第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

第4節 今後の成長戦略としてのM&A

前節までで見たとおり、実際にM&Aを実施したことがある企業はまだまだ多くはないものの、近年、中小企業においてもM&Aを実施する企業は増加傾向にある。また、実際にM&Aを実施した企業では、売上高の増加等を通じて労働生産性の向上をしていることが見て取れた。

本節では、今後のM&Aの実施意向について見ていく。戦略としてのM&Aについては、自らが買い手となる場合もあれば、売り手として他社の傘下に入ることや事業の一部を切り離すことも考えられる。このような、買い手としてのM&Aや売り手としてのM&Aについて、その検討状況や課題と概観していくとともに、今後M&Aを推進していくための政策ニーズについても分析していく。

1 成長戦略としてのM&Aの実施意向

今後のM&Aの活用に関して見てみると、程度の差はあるものの、半数程度の企業が何らかの関心を持っていると考えられる(第2-6-37図)。特に、「積極的に取り組んでいく」や「良い話があれば検討したい」と回答した割合は3割を占めている。また、買い手・売り手いずれに関心があるのかという点では、「買い手としてのM&Aに関心がある」が67.0%で、「買い手、売り手としてのM&Aいずれにも関心がある」の20.2%と合わせると、買い手としてのM&Aに関心のある企業が多いことが分かる。

第2-6-37図 今後のM&Aの実施意向
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さらに、経営者年齢別に詳細に見ていくと、40歳代以下の若い経営者ほど今後のM&Aの活用に関心があることが見て取れる(第2-6-38図)。また、買い手・売り手いずれに関心があるのかという点では、若い経営者ほど、「買い手としてのM&Aに関心がある」という傾向が強く、経営者年齢が高いほど「売り手としてのM&Aに関心がある」と回答する割合が高い傾向が見て取れる。

第2-6-38図 経営者年齢別に見た、今後のM&Aの実施意向
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