第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍

2 中核人材の確保

まず、中核人材の採用手段を見ると、「ハローワーク」や「知人・友人の紹介」が多い一方で、採用実績に関しては、「知人・友人の紹介」や「取引先・銀行の紹介」の割合が高いことが分かる(第2-2-35図)。

第2-2-35図 中核人材の採用手段
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ただし、前掲の第2-2-22図と比べて、中核人材の採用と中途採用の手段について、利用実績及び採用実績ともに大きな違いは見られず、中小企業・小規模事業者においては中核人材の採用手段の選択肢は多くないことがうかがえる。例えば、大企業の中核人材の採用では、全国規模の就職ポータルサイトを利用したり、市場価値の高い限られた能力を有する人材確保のためにヘッドハンティング会社を利用することもあるかもしれない。しかしながら、いずれについても、多額の費用がかかり、中小企業・小規模事業者がこれらを利用することは容易ではない。

中核人材の確保において、中小企業・小規模事業者が実際にどの程度の費用をかけることができるかを見たものが、第2-2-36図である。中核人材を一人確保することにかけられる費用としては「0~10万円以内」を選択したものが約5割となっており、「10~50万円」が約4割、50万円以上の費用をかけられる中小企業・小規模事業者はごく僅かである。そのため、中小企業・小規模事業者は中核人材を見つけ出し、効果的に確保するための手法に乏しく、基本的には、個人的なつながりや地域の限られた人材の範囲において良い人材が応募してくるのを待っているのが実態と考えられる。その結果、戦略的な事業運営において必要となる中核人材の確保は難しく、事業の維持・拡大が妨げられている可能性がある。

第2-2-36図 中核人材の確保にかけられる費用
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次に、中核人材の確保に関する課題を見たものが第2-2-37図であるが、「求める人材の数が少ない」や「応募者の質が低い」といった人材の数と質に関するものが高く、次いで、「新しい従業員を雇用する資金がない」や「人材募集にかかるコストを負担できない」といった金銭的な負担に関するものが課題として挙げられている。

第2-2-37図 中核人材の確保における課題
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