2024年版「小規模企業白書」 第4節 まとめ | 中小企業庁

第4節 まとめ

本章では、小規模事業者が売上げを確保し今後も事業を持続的に発展させていくために必要となる取組について分析を行った。

第1節では、小規模事業者の売上げの確保に向けた取組について分析を行った。まず、企業が売上げを確保するためには、自社の製品・商品・サービスの優位性を高め、適正な価格を設定することが重要であり、そのためには個々の製品・商品・サービスを生み出す際に係るコストを把握することが有効であることを示した。また、売上げの確保に当たっては、顧客数を増加させ、販売数量を増加させることも重要である。そのためには、強みを言語化して情報発信を行うことや、顧客ターゲットを明確にした販路開拓の取組を行うことで、新規顧客を獲得することが重要であることを示した。

第2節では、小規模事業者の資金繰りの状況を確認し、資金繰りは改善しているものの、中規模企業と比べて小規模事業者は資金繰りの悪化超幅が大きい状況にあることが分かった。経営者が幅広い業務に従事している小規模事業者では、経理事務の従事人数が少ないことなどを背景に、財務・会計管理を行う頻度が低くなる傾向や、財務・会計管理のデジタル化が進んでいない状況から、財務・会計管理が十分にできていない可能性が考えられる。業務のデジタル化や支援機関等への相談を通じて、財務・会計管理を行うことが資金繰り改善の糸口になる可能性を示した。

第3節では、小規模事業者の人材確保・定着と育成に関する取組について分析した。足下で人手不足感が強まる中で、生産年齢人口の減少や女性や高齢者の就業者数の頭打ちにより、人材供給の制約により、引き続き人材の確保が難しい状況が続くことが見込まれる。また、人材の確保や定着を果たしている事業者は、「賃上げ」や「職場環境の整備」、「休暇制度の充実」などの取組を実施しており、これらの取組の有効性が示唆された。一方で、賃上げの余力が少なく、時間やノウハウが限られる小規模事業者にとっては、支援機関等を活用することや事業者同士で連携することが有効である可能性を示した。

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