資料08 新潟中越地震における企業のBCP
(1)事業の継続・早期復旧の成功例
●久保鉄工所
長岡市にある社員13人の工場である。事業継続に関して社員間のコミュニケーションが良く、翌々日には社員の半数、2日後にはほぼ全員が出社し、役割分担良く復旧作業にあたった。その結果、10日後に応急修理で100%稼動した。遅れた仕事を下請け会社がカバーしてくれたこともあり、売上げの落ち込みを回避できた。
●森永乳業
新潟県長岡市にある関連会社の工場や物流拠点が使用不能になったが、翌日の日曜日には、訓練どおり、予め確保していた代替拠点への切り替えを実施した(ただし、通信回線の問題は発生)。
●北越銀行
長岡市に本店を構える北越銀行は、電算システムを耐震構造のデータセンターに置き自家発電装置も備えていた。地震発生直後、日ごろの訓練通りに作業を進め、システムを早期復旧させた(ただし、断水による悪影響発生のおそれはあった)。
(2)サプライチェーンや自社の事業に大きく影響が及んだ例
●日本精機
自動車や二輪車用メーターの製造が停止。ヤマハ・カワサキ・ホンダが2輪車生産を部分的に休止したほか、ホンダが11月8・9日の2日間、4輪車生産を全面的停止。約1カ月でほぼ復旧するが、被害額2億7000万円であった。
●新潟三洋電子
被害額は約500億円にのぼった。本格稼動は5ヵ月後であり、地震前にあった5つのラインのうち復旧したのは3つのラインに限られた。社員1500人のうち退職100人、転籍100人し、500人いた請負・派遣社員は全員契約が打ち切られた。