(3)事業継続のための応急・復旧対策
事業継続方針に従い、顧客・協力会社向けの対策、従業員・事業資源に関する対策、財務に関する対策を併行して実施します。
経営者が全体を統括し、各々にサブリーダーを置くとよいでしょう。
①顧客・協力会社向け対策
顧客及び協力会社と代替生産及び事業資源復旧後の取引復元について調整の上、この調整結果に従って代替生産及び取引復元を実施します。
顧客・協力会社向け対策 |
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●取引調整(他社等への一時移管を含む) |
・顧客に対して今後の納品等の計画を説明し了解を得る。 |
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●取引復元 |
・自社の事業資源が復旧した時点で、代替生産を引き上げ、顧客に被災前の取引に復元してもらう(上記の調整結果どおり)。 |
②従業員・事業資源対策
従業員と事業継続について情報共有を行うとともに、被災した従業員に対して可能な限り生活支援を行います。同時に事業継続に必要な資源の代替調達や早期復旧を行います。
従業員・事業資源対策 |
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●従業員との情報共有と生活支援 |
・全従業員に対して事業継続方針を説明し、適宜、その進捗状況を示す。 |
〔様式19〕災害対応用具チェックリスト |
●建屋の修理・一時移転 |
・建屋が損傷した場合、その修理を建設会社等に要請する(目標復旧時間に間に合うスケジュールで)。 |
〔様式08〕事業継続に係る各種資源の代替の情報 |
●生産機械の修理・調達 |
・生産機械の修理・調達を専門メーカー等に要請する。 |
〔様式16-1〕中核事業に係るボトルネック資源[設備/機械/車両など] |
●情報システムの回復 |
・パソコン等ハードウェアの修理・調達を専門メーカー等に要請する。 |
〔様式16-2〕中核事業に係るボトルネック資源[コンピュータ機器とソフトウェア] |
●供給品の調達 |
・通常のルートからの調達が困難な場合、予め定めた代替ルート(業者や搬送方法)により調達する。 |
③財務対策
当面の運転資金を確保した上、さらには事業復旧のための資金を確保します。大規模な地震や風水害などで災害救助法が適用されると、商工会議所や商工会などに特別相談窓口が設置されたり、地方自治体や政府系金融機関による緊急貸付制度が発足したりするので、活用しましょう。
財務対策 |
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●運転資金の確保 |
・緊急時発生後1ヶ月間、当面必要な運転資金を確保する。 |
〔資料10〕被災中小企業に対する公的支援制度 |
●決済不渡り対策 |
・発行済みの手形が不渡りにならないよう、取引銀行等と調整する。 |
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●仕入支払い・給与支払い |
・できる限り、協力会社や納品業者等に対して過日分の支払いを行う。 |
〔様式02〕BCPの基本方針 |
●復旧資金の確保 |
・財務診断結果から、建物や生産機械の修理費用等、復旧に必要な費用を見積もる。 |
(4)地域貢献活動
事業継続対策と併行して余力があれば、会社の業種の特性を活かした地域貢献活動を行います。市役所や町村役場、社会福祉協議会、地元自治会、NPOと連携しつつ、協同組合や商店街等で各社の役割分担を決めて行うと効果的です。
地域貢献活動 |
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●被災者の救出・応急救護・初期消火 |
・会社の近所で被災者や火災が発生した場合に協力する。 |
〔様式20〕地域貢献活動 |
●商品等の提供 |
・食料品や日用品の小売業の場合、在庫商品を避難所に無償提供する案もある。 |
〔様式20〕地域貢献活動 |
●ボランティア活動 |
・損傷した住家の後片付け、救援物資の仕分け等のボランティア活動がある。 |
〔様式20〕地域貢献活動 |
(5)災害復興対策
大規模災害では都道府県や市町村等の復興計画が立案されます。こうした復興計画とも連携し、会社の事業の再編や拡大を考えることも良いでしょう。
その際、協同組合等を受け皿に災害復旧高度化資金を利用する案もあります†2。