(2) 中核2部門別の復旧費用の算定

 このためには、損益計算書・製造原価計算書を、中核事業①、中核事業②、その他事業部門等に分割した上で、直接原価計算による損益計算書に変換する作業が必要です。
 中級コースでは、損益計算書、製造原価計算書を一本で処理しましたが、部門別に分割して、事業中断によるキャッシュフローの悪化額を計算する必要があります。

 なお、中級編では、工場(事業所)は1ヶ所として計算しましたが、同一事業の中で複数の工場(事業所)がある場合は、部門別に準じて計算することが必要です。
 特に、事業所の所在地が離れている場合は、災害の影響が異なりますから、別個の計算は不可欠です。
 復旧の過程で、他地区所在の工場に代替生産を委託する場合は、代替生産に伴う費用を考慮しなければなりません。このケースは、次項で検討します。

 損益計算書を下記のように、中核部門①、中核部門②、その他事業部門に分割します。


① 部門別直接製造原価計算による売上原価の算定

表 部門別直接原価計算による売上原価

(単位:千円)

項 目

中核事業部門①
○ ○ 部門

中核事業部門②
○ ○ 部門

その他事業
部門

変動費

       

固定費

部門別に
配賦可能な
固定費

       

部門別に
配賦不能な
固定費

売上高比で配賦

売上高比で配賦

売上高比で配賦

 

売上総利益

       



(2)部門別損益計算書

表 部門別損益

(単位:千円)

項 目

中核事業部門①
○ ○ 部門

中核事業部門②
○ ○ 部門

その他事業
部門

売上高

       

売上総利益

       

一般管理費販売費

固定費

売上高比で配賦

売上高比で配賦

売上高比で配賦

 

変動費

売上高比で配賦

売上高比で配賦

売上高比で配賦

 

営業利益

       

○一般管理費・販売費についても、部門別に配布が可能なものは配布するほうが望ましいのですが(例えば販売費等)無理であれば売上高比で配布します。


表 直接原価計算による部門別損益計算書

(単位:千円)

項 目

中核事業部門①
○ ○ 部門

中核事業部門②
○ ○ 部門

その他事業
部門

売 上 高

       

変動費計

       

固定費計

       

内 減価償却費
(現金ベース固定費†1

(     )

(    )

(   )

(   )

営 業 利 益

       


表 生産が1ヶ月間ストップした場合のキヤッシュフロー

(単位:千円)

項 目

中核事業部門①
○ ○ 部門

中核事業部門②
○ ○ 部門

その他事業
部門

営 業 収 入

       

営業

支出

変動費

       

固定費

       

小 計

       

月次 資金収支


 上記の計算にあたっては、個々の数字を中級コースの「データ記入シート」に入力すれば自動的に計算出来ます。
 以下、中級コース(5.1節)の手順で部門ごとに復旧費用総額を算出し、3者を合計することによって、全体の復旧費用総額が算定出来ます。


 


5.3.1 中核事業およびその他部門のトータルの復旧費用の算定     5.3.3 事業所(工場)が2ヶ所ある場合の算定例