第1部 平成29年度(2017年度)の小規模事業者の動向

第2章 小規模事業者の構造分析

前章で確認したとおり、小規模事業者の業況は改善傾向にあるものの、他方で、中小企業に比べて売上高が伸び悩んでいるなどの課題を抱えている。

我が国の中小企業は、2014年時点で約381万者と企業数全体の99.7%を占めており、従業者数は約3,361万人と雇用全体の7割を創出している。我が国経済の屋台骨を支えている中小企業をつぶさに見れば、多種多様なビジネスを展開しており、一様に捉えることは困難であるが、一者当たりの従業員数、売上高や利益水準等の面から日本の中小企業の典型像を捉えておきたい。一般社団法人CRD協会が約129万者から収集したデータの中央値を見ると、下表のとおり、従業員数は3人、売上高は6,790万円、経常利益は160万円、総資産は5,420万円、資本金は510万円となり、日本の中小企業の典型像がかなり規模の小さい事業者であることが分かる。

本章では、日本の中小企業の典型像である小規模事業者の抱える課題への解決策を検討する入口として、小規模事業者の構造について分析していく。

第1-2-1図 CRDから見た日本の中小企業像(2015年決算期)(法人及び個人事業者)
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第1節 小規模事業者の全体像

本節では、まず小規模事業者全体の構造を示す。続いて小規模事業者から中規模企業に拡大した事業者について分析する。

1 小規模事業者数の推移

〔1〕企業規模別企業数の推移

はじめに企業数の変化について見ていく。我が国の企業数は年々減少傾向にあり、2009年から2014年まで約39万者減少している(第1-2-2図)。企業規模別に内訳を見ると、中規模企業1が約2万者増加している傍ら、大企業は約800者、小規模事業者は約41万者減少しており、企業数の減少は小規模事業者の減少の影響が大きいことが分かる。

1 ここでいう「中規模企業」とは、中小企業基本法上の中小企業のうち、同法上の小規模企業にあてはまらない企業をいう。

第1-2-2図 企業規模別企業数の推移
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〔2〕小規模事業者数(個人法人別)の推移

第1-2-3図は、小規模事業者数の推移を組織形態別に示したものである。2009年から2014年の間で約41万者減少した小規模事業者の中でも、個人事業者は約33万者減少していることが分かる。

第1-2-3図 小規模事業者数の推移(個人法人別)
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