第3節 バックオフィス(財務会計、勤怠管理)におけるIT利活用
第3節では、バックオフィス領域の財務会計と勤怠管理におけるIT利活用に着目し、クラウド・サービスの省力化効果を確認する。次にクラウド会計導入の副次的効果として、インターネットバンキングとの連携や管理会計の取組に着目する。
1 会計と勤怠管理におけるIT
〔1〕会計業務と勤怠管理業務におけるIT導入状況
会計も勤怠管理も最も多いのはソフト(インストール型・パッケージ型)である(第2-4-25図、第2-4-26図)。ソフト(クラウド型)は会計では約14%、勤怠管理では約10%で利用されている。社外へのアウトソーシングは会計の方が勤怠管理よりも多い。


〔2〕会計業務と勤怠管理業務におけるクラウド
第2-4-27図と第2-4-28図は、クラウドを導入した企業に対して、月次処理に要する人日が導入前後でどれだけ変化を見たものである。クラウド会計では、導入前後で変わらなかった(削減が0割)企業や、むしろ増加した(削減が0割未満)企業が17%程度存在するが、それらを含めた有効回答のあった企業全体で、クラウド会計の導入による月次処理の人日削減割合の平均値は2.6割であった。


クラウド勤怠管理では、導入前後で変わらなかった(削減が0割)企業や、むしろ増加した(削減が0割未満)企業が21%程度存在するが、それらを含めた有効回答のあった企業全体で、クラウド勤怠管理の導入による月次処理の人日削減割合の平均値は2.6割であった。
〔3〕クラウド会計の導入のきっかけ
さらに、クラウド会計については導入のきっかけと得られた効果も尋ねた。
導入のきっかけ(第2-4-29図)は、「社外専門家(公認会計士・税理士等)からの紹介」が圧倒的に多く約4割を占める。次いで、「ITベンダーや情報システム会社からの提案」と「親会社や取引先からの要請・紹介」が15%前後で続き、他は5%未満である。

〔4〕クラウド会計の導入により得られた効果
得られた効果(第2-4-30図)は、「経理・会計業務にかかる業務時間の削減」が圧倒的に多く約半数を占める。次いで、「セキュリティの向上」、「クラウド上で情報を集約管理するため」、「更新作業の効率化」が15%強で続く。
