「中小企業が使いやすい譲渡担保制度の実現に向けた提案」について
概要
事業から生まれる在庫商品や債権、知的財産権等を担保とする融資は、不動産を有しない中小企業にとって資金調達の最も有力な手段であり、また、融資する側にとっても、事業価値に応じた効率的な投資が可能となるにもかかわらず、民法には譲渡担保に関する定めがないために、不安定かつ脆弱な担保として、利用促進の阻害の要因となっています。
また、昨今、利用が増加しているプロジェクトファイナンスにおいては、事業価値の全体を把握するために、極めて煩雑な手法で担保権を設定する必要があり、大きな非効率が生じており、こうした問題を解決し、利便性の高い法制度とすることが望まれます。
国際的には、事業価値を担保化できる法制度の整備が進められていることに照らすと、海外競争力のある法制度とすることは、有望な中小企業への海外からの投資を呼び込むことにも資すると考えられます。
中小企業庁では、上記の問題意識から、中小企業契約実態調査等事業において、現在用いられている民法に定めのない制度である譲渡担保権について、ルールの整備及び透明化の確保を図ると同時に、有望な事業を有する中小企業が、将来のキャッシュフローを引当てにして融資を受けられるよう、これを実現するための担保制度について、議論・検討を行いました。
上記の検討結果を踏まえ、このたび、「取引法制研究会」(座長:内田貴 東京大学名誉教授、早稲田大学特命教授、弁護士)より、「中小企業が使いやすい譲渡担保制度の実現に向けた提案」を頂きましたので、公表いたします。
なお、金融庁においても、融資・再生実務のさらなる発展のため、必要な制度整備等について議論を深めるために「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」が設置され、新たな担保権の導入可能性に主に焦点を当てて議論・検討がなされ、新たな担保権の導入による実務の改善の可能性や具体的な制度設計にあたっての課題といった事項について整理した論点整理が公表されています。
資料
参考
(本発表のお問い合わせ先)
中小企業庁事業環境部取引課
電話:03-3501-1669(直通)