5 売上高固定費比率から見た大企業と中小企業の収益力の特徴
第1-3-3、4、5図に基づき、大企業と中規模企業・小規模企業の間で生じていた収益力の変化をまとめると以下のとおりである。
〔1〕1990年代後半以降、大企業の売上高経常利益率が中規模企業・小規模企業と比べて相対的に上昇した結果、大企業と中規模企業・小規模企業の売上高経常利益率の差が拡大した。
〔2〕2000年代以降、大企業の1社当たり平均の実質売上高が中規模企業・小規模企業と比べて相対的に増加した結果、大企業と中規模企業・小規模企業の売上高の差が拡大した。
〔3〕1990年代後半以降、大企業の売上高固定費比率が低下した一方、中規模企業・小規模企業の売上高固定費比率が上昇した結果、大企業と中規模企業・小規模企業の売上高固定費比率の差が拡大した。
〔1〕~〔3〕より、大企業では、1990年代後半においては固定費削減努力により売上高固定費比率の上昇を抑えてきたが、2000年代に入り売上が回復し始めた結果、生産(≒売上)の拡大により生産1単位当たりの固定費(≒売上高固定費比率)が下がり、規模の経済が働いたため、中規模企業・小規模企業と比べて相対的に売上高経常利益率が高まったといえる。