第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

2 買い手としてのM&Aの実施

以下では、M&Aの実施状況別に、今後買い手としてのM&Aを行う上での考えについて見ていく。はじめに、過去のM&Aの実施状況別に、今後のM&Aの実施意向について見てみると、「実施をした」という企業では今後のM&Aの実施に積極的であることが見て取れる(第2-6-39図)。

第2-6-39図 M&Aの実施状況別に見た、今後のM&Aの実施意向
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ここからは、過去のM&Aの実施の有無に着目して分析していくこととしたい。

買い手としてのM&Aの目的や想定する効果を見ていくと、「売上・市場シェアの拡大」や「事業エリアの拡大」を挙げる企業が多い(第2-6-40図)。また、実施の有無で見ると、実施した企業の方がその傾向が強く、事業規模や事業領域を拡大させる手段として活用が検討されていることがうかがえる。

第2-6-40図 M&Aの実施有無別に見た、買い手としてのM&Aの目的や想定する効果
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買い手としてのM&Aを行う際の相手先の探し方を見ていくと、「金融機関に探索を依頼する」を挙げる企業が多い(第2-6-41図)。また、M&Aを実施した企業では、「自社で独自に探索する」という割合が高い。

第2-6-41図 M&Aの実施有無別に見た、買い手としてのM&Aを行う際の相手先の探し方
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次に、買い手としてのM&Aの相手先について重視する確認事項を見ていくと、「直近の収益状況」を挙げる企業が最も多く、次いで、「借入等の負債状況」、「事業収益の成長性や持続性」が続く(第2-6-42図)。実施の有無別では、実施企業ほど、収益面の確認を重視する傾向がうかがえる。

第2-6-42図 M&Aの実施有無別に見た、買い手としてのM&Aの相手先について重視する確認事項
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続いて、買い手としてのM&Aを行う際の障壁について見ていくと、「期待する効果が得られるかよく分からない」を挙げる企業が最も多く、「判断材料としての情報が不足している」が次いで多く、未実施企業ほどその割合が高くなっている(第2-6-43図)。また、実施企業では、「相手先の従業員等の理解が得られるか不安がある」や「仲介等の手数料が高い」を挙げる傾向が強い。こうした点は、前節で見た実施企業における課題と共通して見られる点である。

第2-6-43図 M&Aの実施有無別に見た、買い手としてのM&Aを行う際の障壁
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