(3) 事業所(工場)が2ヶ所ある場合の算定例

 工場が2ヶ所にある場合のケースについて、数字を入れてキャッシュフローを算定しました。各企業は、こうしたケースを参考にして、自社の事情に応じて、自力又はコサルタントを利用して、自社独自の財務分析を行って対応して下さい。


① 前提となる事項

1)業  種  製造業
2)工場配置  全く同じ規模・同じ生産品目の工場が関東地区と関西地区にある。
3)損  益  次表の通り。
4)事故の状況  関東地区所在の第一工場から出火。第1工場の生産は全面的にストップした。
 従業員、第三者とも人身被害はなかった。
 火災による資産の損害は10億円であった。
5)事故後の状況  
(A)  焼失した工場建物の復旧には5ヶ月を要した。
機械・設備類は建物復旧後に据付けたが、稼動までには試運転・調整を含め、1ヶ月を要した
(B)  生産は設備が再構築された6ヶ月後の翌月から始めた。
7ヶ月目の生産は事故前の生産の50%で、事故から8ヶ月目に完全に復旧(100%生産)した。
(C)  罹災後1ヶ月の準備期間を経て、代替生産を関西の第二工場で行った。
代替生産の最初の月(2ヶ月目)の生産は50%であった。
(D)  代替生産に伴い代替設備として第二工場に1億5千万円を投じた。
(E)  代替生産中、第二工場で残業を行う必要が生じ、6ヶ月間残業代が毎月六百万円発生した。
(F)  代替生産に伴うその他の経費として完全復旧まで、5.5ヶ月間毎月八千万円発生した。


② 直接原価計算による損益計算書の作成

 作成手続きは省略します。


表 直接原価計算による損益計算書

(単位:百万円)

項  目

  全  社

    内 第 一 工 場

  1年間

  1年間

  1ヶ月

売上高

24,000

 12,000

  1,000

変動費計

 15,840

  7,920

    660

固定費計
(内減価償却費)

  6,960
(   600)

  3,480
(   300)

    290
(    25)

営業利益

  1,200

    600

     50 


③ キャッシュフロー推移

 前提条件に従ってキャッシュフロー表を作成します。第二工場における代替生産が可能であったお陰で、完全な事業中断期間は1ヶ月、2ヶ月目は50%回復、3ヶ月目から売上は元に戻りました。それでもピーク時641百万円の資金不足となっています。


表 キャッシュフロー推移

(単位:百万円)

 

1ヶ月目

2ヶ月目

3ヶ月目

4ヶ月目

営業収入
(通常ベース比)

    0

  500
(△500)

1,000
  (0)

1,000
  (0)


営業
支出

変動費
(通常ベース比)
固定費

    0
(△660)
  265

  330
(△330)
265

  660
  (0)
  265

 660
  (0)
 265

小  計

  265

  596

  925

 925

差   引

△ 265

△  96

   75

  75

追加
支出

経 費

    0

   80

   80

  80

人件費

    0

    6

    6

   6

月次資金収支

△ 265

△ 182

△  11

△ 11

累計  資金不足

△ 265

△ 447

△ 458

△619

代替  設備支出

    0

    0

  150

   0

資金不足  総計

△ 265

△ 447

△ 608

△619


 表 続き

(単位:百万円)

 

5ヶ月目

6ヶ月目

7ヶ月目

7ヶ月計

営業収入
(通常ベース比)

1,000
   (0)

1,000
(0)

1,000
  (0)

5,500
(△150)


営業
支出

変動費
(通常ベース比)
固定費

  660
(0)
  265

  660
(0)
265

 660
  (0)
 265

3,630
(△990) 
1、855

小  計

  925

  925

 925

5,485

差   引

   75

   75

  75

  15  

追加
支出

経 費

   80

   80

  40

 440

人件費

    6

    6

   6

  36

月次資金収支

△  11

△  11

  29

△461

累計  資金不足

△ 630

△ 641

△612

△461

代替  設備支出

    0

    0

   0

150 

資金不足  総計

△ 630

△ 641

△612

△611


表 7ヶ月間損益計算書

(単位:百万円)

 

火災無し

火災発生後

対  比

売上高

  7,000

 5,500

△ 1,500

変動費
固定費
(減価償却費)

  4,620
2,030
(   175)

 3,630
2,030
(   175)

△  990
     0 
(   0)

営業利益
(償却前利益)

    350
(   525)

△  160
(   15)

510
( △ 510)

追加支出

経費
人件費

      0
      0

    440
     36

440
     36

差引損益
(償却前利益)

    350
(   525)

△ 636
(△  461)

△ 986
(△  986)


表 7ヶ月間のキャッシュフロー

(単位:百万円)

項   目

金  額

営業 損失

△    636

減価 償却

(175)

 償却前 損益 ① 

△    461

代替設備 支出 ②

150

①+②

△    611

 注:①+②が、7ヶ月間のキャッシュフロー推移の最終不足額と一致します。


 


5.3.2 中核2部門別の復旧費用の算定     5.4 直接原価方式による損益計算書の作成・計算手順