(2) 緊急事態の発生と損益計算・キャッシュフローへの影響

 次に、事故や災害の発生した場合に、事故や災害があなたの会社の損益計算やキャッシュフローにどのように影響するかをまとめました。


表 緊急事態の発生と損益計算・キャッシュフローへの影響

項目

金   額

損益計算への影響

キャッシュフロー
への影響

売上高

減  少

事業中断・風評被害により売上が減少する1

売上入金の減少

売上原価

売上の減少に対し、変動費は減少するが、固定費は減少しない2

売上原価率の上昇をもたらし、損益が悪化する。

損益の悪化がキャッシュフロー悪化の原因となる。

売上利益

減  少

売上の減少と、売上利益率の上昇のダブルパンチで利益が減少し、場合によっては赤字となる。

(売上利益減少額)から(売上原価中の減価償却費)を差引いた金額がキャッシュフロー悪化の原因となる。

一般管理費・販売費

変動費の部分が若干減少する。

売上の減少に関わらず費用は殆ど減少しない。

一般管理費・販売費の負担が大きくなり、減益要因となる。

営業利益

減  少

売上減、売上原価率の上昇、一般管費・販売費の負担増により、減益となる。

(営業利益減少額)から(減価償却費)を差引いた金額がキャッシュフロー悪化の原因となる。

特別損失

事故によっては、多額の事故処理費用が発生する。

事故処理費用の支出により損益は更に悪化する。

事故処理費用の支出がキャッシュフローを更に悪化させる。

税引前
損益

減  少

悪化する。

(税引前損益の悪化額)から(減価償却費)を差引いた金額がキャッシュフローを悪化させる。

注1)風評被害とは、世間の評判が落ちることによる売上減への影響のこと。
注2)変動費と固定費については、中級コースでの直接原価計算の説明5.1.(2)、上級コースでの直接原価方式による損益計算書の作成計算手順5.4を参照。

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5.1.1 資産の損壊とキャッシュフローとの関係     5.1.3 実例による事業中断時の損益とキャッシュフローの対比