第1部 小規模事業者の動向 

4 地方と大都市における業種構造の違いについて

ここでは、地方と大都市における業種構造の違いを比較してみることとする。

まず、この比較に先立ち、全国における業種別の事業所数を見てみることとする(第1-4-12図)。

これを見ると「小売業」が約102万事業所で最も多く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」が約72万事業所、「建設業」が約51万事業所、「製造業」が約49万事業所、「生活関連サービス業,娯楽業」が約48万事業所などとなっている。

このうち、小規模事業所は、「小売業」が約62万事業所、「建設業」が約48万事業所、「宿泊業,飲食サービス業」が約43万事業所、「製造業」が約40万事業所などとなっていることが分かる。

第1-4-12図 業種別事業所数(産業大分類)
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次に、地方と大都市における産業構造の違いを明確に示すため、「郡部の町村」と「大都市(東京特別区と政令指定都市)」の産業構造を比較し、人口1,000人当たりの業種別(産業大分類)の全事業所数について倍率比較したものが、第1-4-13図である。

これを見ると、「大都市(東京特別区と政令指定都市)」の方が「郡部の町村」より人口1,000人当たりの事業所が多い業種は、「情報通信業」(8.1倍)、「学術研究,専門・技術サービス業」(2.8倍)、「不動産業,物品賃貸業」(2.5倍)、「卸売業」(2.4倍)、「金融業,保険業」(1.9倍)、「教育,学習支援業」(1.4倍)、「医療,福祉」(1.3倍)、「宿泊業,飲食サービス業」(1.3倍)となっている。

一方、「郡部の町村」の方が「大都市(東京特別区と政令指定都市)」より人口1,000人当たりの事業所が多い業種は、「その他の業種」(3.3倍)、「建設業」(1.5倍)、「製造業」(1.3倍)、「小売業」(1.1倍)となっている。

また、美容業や理容業、洗濯業が中心を占めている「生活関連サービス業,娯楽業」(1.0倍)や自動車整備業が中心を占めている「サービス業(他に分類されないもの)」(1.0倍)、道路貨物運送業や道路旅客運送業が中心を占めている「運輸業,郵便業」(1.0倍)など、生活に密着した業種では地方と大都市の差が僅かとなっている。

第1-4-13図 人口1,000人当たり全事業所数(郡部と大都市の倍率比較)
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次に、小規模事業所数について同様の比較を行ったものが、第1-4-14図である。

これを見ると、「大都市(東京特別区と政令指定都市)」の方が「郡部の町村」より人口1,000人当たりの事業所が多い業種は、「情報通信業」(5.0倍)、「不動産業,物品賃貸業」(2.5倍)、「学術研究,専門・技術サービス業」(2.4倍)、「卸売業」(1.9倍)、「金融業,保険業」(1.5倍)、「医療,福祉」(1.4倍)となっている。

一方、「郡部の町村」の方が「大都市(東京特別区と政令指定都市)」より人口1,000人当たりの事業所が多い業種は「その他の業種」(6.4倍)、「建設業」(1.6倍)、「小売業」(1.3倍)、「製造業」(1.2倍)、であり、「生活関連サービス業,娯楽業」(1.2倍)、「サービス業(他に分類されないもの)」(1.2倍)となっている。

また、「宿泊業,飲食サービス」(1.0倍)、「教育,学習支援業」(1.0倍)、「運輸業,郵便業」(1.0倍)は、地方と都会の差が少ないものとなっている。

第1-4-14図 人口1,000人当たりの小規模事業所数(郡部と大都市の倍率比較)
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参考までに、中・大規模事業所数で同様の比較を行ったものが、第1-4-15図である。

これを見ると、「大都市(東京特別区と政令指定都市)」の方が「郡部の町村」より人口1,000人当たりの事業所が多い業種は、「情報通信業」(14.4倍)、「不動産業,物品賃貸業」(6.2倍)、「金融業,保険業」(5.7倍)、「学術研究,専門・技術サービス業」(4.4倍)、「卸売業」(3.1倍)、「サービス業(他に分類されないもの)」(3.0倍)、「教育,学習支援業」(2.7倍)、「生活関連サービス業,娯楽業」(1.8倍)、「宿泊業,飲食サービス」(1.8倍)、「医療,福祉」(1.3倍)、「小売業」(1.2倍)、「建設業」(1.2倍)、「運輸業,郵便業」(1.1倍)となっている。

一方、「郡部の町村」の方が「大都市(東京特別区と政令指定都市)」より人口1,000人当たりの事業所が多い業種は、「その他の業種」(2.1倍)及び「製造業」(1.9倍)となっている。

第1-4-15図 人口1,000人当たり中・大規模事業所数(郡部と大都市の倍率比較)
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第1-4-16図は、地域区分別に小規模事業所数の業種別の構成割合を示したものである。

これを見ると「郡部の町村」では「小売業(18.7%)」、「建設業(16.4%)」及び「製造業(12.0%)」の3業種の占める割合が高く、併せて47.1%となっている。また、他の地域区分で、この3業種が占める割合を見ると、「地方都市」では42.5%、「県庁所在市及び30万人以上都市」では37.2%、「東京特別区+政令指定都市」では34.1%、となっている。

他方、「東京特別区+政令指定都市」では、「不動産業,物品賃貸業(12.9%)」、「卸売業(6.5%)」及び「その他のサービス業(26.2%)」の3業種の占める割合が高く、併せて45.6%となっている。また、他の地域区分で、この3業種が占める割合を見ると、「県庁所在市及び30万人以上都市」では40.7%、「地方都市」では35.2%、「郡部の町村」では30.2%となっている。

このように、小規模事業所数においては、地方に行くほど「小売業」、「建設業」及び「製造業」の割合が高くなり、逆に都市部に行くほど「不動産業,物品賃貸業」、「卸売業」及び「その他のサービス業」など、サービス業を中心とした業種の割合が高くなっていることが分かる。

第1-4-16図 小規模事業所数の業種別構成割合(地域区分別)
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