○工具や器具及び備品

・地震
 器具や工具・備品として具体的には電気機器類や什器類等、様々な種類のものが考えられ、それぞれに被害率は異なると考えられるが、それらを逐一分類するのは、設定も評価も困難となるため、ここでは、代表例としてコンピュータ等の損傷率で代表させることとする。
 パソコン・サーバー類については、阪神・淡路大震災の調査事例では7%前後が全損している。これは主に震度7地域であると考えられることから、これに東京消防庁(2004)による震度別の重量物の転倒・落下率を用いて、震度7で被害率が7%になるように、次の通り建物に固定されていない資産の被害率を設定する。

 

被害率

震度7

7.0%

震度6強

5.7%

震度6弱

3.7%

震度5強

1.1%

震度5弱

0.2%

 なお、パソコン・サーバー類の調査は大規模企業を対象に調査しているため、基本的に建物が被害を受けていないと考えられるため、建物が被害を受けた場合は、その割合に応じて、被害率も増すと考える。
 したがって、被害率は、{転倒・落下に伴う被害率×(1-全壊率)+全壊率}とし、これに工具や器具等の資産額をかけたものを被害額とした。

・床上浸水
 床上浸水による被害額については、機械及び装置と同様に償却資産の被害率0.498を資産額に掛け合わせたものとした。

・火災
 火災による被害額については、建物と同様に、資産額に75%を掛け合わせたものとした。


○在庫資産

・地震
 地震時における在庫資産(棚卸資産)の被害状況については、機械・設備と同様に、阪神・淡路大震災の事例が得られている。建物被害と比較すると次の通りである。(「阪神大震災に関する被害及び今後の神戸経済に関する調査結果」、神戸商工会議所より)

図 社屋の被害
図 社屋の被害

図 在庫資産の被害
図 在庫資産の被害


 このグラフをもとに、機械・設備と同様の考え方で計算を行い、在庫資産の被害額を、在庫資産の資産額に建物被害率×0.79を掛け合わせたものとしている。

・床上浸水
 床上浸水の場合の被害額については、国土交通省による東海豪雨の調査結果における在庫資産の被害率0.341を資産額に掛け合わせた値とした。

・火災
 火災の場合の被害額については、建物と同様、資産額の75%とした。


○構築物

・地震
 構築物についても看板塔や門、街灯等、様々なものがあるが、具体的な被害率の評価方法が得られているものとして、ブロック塀の被害率があるため、これを用いることとしている。

・床上浸水
 床上浸水の場合は、被害はないとした。

・火災
 火災の場合は、影響を受けないと考え、被害はないとした。


○車両及び運搬具

・地震
 地震による被害を受けないとした。

・床上浸水
 床上浸水の場合、国土交通省による東海地震豪雨の調査結果において、床上浸水した個人タクシー87者で修理不能車両数31台とのことであったので、車両及び運搬具の資産額に31/87を掛け合わせた値を被害額とした。

・火災
 火災の場合は、被害の影響を受けないとした。


 


建物被害・建物附属設備・機械及び装置     資料16 財務診断モデルにおける緊急時被害想定方法 (2) 間接被害