第5節 企業の規模間移動と開廃業

本節では、企業の規模間移動や、開廃業の状況について触れる。第1-3-24図は、総務省・経済産業省「平成28年、令和3年経済センサス-活動調査」を用いて、存続企業の規模間移動の状況を示したものである。これを見ると、存続企業のうち約254万社は「規模変化なし」となっており、「規模縮小」や「規模拡大」となった企業はごく少数であることが分かる。また、規模が変化した企業のうち、「規模拡大」と「規模縮小」をした企業を見ると、大多数は小規模事業者と中規模企業との間で移動しており、小規模事業者から中規模企業に規模を拡大した企業数が3.8万者であるのに対して、中規模企業から小規模事業者に規模を縮小した企業数は6.5万者となっている。このことから、中規模企業から小規模事業者へ規模を縮小させた企業が比較的多いことが分かる。

第1-3-24図 存続企業の規模間移動の状況

続いて、開業率・廃業率の推移を確認する(第1-3-25図)。開業率は、1988年度をピークとして低下傾向に転じた後、2000年代を通じて緩やかな上昇傾向で推移してきたが、2018年度に再び低下し、2022年度には3.9%となっている。廃業率は2010年度から低下傾向となっているが、2022年度ではわずかに上昇し、3.3%となっている。

第1-3-25図 開業率・廃業率の推移

第1-3-26図は、開業・存続・廃業企業の内訳を、企業規模別に見たものである。これを見ると、開業企業や存続企業に占める小規模事業者の割合と比べて、廃業企業に占める小規模事業者の割合が高いことが分かる。このことから、廃業企業には、小規模事業者が比較的多く存在していることが示唆される。

第1-3-26図 開業・存続・廃業企業の内訳(企業規模別)

第1-2-25図で示したとおり、企業の倒産件数は感染症の感染拡大以降でも比較的低い水準にとどまっていたが、直近の2023年においては増加している。第1-3-27図は、(株)帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査」及び(株)東京商工リサーチ「『休廃業・解散企業』動向調査」を用いて、休廃業・解散件数の推移を見たものである。これを見ると、(株)帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査」における2023年の休廃業・解散件数は59,105件となっている。

第1-3-27図 休廃業・解散件数の推移

第1-3-28図は、企業規模別に、休廃業・解散企業の赤字・黒字割合を見たものである。これを見ると、中規模企業では2022年を底に、足下では休廃業・解散企業の黒字割合が増加し、2023年では55.8%となっている。また、2023年の小規模事業者においては、休廃業・解散企業の黒字割合は、49.6%となっていることが分かる。

第1-3-28図 休廃業・解散企業の損益別構成比(企業規模別)

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