トップページ 白書・統計情報 中小企業白書 2024年版 中小企業白書(HTML版) 第2部 環境変化に対応する中小企業 第1章 人への投資と省力化 第4節 まとめ

第4節 まとめ

本章では、中小企業の主要な経営課題である人手不足への対応について、経営課題の解決に寄与する重要な要素と考えられる、「人材の確保」、「多様な人材の活用」、「省力化投資」について分析した。

第1節では、多くの中小企業が人材の確保を課題としており、業種によって不足している人材の質に差がある可能性があることも確認した。このような中で、どのような取組が人材の確保につながるかを分析するため、人材の確保に向けた取組について、「採用」、「育成」、「定着」の観点から分析を行った。「採用」においては、まず、自社の製品・サービスの差別化により、自社の魅力を高めることが、応募を得ることにつながる可能性を確認した。また、職場環境の整備に取り組むことが従業員数の増加につながっている可能性があり、こうした取組が人材確保につながり得ることが示唆された。「育成」においては、新卒採用・中途採用いずれについても、採用後に人材が定着している企業では、長い育成期間が設けられている傾向にあることを確認した。加えて、人材の定着にはOJTだけでなく、OFF-JTを併せて実施することが有効である可能性が示唆された。また、人材の育成に取り組むことが労働生産性等の業績向上につながり得ることも示唆された。「定着」においては、育成の取組が重要であることに加え、従業員の待遇向上への取組や、働き方改善への取組、日常的なコミュニケーションなどが、人材の定着につながっている可能性を示した。

第2節では、「副業・兼業人材」、「シニア人材」について中小企業における活用状況を確認し、今後の拡大余地が大きいことが確認された。また、外国人労働者の活用・育成状況についても確認した。

第3節では、省力化投資は人手不足対応の取組として重要である一方、中小企業においては導入に向けて様々な課題があり、引き続き取組余地が大きいことを確認した。他方で、省力化投資は人手不足の緩和だけでなく、売上げ等の向上や、人材の定着なども期待されることを示唆した。