第1部 平成29年度(2017年度)の小規模事業者の動向

第2節 主要業種ごとに見た小規模事業者の実態

第2節では、小規模事業者の主要業種(第1-2-5図の上位4業種)である「建設業」、「製造業」、「小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」に着目し、その実態について「小規模事業者等の事業活動に関する調査3」に基づき分析していく。

3 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が2017年12月に商工会及び商工会議所の会員のうち、小規模事業者を対象に実施したWebアンケート調査(有効回答件数4,587者)。

1 主要業種ごとの強みと課題

〔1〕事業内容について小規模事業者が強みと感じる要素(主要業種別)

第1-2-10図は、主に働き方について事業者が強みと感じている要素を主要業種別に見たものである。

第1-2-10図 事業内容について小規模事業者が強みと感じる要素(主要業種別)
Excel形式のファイルは こちら

4業種全てにおいて、「顧客との信頼関係が強い」ことを強みとしている割合は約9割と高い傾向になっている。「製品やサービスの質が高い」ことを強みと感じている事業者も、4業種全てで比較的多い傾向にある。

他方、「計数管理がしっかりしている」ことを強みだと感じる割合は、4業種全てで30%を下回り低調である。小規模事業者全体として、計数の管理に課題があると推察される。

続いて業種別に見ていく。「建設業」は、「アフターサービスが充実している」ことを強みと感じている割合が約8割となっている。アフターサービスによる顧客との信頼関係の構築が大切な業種だといえよう。

「製造業」は、「製品やサービスの質が高い」ことを強みとする事業者の割合が、4業種のうち最も高く8割を超えている。ものづくりに自信のある小規模事業者が多いことがうかがえる。他方、「地域に密着している」ことを強みと感じる事業者の割合が少ない。これは、BtoBの事業者の特性であると推察される。

「小売業」は、「地域に密着している」ことを強みだとする事業者の割合が約9割となっている。地域の顧客と良い関係を構築することが大切な業種であると考えられる。

「宿泊業・飲食サービス業」は、他の業種に比べ、「アフターサービスが充実している」ことを強みと感じる事業者の割合が低い。これは、生産と消費の同時性がある業種の特徴といえよう。

〔2〕働き方について小規模事業者が強みと感じる要素(主要業種別)

第1-2-11図は、主に働き方について事業者が強みと感じている要素を主要業種別に見たものである。

第1-2-11図 働き方について小規模事業者が強みと感じる要素(主要業種別)
Excel形式のファイルは こちら

いずれの業種においても、「経営者と従業員とのコミュニケーションが盛ん」、「従業員の職場と住居が近く通勤しやすい」ことを半数ほどが強みと感じており、これらは小規模事業者の働き方の特徴だと考えられる。

他方、いずれの業種においても「若い人材の採用に積極的である」、「多様な人材が活躍(シニア、介護・子育て中など)」を強みと感じている小規模事業者は少ない傾向である。

業種別で見てみると、「宿泊業・飲食サービス業」では、「休暇の取得や勤務時間の調整が柔軟である」ことを強みと感じている事業者は25%ほどであり、低調な割合となっている。

〔3〕経営上の課題(主要業種別)

次に経営上の課題を業種別に確認すると、「小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」は、「売上低下・売上高の伸び悩み」が最も課題と感じている一方、建設業は「人手不足」を最も課題だと感じており、主要業種の中では、「建設業」が最も「人手不足」と回答している企業の比率が高くなっている(第1-2-12図)。

第1-2-12図 経営上、最も課題と感じること(主要業種別)
Excel形式のファイルは こちら
前の項目に戻る 次の項目に進む