第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍

第3節 中小企業・小規模事業者において求められる人材の質と能力開発

本節においては、中小企業・小規模事業者において求められる人材として、企業の事業活動の中核的な役割を担う「中核人材」に焦点を当てた分析を行う。ここでいう「中核人材」とは、事業上の様々な業務において中核を担う人材、または特殊な資格や専門性の高い就業経験を有する即戦力たる人材」をいう。第2部第1章で述べた産業構造の変化の中で、中小企業・小規模事業者はこれまで以上に事業の展開を戦略的に進めていくことが必要である。そのため、従来はよく見られた「職人かたぎ」の人材に加えて、経営戦略の立案や事業展開を担う人材の需要が高まっている。そこで、本節においては、中核人材を、「商品・サービス開発、ものづくり人材」、「販路開拓人材(国内)」、「販路開拓人材(海外)」、「財務・会計人材」、「IT 人材」、「経営人材」の六つに分類する。

1 中小企業・小規模事業者の中核人材の実態

まず、中核的な人材の過不足感を、第2-2-33図から見てみよう。いずれの中核人材についても不足感が強く、特に、「研究開発・製造」や「国内営業」といった人材が不足していることが分かる。一方で、「財務・会計」や「経営」に携わる中核人材の不足感は比較的弱いものの、それでも2割を超える企業が「不足」していると回答している(事業の意向(維持及び拡大)ごとの部門別の中核人材の過不足感については、付注2-2-45を参照)。

第2-2-33図 部門別の中核人材の過不足感
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こうした中核人材の不足の解消方法を示したものが第2-2-34図であるが、「社内で育成」(28.3%)、「社外から採用」(15.8%)を回答する企業も多いが、過半数の中小企業・小規模事業者が「社内で育成するとともに社外から採用もする」を選択しており、中小企業・小規模事業者は外部からの中核人材の確保及び、社内育成の両輪で中核人材を拡充している実態が分かった。そこで、以下では中核人材の確保及び育成に関して、それぞれ焦点を当て見ていくこととする。

第2-2-34図 中核人材の不足の解消方法
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