第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

第4節 まとめ

以上、第2章では中小企業における「業務プロセスの見直し」について概観してきた。人手不足下において労働生産性を向上させるためには、現状の業務を見直し、業務を効率化することが重要と考えられ、本章においてはアンケート調査を用いて、中小企業における業務見直しの取組の現状や効果について分析を行ってきた。

業務見直しの取組状況としては、取組単位の違いはあるものの全体の8割以上の企業が実施しており、従業員規模が大きくなるほど、社内のより大きい単位で業務見直しを行っていることが分かった。そして、業務見直しを行ったきっかけとして強く挙げられたのが、「人手不足」となっており、人手不足の状況下において業務効率化を図るために業務見直しが重視されているものと考えられる。

業務見直しを行うことに対する課題として、「時間が取れない」という回答が多かったものの、実際に業務見直しに取り組んだ企業においては、各業種において人手不足や生産性向上の効果を感じている割合が過半数を超える結果となっていることが見て取れた。加えて、労働生産性の向上を実感している企業においては、経営者や経営層がリーダーシップを発揮して業務見直しに取り組んでいる傾向にあることが分かった。経営者には、時間がない中でもリーダーシップを発揮して業務見直しを進め、生産性を向上させていくことが期待される。

そして、他の生産性向上策と業務見直しを行うことによる生産性向上の効果を確認したところ、業務見直しと併せて生産性向上へ向けた取組を実施している企業の方が、当該取組のみを実施している企業に比べて、生産性が向上した企業の比率が高くなっていることが分かった。他の取組によって生産性を向上させていく上では、業務見直しを行うことが鍵となると考えられよう。

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