第1部 平成26年度(2014年度)の中小企業・小規模事業者の動向

7 企業規模別に見た企業の交易条件

第1-3-2図において、売上高変動費比率の構成要素の一つとして交易条件があることを示したが、本項では企業規模別に企業の交易条件について見ていく。交易条件については、日本銀行による「短期経済観測調査(短観)」(以下、「日銀短観」という。)に基づき確認していくこととする。具体的には、販売価格DI4から仕入価格DI5を差し引いた値を交易条件指数と定義し、当該指数の推移を確認していく6

企業規模別の交易条件指数を全産業で見ると、大企業、中堅企業、中小企業ともに1980年代から2000年代半ばにかけて悪化傾向が続いたが、2000年代半ば以降改善に転じている(第1-3-7図)。ただし、1990年代以降、中小企業の交易条件の悪化幅が徐々に大きくなり、大企業・中堅企業と中小企業との間の交易条件の差に広がりが出始め、2000年代には大きくその差が広がり、2010年以降も依然として大きな差が存在する。

4 3か月前と比較して販売価格が「上がった」と答えた企業の割合(%)から「下がった」と答えた企業の割合(%)を差し引いた値(%p)。

5 3か月前と比較して仕入価格が「上がった」と答えた企業の割合(%)から「下がった」と答えた企業の割合(%)を差し引いた値(%p)。

6 日銀短観を用いた分析における企業規模については、統計の制約上、資本金10億円以上を大企業、同1億円以上10億円未満の企業を中堅企業、同2千万円以上1億円未満の企業を中小企業と定義する。すなわち、ここでいう大企業と中堅企業が法人企業統計調査年報の分析における大企業に該当する。

第1-3-7図 企業規模別に見た企業の交易条件
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業種別に見ると、製造業では、大企業で1980年代から2000年代半ばにかけて、交易条件が悪化傾向にあり、中堅企業・中小企業については1990年代から2000年代半ばにかけて悪化傾向にあったが、大企業、中堅企業、中小企業とも2000年代半ば以降改善に転じている。ただし、1990年代半ば以降、中小企業の交易条件の悪化幅が大きくなり、大企業・中堅企業と中小企業との間の交易条件の差に広がりが出始め、2010年以降も依然として大きな差がある。

非製造業では、1980年代は大企業、中堅企業、中小企業ともに改善傾向にあったが、1990年代から2000年代半ばにかけて悪化傾向となり、2000年代半ば以降再び改善に転じている。ただし、1990年代以降、中小企業の交易条件の悪化幅が徐々に大きくなり、大企業・中堅企業と中小企業との間の交易条件の差に広がりが出始め、2000年代前半には大きくその差が広がったが、2000年代後半以降は中小企業の改善幅が大企業・中堅企業を上回るようになり、差は縮小傾向にある。

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