2.1 BCP基本方針の立案

 何のためにBCPを策定し、日常的に、運用するのか?中小企業がBCPを策定・運用することにどんな意味合いがあるのか?以下にその例を紹介しますので、経営者ご自身の言葉に直して、あなたの会社のBCP基本方針として下さい(〔様式02〕BCPの基本方針に記入)。


(1)BCP策定・運用の目的

 企業が生き抜くためには、従業員とその家族の生命や健康を守った上で、事業を継続して顧客の信用を守り、売上げを維持する必要があります。事業と売上げが確保できれば、従業員の雇用も守ることができます。同時に地域経済の活力を守ることにもつながります。
 BCPを策定し運用する目的は、緊急時においても事業を継続できるように準備しておくことで、顧客からの信用、従業員の雇用、地域経済の活力の3つを守ろうとするものです†8

図 BCP策定・運用の目的
図 BCP策定・運用の目的


(2)中小企業BCPの要点

 BCPは、大企業から中規模、家族経営に至るまで企業規模に関係なく策定・運用するものですが、特に中小企業のBCPで重視したい点として、次の4点をあげることができます。

●企業同士で助け合う
 中小企業では、日常的に業務を分担したり、情報交換したりと助け合いの中で事業を行っています。緊急時において同業者組合や取引企業同士、被害の少ない企業が困っている企業を助ける、そのことが結局は自社の事業継続にもつながります†9

●緊急時であっても商取引上のモラルを守る
 協力会社への発注を維持する†10、取引業者へきちんと支払いをする、便乗値上げはしない、こうしたモラルが守れないと、企業の信用が失墜し、工場や店舗が直っても事業の復旧は望めません†11

●地域を大切にする
 中小企業では、顧客が地域住民であったり、経営者や従業員も地域住民の一人であったりします。企業の事業継続とともに、企業の能力を活かして、被災者の救出や商品の提供等の地域貢献活動が望まれます。

公的支援制度を活用する
 わが国では中小企業向けに、公的金融機関による緊急時融資制度や特別相談窓口の開設などの各種支援制度が充実しています。本指針でも、これら制度を紹介していきますので是非、活用して下さい†12

図 中小企業が策定するBCPの要点
図 中小企業が策定するBCPの要点



2. 基本方針と運用体制     2.2 策定運用体制の確立