3.3.2 BCP発動時の体制を明確にする

(1) このステップの目的

 ここでの目的は、緊急事態が発生した場合におけるBCP発動後の対応体制を明確にしておくことです。


(2) 実施のポイント

 緊急事態発生時には、全体のリーダーである経営者によるトップダウンの指揮命令によって従業員を先導することが重要です。経営者は、指揮命令と情報の管理に注力することになります。また、BCP発動後から事業復旧を完遂するまでの間には、例として以下の機能をもった組織体制が望まれます†6

    ・ 復旧対応機能 …施設や設備の復旧等、社内における復旧対応
    ・ 外部対応機能 …取引先や協力会社、組合や商工会との連絡や各種調整
    ・ 財務管理機能 …事業復旧のための資金調達や各種決済
    ・ 後方支援機能 …従業員の参集管理や食料手配、負傷した従業員の対応等

 これらの機能ごとにチームを構成し、チームリーダーへの指揮命令をリーダー(社長等)が行い、チーム内の指揮命令はチームリーダーが行うという体制が望まれます。また、このようなトップダウンの体制を有効に機能させるためには、リーダーとなる人物と普段より意思疎通を多くとっている、いわゆる「社長の右腕」のような従業員がサブリーダーになることがポイントです。このような従業員を、事前に想定しておくことが望ましいでしょう。
 なお、各チームの人数をそれぞれ同程度の人数にする必要はまったくありません。そのチームの役割に必要な人数をそれぞれ割り振ればよいのです。
 また、以下のような場合においての体制づくりの考え方も示しておきます。

図 BCP発動時におけるチーム体制の例
図 BCP発動時におけるチーム体制の例


(ア) 比較的従業員が多く、各チームが数十名規模になる場合
 このような場合、チームをさらにいくつかのサブチーム(数人規模)に分割し、各サブチームにもリーダーを立てることが望まれます。サブチームのリーダーへの命令は、当該チームのリーダーが実施することになります。

(イ) 各チームが1~2名程度しかいない場合
 このような場合、全体のリーダーがチームリーダーも兼ねることになります。またはサブリーダーを選出した上で、その人とチームリーダーの役割を分け合う等の対応が考えられます。



3.3.1 BCP発動基準を明確にする     3.3.3 事業継続に関連する情報の整理と文書化をする