2 投資目的別の投資動向
〔1〕投資目的別の設備投資のスタンス
足下で緩やかな増加傾向にある設備投資であるが、投資目的別に確認するとどのような目的の投資が増加しているだろうか。以下では、内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」を用いて、過去10年の中小企業の投資目的別の設備投資スタンスについて確認する(第2-5-4図)。

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まず直近の2017年度では、「維持更新」と回答する企業が最も多くなっており、更に10年を通じて、「維持更新」と回答する企業の比率が増加していることが確認できる。後述するように、中小企業の設備年齢が上昇傾向を続けていることが背景にあると考えられる。他方、付加価値拡大に資すると考えられる「生産(販売)能力の拡大」、「製(商)品・サービスの質的向上」と回答する企業の比率や、労働投入量の効率化に資すると考えられる「省力化合理化」と回答する企業の比率は、過去10年で低下傾向にあることが見て取れる。
〔2〕設備年齢
次に設備を新設してからの経過年数を示す設備年齢の推移を確認する。中小企業と大企業の設備年齢がほぼ同水準だった1990年の設備年齢指数をそれぞれ100としてその推移を見てみると、足下の2016年度において大企業の設備年齢指数は148.6と1990年から約1.5倍となっているのに対し、中小企業の設備年齢指数は194.1と約2倍にまで増加しており、中小企業の設備が大企業の設備に比して老朽化が進んでいることが分かる(第2-5-5図)。これまでに見てきたとおり、過去10年間で投資目的を維持更新とする企業の割合が高まってきたのは、このように設備の老朽化が進んでいることが背景にあるものと考えられる。

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