1. はじめに

 大地震が起きたら、事業所が洪水に見舞われたら、新型インフルエンザが流行したら、経営者であるあなたは会社をどうしますか。経営自身、従業員、その家族の安全を守れますか。生産設備をすぐに直せますか。取引先からの受注を継続してもらえるでしょうか。経営基盤が脆弱な中小企業は、緊急事態に遭遇すると何も手を打てずに廃業に追い込まれるおそれが大きいといえます。

 緊急事態に遭っても、多くの経営者は何とかして事業を復旧し、会社を存続させたいと考えるはずです。経営者の頭の中には、緊急時に会社がどういう状況になり、どう行動すべきか、何らかのイメージがあると思います。
 本指針†1は、中小企業の経営者自身が、こうしたイメージを筋道立てて検討し、事前に対策を整理しておくことで、企業が緊急時に生き抜くための手助けをしようとするものです。中小企業であるからこそ、緊急時に生き抜くために事前の備えが重要になるのです。

 すなわち、中小企業の経営者の方々にBCP事業継続計画を策定し、日常的に運用していただくための指針です。本指針では、まず企業がBCPを策定・運用する意味、そして本指針の使い方を説明します。また、簡単な入門診断を用意しましたので、あなたの会社の現在の事業継続能力をチェックしてみて下さい。


BCP指針の公開にあたって     1.1 BCP(事業継続計画)とは