第8節 開業、倒産・休廃業

本節では、開業及び倒産・休廃業の動向について確認する。

第1-1-59図は、厚生労働省「雇用保険事業年報」を用いて、開業率と廃業率の推移を見たものである。2023年度の「開業率」は、2022年度から横ばいの3.9%、「廃業率」は、2022年度から上昇し、3.9%となった。

第1-1-59図 開業率・廃業率の推移

第1-1-60図は、倒産件数の推移を見たものである。2009年以降、倒産件数は減少傾向だったが、2021年を底に増加傾向に転じ、2024年の倒産件数は10,006件だった。

第1-1-60図 倒産件数の推移

また、従業員規模別に見ると、「~4人」の企業が大半を占めている。要因別に見ると、「人手不足」に関連するものに加え、「物価高」を要因とした倒産の件数も増加していることが分かる71第1-1-61図)。

第1-1-61図 倒産件数の推移(内訳)


71 総務省「労働力調査(基本集計)」によれば、倒産件数が前年比で増加した2022年、2023年及び2024年の完全失業率(年平均)はそれぞれ2.6%、2.6%、2.5%であり、2021年の2.8%と比較して横ばいである。

第1-1-62図は、休廃業・解散件数の推移を見たものである。休廃業・解散件数は近年減少傾向にあったものの、2023年に増加傾向に転じ、2024年には約7万件となった72

第1-1-62図 休廃業・解散件数の推移


72 (株)帝国データバンクが定義する「休廃業・解散」について、同社のデータベース等から集計している。集計対象のデータベースや、「休廃業・解散」の定義等によっては、件数や傾向が他の調査結果と異なってくる可能性があることに留意が必要。

第1-1-63図は、休廃業・解散企業数について企業規模別構成比の推移を見たものである。これを見ると、休廃業・解散企業数に占める「小規模事業者」の割合は一貫して9割超となっている。

第1-1-63図 休廃業・解散企業数の企業規模別構成比の推移

第1-1-64図は、休廃業・解散企業における損益別構成比の推移を見たものである。「黒字」の状態で休廃業・解散に至る企業の割合は減少傾向にあるものの、2024年でも51.1%と過半数を占めている。

第1-1-64図 休廃業・解散企業の損益別構成比の推移

第1-1-65図は、休廃業・解散企業における損益別構成比の推移を、企業規模別に見たものである。これを見ると、中規模企業では、休廃業・解散企業に占める「黒字」の割合が2019年をピークに減少傾向にあり、2022年には半数を下回ったが、足下では再び過半数となっている。一方、小規模事業者においては、「赤字」の状態で休廃業・解散に至る割合が2023年に半数を超え、2024年も引き続き「赤字」の割合が過半数を占めていることが分かる。

第1-1-65図 休廃業・解散企業の損益別構成比の推移(企業規模別)

第1-1-66図は、休廃業・解散企業について経営者年齢の推移を見たものである。これを見ると、「70代」、「80代以上」の割合が2016年と比較して増加している傾向にあり、「ピーク年齢」、「平均年齢」も共に上昇傾向にあることが分かる。

第1-1-66図 休廃業・解散企業の経営者年齢の推移

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