中小M&Aガイドライン

1.中小M&Aガイドラインとは

中小企業庁では、2015年3月に、M&Aの手続きや手続毎の利用者の役割・留意点、トラブル発生時の対応等を記載した「事業引継ぎガイドライン」を策定した。その後、2020年3月には、後継者不在の中小企業のM&Aを通じた第三者への事業の引継ぎを促進するために、同ガイドラインを全面改訂した「中小M&Aガイドライン-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「初版」という。)を策定してきた。

中小M&Aガイドライン(初版)のポイント

中小M&Aガイドライン(初版)のポイント
(資料:中小企業庁「『中小M&Aガイドライン』について」(2020年3月)より抜粋)PDFファイル

2.第2版改訂

2023年9月に初版を改訂し、「中小M&Aガイドライン(第2版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「第2版」という。)を策定した。(「中小M&Aガイドライン」を改訂しました経済産業省へのリンク
第2版の策定に当たっては、初版の策定・公表から3年が経過する中で、中小企業を当事者とするM&Aの市場が拡大し、マッチング支援やM&Aの手続進行に関する総合的な支援を専門に行うM&A専門業者(主に仲介者やフィナンシャル・アドバイザー(以下「FA」という。))が顕著に増加する中で、M&A専門業者の契約内容や手数料の分かりにくさ、支援内容への不満等が課題となっていることに着目。M&A専門業者向けの基本事項(支援の質の確保・向上に向けた取組、依頼者との仲介契約・FA契約前の書面交付による重要事項説明等)を拡充し、更なる規律の浸透を促している。

また、仲介者・FAの手数料については、レーマン方式によるものが多いが、「基準となる価額」に様々な考え方があり、採用される考え方によって報酬額が大きく変動し得るため、「基準となる価額」の考え方・金額の目安や報酬額の目安を確認しておくことが重要である点などの留意点を記載している。さらに、最低手数料を設定する仲介者・FAが多いことから、手数料についてレーマン方式と最低手数料を併記し、最低手数料の分布や最低手数料が適用される事例を紹介している。

改訂のポイント(第2版)

改訂のポイント(第2版)
(資料:中小企業庁「中小M&Aガイドライン改訂(第2版)に関する概要資料より抜粋)PDFファイル

仲介者・FA金融機関の手数料について

仲介者・FA金融機関の手数料について
(資料:中小企業庁「中小M&Aガイドライン改訂(第2版)に関する概要資料より抜粋)PDFファイル

3.第3版改訂

2024年8月には第2版を改訂し、「中小M&Aガイドライン(第3版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「第3版」という。)を策定した。(「中小M&Aガイドライン」を改訂しました経済産業省へのリンク

第3版改訂では、提供する業務の内容・質とその対価となる手数料の額(相手方の手数料を含む。)について、中小企業向けに確認すべき事項を解説するとともに、仲介者・FAに対して求められる説明について追記している。
また、第2版改訂時と同様にM&A専門業者の支援の質を確保する観点から、仲介者・FAが実施する営業・広告に係る規律の明記や仲介者において禁止される利益相反事項の具体化を図っている。

さらに、譲り渡し側・譲り受け側の当事者間において、最終契約に定めた事項の不履行等のトラブルも発生している。特に、譲り渡し側の経営者保証の扱いについては、譲り渡し側の経営者保証を譲り受け側に移行させる想定であったにもかかわらず移行しない等の行為を行う譲り受け側の存在も指摘されている。

これらを踏まえ、最終契約(株式譲渡契約等)において当事者間でトラブルに発展する可能性があるリスク、その対応策について解説するとともに、仲介者・FAに対して求める対応について追記している。加えて、最終契約の不履行を意図的に生じさせるような不適切な譲り受け側を市場から排除するために、仲介者・FAに求められる対応についても追記している。

改訂のポイント(第3版)

改訂のポイント(第3版)
(資料:中小企業庁「中小M&Aガイドライン改訂(第3版)に関する概要資料より抜粋)PDFファイル

4.関連資料

5.M&A支援機関登録制度

中小企業庁では、初版を策定した後、2021年4月に「中小M&A推進計画」を策定し、同年8月には同計画に基づき、「M&A支援機関登録制度」(以下、「登録制度」という。)を創設した。登録制度への登録を希望するM&A支援機関に対して、中小M&Aガイドラインの遵守宣言を求めることや、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)において、登録制度に登録されたM&A支援機関を活用することを要件とすること等により、中小M&Aガイドラインに記載された行動指針の普及・定着を図ってきた。

また登録制度のホームページでは、同制度に登録された仲介業務又はFA業務を行う支援機関のデータベースを提供しており、登録支援機関の種類(専門業者、金融機関等の別)、M&A支援業務の開始時期、専従者や所在地、また手数料の算定基準(最低手数料の水準や報酬基準額の種類等)等を確認・検索することができ、中小企業が仲介者・FAを選定する際の情報手段として有用である。

(参考)手数料の公表について

データベースでは、各登録支援機関の最低手数料の水準や報酬基準額の種類等で検索できるよう整備。

(参考)手数料の公表について
(資料:中小企業庁「中小M&Aガイドライン改訂(第3版)に関する概要資料より抜粋)PDFファイル

なお、登録された FAや仲介業者が提供するM&A支援サービスを巡り、仲介と FAの違いや手数料等について十分な説明を受けなかった、といったトラブルが発生している。こうした実態にも鑑み、中小企業者からの情報を受け付ける「情報提供受付窓口」も併せて設置している。登録制度においては、情報提供受付窓口に不適切な対応に係る情報が寄せられており、中小M&Aガイドラインへの違反が認められた場合等は、「M&A支援機関登録制度の取消し等に関する要領」に基づき、登録の取消しを可能としている。

M&A支援機関登録事務局内 情報提供受付窓口

受付フォーム :https://ma-shienkikan.go.jp/inappropriate-cases
TEL :03-4577-6532
受付時間 :平日 10:00~17:00

6.関連リンク

<お問い合わせ先>

中小企業庁事業環境部財務課
電話:03-3501-1511(内線 5281~4)

TOPへ