エンジェル税制の対象要件
エンジェル税制の対象要件について
エンジェル税制の優遇措置を受けるためには、個人投資家による資金の払込期日時点でベンチャー企業要件と個人投資家要件を満たさなければなりません。
対象要件は、関東経済産業局が作成しているエンジェル税制要件判定シート(2.939KB)でチェックできます。
画面を進めながらエンジェル税制の要件を判定し、要件を満たす場合には、パターンに応じた申請書類の一覧を確認することができます。(組合経由の投資を除く)
- 事前確認制度を利用する場合、申請日時点でベンチャー企業要件のみを確認します。
ベンチャー企業要件
投資した年の減税措置(優遇措置AまたはB)毎に要件が異なります。売却した年の減税措置は、優遇措置A・Bの要件のいずれかを満たせば適用されます。
優遇措置A
(対象企業への投資額-2,000円)を、その年の総所得金額から控除
- 控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低いほう
優遇措置Aの対象となる企業
設立経過年数(事業年度) | 要件 |
---|---|
1年未満かつ最初の事業年度を未経過 | 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。 |
1年未満かつ最初の事業年度を経過 | 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・授業員の10%以上で、直前期までの営業キャッシュ・フローが赤字。 |
1年以上~2年未満 | 試験研究費等(宣言費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超で直前期までの営業キャッシュ・フローが赤字。または新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上で、直前期までの影響キャッシュ・フローが赤字。 |
2年以上~3年未満 | 試験研究費等(宣言費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超で直前期までの営業キャッシュ・フローが赤字。または売上高成長率が25%超以上で、営業キャッシュ・フローが赤字。 |
優遇措置B
対象企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
- 控除対象となる投資額の上限なし
優遇措置Bの対象となる企業
設立経過年数(事業年度) | 要件 |
---|---|
1年未満 | 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。 |
1年以上~2年未満 | 試験研究費等(宣言費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超。または新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。 |
2年以上~5年未満 | 試験研究費等(宣言費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超。または売上高成長率が25%超。 |
5年以上~10年未満 | 試験研究費等(宣言費、マーケティング費用を含む)が収入金額の5%超。 |
- 平成22年4月1日より寄附金控除が改正され、優遇措置Aの自己負担額が5,000円から2,000円に減額されました。
- 設立後、最初の事業年度を経過していない場合には、営業キャッシュフロー赤字の要件は不要ですが、最初の事業年度を経過している場合には、たとえ設立1年未満の企業であっても営業キャッシュフロー赤字の要件が必要です。
- 外部(特定の株主グループ以外)からの投資を1/6以上取り入れている会社であること
- 大規模法人(資本金1億円超等)及び当該大規模法人と特殊な関係(子会社等)にある法人(以下「大規模法人グループ」という)の所有に属さないこと
- 未登録・未上場の株式会社で風俗営業等に該当する事業を行う会社でないこと
個人投資家要件
投資した年の減税措置(優遇措置AまたはB)、売却した年の減税措置ともに共通の要件です。
- 金銭の払込により、対象となる企業の株式を取得していること
- 投資先ベンチャー企業が同族会社である場合には、持株割合が大きいものから第3位までの株主グループの持株割合を順に加算し、その割合が初めて50%超になる時における株主グループに属していないこと
要件のポイント
Ⅰのポイント
エンジェル税制の対象となる中小企業者(株式会社)の定義
中小企業は、“中小企業等経営強化法”第2条第1号から第5号に定義する中小企業のことです。※1
業種 | 資本金の額 | 従業員数 | |
---|---|---|---|
製造業、建設業、 運輸業、その他の業種 |
3億円以下 | 又は | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 又は | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 又は | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 又は | 50人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 又は | 900人以下 |
ソフトウェア業、 情報処理サービス業 |
3億円以下 | 又は | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 又は | 200人以下 |
- 中小企業基本法の第2条で定められている中小企業者と同様の定義です。
- 自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。
Ⅱのポイント
研究者とは
特定の研究テーマを持って研究を行っており、社内で研究を主として行う方で、試験研究費等に含まれる支出がなされる方が該当します。
新事業活動従事者とは
新規製品やサービスの企画・開発に従事する方や、新規製品やサービスが市場において認知されるために必要となる広告宣伝や市場調査の企画を行う方が該当します。
試験研究費等とは
試験研究費等とは以下の試験研究費とその他の費用のことを言います。
試験研究費: |
新たな製品の製造または、新たな技術の発明にかかる試験研究のための特別に支出する費用。 【具体例】 研究者の人件費/試験・研究のための原材料費/試験研究にかかる調査費等経費/外部への試験研究の委託費 |
---|---|
その他の費用: |
新たな技術、もしくは新たな経営組織の採用、技術の改良、市場の開拓または新たな事業の開始のための特別に支出する費用。 【具体例】 技術の採用にかかる費用(技術導入費、特許権の使用、マニュアル使用料等)/経営組織の採用にかかる費用(販売提携や代理店採用にかかる企画担当者の人件費、会議費、調査費等)/技術の改良にかかる費用(製品化に向けての研究者人件費や原材料費、マニュアル作成のための費用等)/市場の開拓等にかかる費用(新製品PRのための広告宣伝費・市場調査費・展示会開催費、PRグッズの制作費や広報パンフレットの作成費等) |
営業活動によるキャッシュ・フローとは
企業活動は、営業活動、投資活動、財務活動の3つの活動からなり、キャッシュ・フロー計算書は、この3つの活動のそれぞれについて現金の出入りを見るものです。営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入れ(製造)、販売、管理活動に伴う現金の出入りを示したものです。一般的な会計処理ソフトウェアには営業活動によるキャッシュ・フローの計算機能がついており、また、B/S、P/Lがあれば営業活動によるキャッシュ・フローを計算することも可能です。
Ⅲのポイント
特定の株主グループとは
発行済株式の総数の30%以上を保有している株主グループ(個人とその親族等)を指します。
外部からの投資を1/6以上取り入れていることとは
上述の特定の株主グループが保有している株式の合計数が、発行済株式の総数の5/6を超えないことを指します。ただし、発行済株式の総数の50%超を保有している株主グループがいる場合には、その株主グループの保有している株式の数だけで発行済株式の総数の5/6を超えなければ、Ⅲの要件を満たしたとみなします。
Ⅳのポイント
大規模法人グループの所有に属さないこととは
発行済株式の総数の1/2超を、1つの大規模法人グループに保有されておらず、また、発行済株式の総数の2/3以上を、複数の大規模法人グループに保有されていないことを言います。
Ⅵのポイント
金銭の払込みとは
他人から譲り受けた株式や、現物出資により取得した株式は対象になりません。
Ⅶのポイント
同族会社とは
同族会社とは、その会社の上位3位までの株主グループ(個人とその親族等)が、当該企業の株式等を50%超保有している会社を指します。