第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

第5章 設備投資による労働生産性の向上

第5章では中小企業の設備投資の状況及び設備投資による労働生産性の向上について、各種統計調査及び「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(以下、「アンケート調査」という。)を用いて分析していく。

第1節 中小企業の設備投資の現状

第1部第1章第2節で見たように、我が国の中小企業の設備投資は緩やかな増加傾向にある。第1節では、こうした設備投資の現状についてより詳細に確認する。

1 中小企業の設備投資推移

〔1〕業種別の設備投資額の推移

はじめに、中小企業の設備投資額を業種別に確認すると、製造業について直近で一服感が見られるものの、総じて見れば、製造業、非製造業共に緩やかな増加傾向にあることが見て取れる(第2-5-1図)。他方、いずれの業種もリーマンショック前の水準には達していない。

第2-5-1図 中小企業の業種別設備投資額の推移
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〔2〕業種別の設備投資実施率の推移

設備投資の実施率についても確認すると、2010年以降、製造業・非製造業共に緩やかな増加傾向にある(第2-5-2図)。また、直近ではリーマン・ショック前の水準を上回っており、中小企業の設備投資に広がりが出てきていることが分かる。

第2-5-2図 業種別中小企業の設備投資実施比率
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〔3〕設備投資の過不足状況

次に、設備の不足感を見るため、企業規模別、業種別に生産・営業用設備判断DIの推移を確認すると、製造業は大企業、中小企業共に2009年をピークに以降は徐々に設備の過剰感が解消され、足下の2017年に入るとかえって不足超の状況に転じている(第2-5-3図)。非製造業について見ると、2013年第1四半期以降はほぼ全ての期間において不足超の状況が続いている。したがって、2017年は、製造業、非製造業の別を問わず、全体的に設備の不足感が強まっていることが分かる。

第2-5-3図 企業規模・業種別 生産・営業用設備判断DIの推移
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