第1部 平成29年度(2017年度)の中小企業の動向

第2節 我が国企業の構造変化

本節では、我が国の企業数や従業者数及び付加価値額を、常用雇用者階級と設立年の視点で区分し、その構造変化を概観する。また、常用雇用者階級別と設立年別に見る労働生産性の状況について分析する。

1 我が国企業数の構造

本項では、我が国企業の構造について、常用雇用者階級3と設立年の視点から分析する。

第1-2-7図は、常用雇用者階級別と設立年別4に見た我が国企業数の分布である。

3 ここでは常用雇用者数によって階級を分けている。常用雇用者とは期間を定めずに、又は1か月以上の期間を定めて雇用をしている人を指す。個人事業主自身やその家族で無給の人、有給役員、臨時雇用者(1か月未満の期間を定めて雇用をしている人や、日々雇用をしている人)は常用雇用者に含まれない。

4 経済センサスにおいては、会社や企業の創業時期ではなく、当該事業所が現在の場所で事業を始めた事業所開設時期を調査している。ここでの設立年は、事業所のうち最も古い事業所の開設時期を企業の設立年とみなして集計している。したがって、事業所の移転により、異なる2時点を比較したとき、同一かつ継続している企業の設立年が若返る可能性がある。

第1-2-7図 常用雇用者階級別、設立年別企業数(2014年、中小企業、大企業)
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第1-2-7図〔2〕 常用雇用者階級別、設立年別企業数(2014年、中小企業、大企業)
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常用雇用者階級別では、「1~5人」の企業が約159万者(全体の約42%)と最も多く、続いて「0人」の企業が約144万者(全体の約38%)と続き、常用雇用者数5人以下の企業で約303万者と全体の約79%を占める。「1~5人」と「6~10人」の間には企業数に大きな差があり、以降、常用雇用者階級が大きくなるにつれて企業数は減少する。「21~300人」の規模は約23万者(全体の約6%)、「301人以上」の企業になると、大企業を含めて約1.4万者(全体の約0.4%)に過ぎない。

次に設立年別5で見てみる。1984年以前に設立された企業が約156万者(全体の約41%)を占めており、1985年から1994年(10年間)に設立された企業が約72万者(全体の約19%)、1995年から2004年(10年間)に設立された企業が約75万者(全体の約20%)、2005年以降(10年間6)に設立された企業が約76万者(全体の約20%)となっている。

5 経済センサスの調査票では、事業所開設時期について「昭和59年以前」、「昭和60年~平成6年」、「平成7年~16年」、「平成17年以降(具体的な年を記載)」という選択肢で調査しており、その区分に従っている。

6 平成26年経済センサス‐基礎調査の調査対象である2014年7月1日時点までの10年間。

常用雇用者階級と設立年の関係で見ると、1984年以前に設立された常用雇用者数1~5人の企業が約64万者(約17%)と一番多く、次いで1984年以前に設立された常用雇用者数0人の企業が約61万者(約16%)と続き、この2つの区分で我が国企業全体の約33%を占めている。

続いて、2009年から2014年にかけて変化した企業数の内訳を設立年別と常用雇用者階級別に見てみる(第1-2-8図)。

第1-2-8図 設立年別企業数の変化(2009年→2014年、中小企業、大企業)
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第1-2-8図〔2〕 設立年別企業数の変化(2009年→2014年、中小企業、大企業)
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設立年別企業数の変化では、1984年以前に設立した企業が約43万者減少、1985年から1994年に設立した企業が約12万者減少、1995年から2004年に設立した企業が約15万者減少している。他方で2005年以降に設立した企業が31万者増加したことで、全体では39万者の減少となっている。

常用雇用者階級別に見ると、5人以下の企業が約41万者減少している。そのうち、1984年以前に設立している企業が大きく減少している。

1984年以前の設立年区分以外では、常用雇用者数が50人を超える階層の企業が若干増加しており、年数の経過とともに常用雇用者数を拡大している企業も一定数見られる。

続いて、2009年から2014年にかけて変化した企業数の内訳を業種別7に見ていく。減少が大きい順に、小売業が約19万者減少、建設業が6.4万者減少、サービス業が4.4万者減少、製造業が3.3万者減少となっている。

7 ここでは、情報通信業、学術研究・専門サービス、宿泊業、生活関連サービス、娯楽業、教育学習支援、医療福祉、複合サービス、その他サービス業を「サービス業」として区分している。

設立年別に見てみると、小売業やサービス業については、1984年以前の企業の減少が大きいが、2005年以降に設立した企業も多く、開業・廃業が多い状況が見て取れる。

第1-2-9図 業種別企業数の変化(2009年→2014年、中小企業、大企業)
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第1-2-9図〔2〕 業種別企業数の変化(2009年→2014年、中小企業、大企業)
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