第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

第4節 まとめ

以上、本章では中小企業の設備投資に焦点を当て分析を行ってきた。まず、中小企業の設備投資の現状は、老朽化する設備の維持・更新投資を中心に緩やかな増加基調にあること、一方で、省力化投資等の生産性向上につながる設備投資へのスタンスは消極化しているなどの課題があることも確認した。

次に、経常利益が過去最高水準にあるなど、良好な投資環境に比して、中小企業の設備投資が力強さに欠く背景について分析した。主な要因として、我が国経済の期待成長率が低下し、後継者不在企業が増加する中、中小企業の事業の先行きについて見通せなくなっていることや、一部の経常赤字の中小企業が資金制約により投資を抑制している可能性があることを分析した。

最後に、設備投資と生産性の関係を分析したところ、中小企業では大企業に比べて、資本の効率的な活用が遅れていること、生産性を向上させていく上では、省力化投資等が重要であることが分かった。深刻化する人手不足の状況に対応していくためにも、設備投資をより一層促進し、中小企業の生産性を向上させていくことが期待される。

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