第1部 平成26年度(2014年度)の中小企業・小規模事業者の動向

8 売上高変動費比率から見た大企業と中小企業の収益力の特徴

1-3-3467図に基づき、大企業と中規模企業・小規模企業の間で生じた収益力の変化をまとめると以下のとおりである。

〔1〕2000年代以降、大企業と中規模企業・小規模企業の間で売上高経常利益率の差は広がったが、中規模企業・小規模企業においても、売上高経常利益率は上昇傾向にあった。他方、中規模企業・小規模企業の売上高は伸び悩んでいた。

〔2〕大企業と中規模企業・小規模企業の間の売上高変動費比率の差は趨勢的に広がっているが、これは中規模企業・小規模企業の売上高変動費比率の低下幅が大きくなっていることによる。

〔3〕大企業と中小企業の交易条件を見ると、特に1990年代後半から2000年代前半にかけて、中小企業の交易条件が大企業と比べて相対的に悪化したことで、大企業と中小企業の間で交易条件の差が広がった。

〔1〕~〔3〕より、2000年代以降、中規模企業・小規模企業は売上高変動費比率の低下という高付加価値化努力を通じて売上高経常利益率を高めており、この傾向は大企業よりも顕著であるといえる。さらに、1990年代以降における中規模企業・小規模企業の売上の低迷・伸び悩みや、1990年代後半から2000年代前半にかけて生じた大企業と中小企業の間の交易条件の差の広がりが、中小企業の交易条件が大企業と比べて相対的に悪化したことによって生じたものであることを考慮すると、中規模企業・小規模企業の高付加価値化努力は、生産性の向上によるものと推察される。

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