2 小規模事業者の類型化
小規模事業者は、全体で325万者おり中小企業全体の約9割を占め、多種多様な姿がある。これらを一体として見てしまうと、その多様性を捉えきれない恐れがある。小規模事業者の全体を類型化した上で分析することで、実態を把握しやすくなると考えられる。本項では、小規模事業者全体を〔1〕個人事業者(常用雇用者2なし)、〔2〕個人事業者(常用雇用者あり)、〔3〕法人(常用雇用者なし)、〔4〕法人(常用雇用者あり)の4つに類型化し、分析していく。
2 「経済センサス」の定義によれば、「常用雇用者」とは、期間を定めずに雇用されている人若しくは1か月を超える期間を定めて雇用されている人、または調査対象の前2か月にそれぞれ18日以上雇用されている人をいう。
〔1〕小規模事業者数(個人法人別、常用雇用者有無別)
第1-2-4図では、類型ごとの事業者数を示している。

〔1〕個人事業者(常用雇用者なし)は約113万者おり、4つの類型のうち最も事業者数が多い。個人事業主及び無給の家族従業員のみで経営している事業者である。
〔2〕個人事業者(常用雇用者あり)は、雇用を生み出している個人事業者であり、約84万者いる。この類型で雇用している常用雇用者数は約177万人である。
〔3〕法人(常用雇用者なし)は、4つの類型では最も少ない約31万者となっている。役員のみで経営している事業者である。
〔4〕法人(常用雇用者あり)は約97万者おり、常用雇用者約415万人を雇用している。小規模事業者の中では比較的規模が大きい事業者が含まれる。
〔2〕小規模事業者の類型別に見た企業数(業種別)
第1-2-5図は、類型別の小規模事業者数を業種ごとに見たものである。小規模事業者数は、「小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「建設業」、「製造業」の順に多い。
個人事業者(常雇なし)について見ると、「小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「生活関連サービス業」の数が多く、これらの業種は経営者とその家族で経営しているごく小さな事業者が多いと考えられる。
法人(常雇あり)について見ると「建設業」、「製造業」が多く、これらの業種は比較的組織的な経営をしていると推察される。

〔3〕小規模事業者の類型別に見た企業数の変化
第1-2-6図は、2009年~2014年までの小規模事業者数の増減を類型別に示したものである。
個人事業者(常雇なし)と個人事業者(常雇あり)の数は、いずれの業種においても減少しているが、特に「小売業」、「宿泊・飲食サービス業」の減少が多い。
また、法人について見ると、法人(常雇なし)数の増減は、いずれの業種でもそれほど多くない一方、法人(常雇あり)数の増減は、「建設業」の減少数が最も多いといった特徴がある。
以上のように、類型ごとに企業数の変化に特徴があることが分かる。
