までの一貫システムの構築を行い、多様な代謝物の網羅的な分析を可能にする。この技術により、医薬品や食品分野での製品開発支援が期待されるとともに、広範な生体試料に対する精度の高い代謝物解析が実現する。事業を通じて、メタボローム分析の標準化と普及を図り、国内外の研究競争力を強化することを目指している。

開発した技術のポイント

・分析対象成分の選定
-200成分以上を対象とし、グループ別に分類して適切な誘導体化方法を設定。
・オンラインシステムの構築
-各成分を固相に保持し、オンラインで誘導体化することで効率的かつ高感度な分析を実現。220成分以上の誘導体化物を確認。
・試薬の最適化
-MSTFAやMTBSTFAを用い、成分に応じた試薬の選択と条件の最適化を行い、分析精度を向上。
・温度条件の調整
-代謝物の種類に応じてGC/MSの初期温度を調整し、ピーク形状を最適化。
・データベースの構築
-標準溶液の調製とデータベースの作成で、代謝物の物性データを管理。
・再現性と精度評価
-RSD10%以内で安定した測定結果を得て、固相誘導体化法の優位性を確認。

固相誘導体化_250成分
具体的な成果

・新規分析対象代謝物の固相誘導体化法の開発
-200成分の代謝物の固相誘導体化法を確立した。
-固相誘導体化による解析(スペクトル)のデータベースの作成
・生体試料のサンプリングおよび抽出方法の検討
-血液(血清/血漿)/尿/唾液/糞便/組織(肝臓)からの固相誘導体化法に適した抽出法を確立した。
-微少量(2~5μL)の血液を固相誘導体化法で測定する技術を確立した。
・代謝マップ解析のフォーマットの作成
-固相誘導体化による代謝物の測定可否を明確にした代謝マップ解析ソフトウエアの開発とモデルフォーマットを作成した。

知財出願や広報活動等の状況

・スペクトルデータベースや代謝マップ作成ツール(MSDIAL2Cytoscape)を開発し、Web上で公開。
・微小量の血漿を対象とする「血漿ダイレクト固相オンライン誘導体化法」の実用化に向けた開発が進行中。
・学会・シンポジウムで固相誘導体化法の認知・啓発を実施し、アプリケーションの配布やセミナーを開催。
・専門誌への寄稿や広告活動を検討中。
・メタボローム分析専用のWebサイトを作成し、アプリケーションノートを発表。
・共同研究機関やGC/MSメーカーと協力し、学会発表やブース出展を通じて広報活動を展開。

研究開発成果の利用シーン

・大学医学部や研究機関での基礎研究や臨床研究におけるメタボローム解析。
・公設研究機関での広範な生体試料の解析に活用。
・製薬企業での新薬開発や治験における代謝物の解析。
・バイオマーカーの探索や薬物動態の研究に利用。
・発酵食品や飲料製品の品質管理や成分分析に応用。
・醸造業における成分解析や発酵プロセスのモニタリング。
・臨床検査における疾患マーカーの測定や診断支援。
・特定健診など公衆衛生の現場での生体試料の迅速な解析。
・農業や畜産関連の研究機関での栄養や代謝に関する研究。
・衛生研究所での環境や健康に関する代謝物のモニタリング。
・バイオ関連企業での製品開発や品質管理。
・化粧品業界における成分解析や皮膚バイオマーカーの研究。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

大学や製薬業界といった異なる川下ユーザーに向けて、固相誘導体化法を活用したメタボローム分析の事業化を目指している。事業化の展開には、製薬企業のニーズに応じたアプリケーション開発が必要であり、GC/MSメーカーとの連携が確約されている。販売戦略としては、学会やシンポジウムでの発表を通じて固相誘導体化法の認知度向上を図るほか、研究者のラボ訪問やデモンストレーションを行う。また、専用のWebサイトを作成し、メタボローム分析に関する情報を一元管理することで、利用者の利便性を向上させる計画である。さらに、主要メーカーと共同でセミナーや営業活動を行い、事業成果の民間企業への波及を推進する。

提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

・高い再現性と効率性
-相対標準偏差10%以下の高精度な分析を実現。
-オンライン固相誘導体化法で効率的な分析が可能。
・多様な成分に対応
-200種類以上の代謝物を対象に、幅広い分析が可能。
-血漿、尿、唾液などの生体試料にも対応。
・データ管理の充実
-スペクトルデータベースや代謝マップ作成ツールをWebで公開。
・幅広い分野で活用可能
-医薬、食品、バイオ産業など多様な業界で利用可能。
・導入サポートの充実
-学会発表、セミナー開催、メーカーとの連携で普及を推進。
・簡単導入・コスト削減
-トータルハイスループット化でコストと労力を削減。

今後の実用化・事業化の見通し

・アカデミアでの研究成果を民間企業に展開する。
島津製作所やアジレントテクノロジー社など、主要なGC/MSメーカーとの協力関係を構築済み。
・学会やシンポジウムでの発表を通じて認知度を向上。
・研究者へのデモンストレーションで実用性をアピール。
・メタボローム分析専用のWebサイトを作成し、情報を一元管理。
・各メーカーの営業マンに対するセミナーや情報交換会を実施し、共同研究発表や展示会での活動を強化。

実用化・事業化にあたっての課題

・特定の成分に対して固相誘導体化法での測定が困難であり、これらへの対策が必要。
・生体試料の採取後、どの段階で現場で処理を行い、どのような条件で輸送するかの検討が必要。
・特殊な知識や技術、コストがかかるため、これらのハードルを下げる必要がある。
・複数の固相を連結させた装置の開発など、さらなる装置改良が求められている。
・分析対象を増やすため、分子種ごとに異なる前処理条件を適用する必要がある。

事業化に向けた提携や連携の希望

・コホート研究等のプロジェクトを取り纏めあるいは指揮する機関との提携。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社アイスティサイエンス
事業管理機関 公益財団法人わかやま産業振興財団
研究等実施機関 和歌山工業技術センター
国立大学法人大阪大学
京都府公立大学法人京都府立医科大学
国立大学法人東京農工大学
アドバイザー 国立大学法人九州大学生体防御医学研究所
国立大学法人大阪大学
JSR株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アイスティサイエンス(法人番号:5170001005225)
事業内容 分析機器および周辺機器の製造と販売
社員数 19 名
本社所在地 〒640-8390 和歌山県和歌山市有本18-3
ホームページ https://www.aisti.co.jp/
連絡先窓口 代表取締役社長 佐々野 僚一
メールアドレス sasano@aisti.co.jp
電話番号 073-475-0033