2 企業規模別に見た売上高経常利益率
第一に、企業規模別に売上高経常利益率の動向を確認する(第1-3-3図)。全産業で見ると、大企業の売上高経常利益率は中規模企業・小規模企業よりも高い水準にあり、その差は2000年代に大きく拡大している。これは大企業の売上高経常利益率が2000年代に大きく伸びたことによるものだが、同時に中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率も伸びていることが確認できる。中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率について、2010年以降の平均と2000年代の平均を比較すると、大きく伸びていることが分かる。
業種別に見ると、製造業では、1980年以降、大企業と中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率の差はほぼ一定の割合で拡大を続けているが、2010年以降では、小規模企業で売上高経常利益率の伸びが大企業と比べて相対的に高くなっており、これにより大企業との差が縮まっている。
非製造業では、2000年代以降、大企業の売上高経常利益率が大きく伸びており、大企業と中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率の差が大きく拡大している。ただし、中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率も、2000年代以降、上昇基調となっている。
ただし、詳細は後述するが、こうした大企業と中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率の差の広がりは、中規模企業・小規模企業全体の収益が低収益の中規模企業・小規模企業の収益悪化によって下押しされたことによって生じた可能性もある。企業の売上高経常利益率を規模間で比較する際は、単純に規模ごとの平均値で比較するだけではなく、同一規模内における売上高経常利益率の比較も合わせて行うことで、初めて企業規模間の売上高経常利益率の特徴が見えてくるといえる。