資料04  BCPの有無による緊急時対応シナリオ例

(6)建設業(水害)

 

BCP導入なし企業

BCP導入済み企業

想定

●小型ビル建設の下請け工務店(従業員10名+臨時作業員10名、社長は市内建設業組合の会長も務める)。
●建設業組合は市役所と災害時協力協定を結んでいる。
●平日、大雨が降り続き、12時に大雨・洪水警報、15時に近くの河川の水防警報、17時に事務所(兼社長の自宅)周辺地区を対象に避難勧告が発出される。20時に堤防が決壊し、事務所兼自宅が約50cm浸水する。

当日

●大雨ではあったが、気象情報を収集することなく、通常通り操業。17時過ぎ、町内会長から自宅に避難勧告が伝達される。
●社長から現場の従業員に対し、直接帰宅するよう電話連絡。
●社長は家族とともに近くの小学校に避難。
●事務所兼自宅が浸水。自動車や建設機械も浸水。

●社長以下、従業員全員が、河川事務所公表の洪水ハザードマップを見ており、事務所兼自宅が浸水危険地域であることを知っていた。
●社長は、ラジオやインターネットで気象情報等を収集。12時過ぎに現場の従業員に対し事務所に戻るよう指示。
●従業員が手分けして、自動車や建設機械を高台にある知り合いの工務店の駐車場に移動。15時過ぎに従業員を帰宅させる。
●社長は、17時に避難勧告が出たことを町内会長から知らされ、家族と一緒に近くの小学校に避難する。
●20時過ぎに事務所兼自宅が浸水する。

数日間

●市役所等が排水ポンプを手配し、2日後に排水が完了する。
●大半の従業員は、家族の被災や地域活動のため1ヶ月間、出社せず。
●元請会社及び市役所から避難先に仕事や協力の要請の連絡が入るが、従業員が集まらず、自動車や建設機械も使えないので対応できず。
●3日後、元請会社は、浸水した工事現場の応急対策に着手するが、他の会社に下請けを発注。

●翌日、知り合いの工務店の事務所の一室を借り、社長が常駐し情報拠点にする。
●市役所等が排水ポンプを手配し、2日後に排水が完了する。
●日頃、従業員には高台に住むよう指導していた。半数の住家は浸水を免れ、半数は浸水する。泥の掃き出し等、従業員同士で助け合う。
●元請会社及び市役所からの仕事や協力の要請を受け、組合加盟会社が分担して工事にあたる

数ヶ
月間

●手持ち資金がなく、従業員と臨時作業員の月給、資材の支払いが行えない。また、1ヶ月間は事務所兼自宅の後片付けに追われる。
●その後、復旧資金を金融機関から借りて事業再開を図るが、主力だった従業員が転職、建設機械等も十分揃わず、事業規模を大幅縮小。

●手持ち資金により、従業員と臨時作業員の月給、資材の支払いを行う。
●組合加盟会社間で応援要員、建設機械等の相互融通を行う。
●自動車や建設機械は無事。浸水した事務所兼自宅の修理は水害保険でカバー。


(5)卸・小売業(水害)     (7)製造業(火災)