平成28年度において講じた小規模企業施策

第5章 その他の小規模企業振興関係施策

第1節 被災地の中小企業・小規模事業者対象

1.マル経・衛経融資の貸付限度額・金利引下げ措置の拡充【財政投融資】

東日本大震災及び、平成28年熊本地震により直接又は間接的に被害を受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証・低利で利用できる日本公庫によるマル経・衛経融資の貸付限度の拡充や金利の引下げを実施した。(東日本大震災型の平成28年度の実績は、マル経融資で503件、1,680百万円、衛経融資で4件、7百万円(平成29年1月末時点)。平成28年度熊本地震型の平成28年度の実績は、マル経融資で38件、157百万円、衛経融資の実績はなし(平成29年1月末時点)。)

2.政策金融事業【28年度予算:157億円の内数】【財政投融資】

東日本大震災及び熊本地震により被害を受けた中小企業・小規模事業者への資金繰り支援として、日本公庫(国民生活事業及び中小企業事業)・商工中金において、「東日本大震災復興特別貸付」及び「平成28年熊本地震特別貸付」(平成28年6月制度開始)を継続的に実施している。本制度の運用開始後、平成28年12月末までの貸付実績は、東日本大震災復興特別貸付が、約29万7千件、約6兆357億円、平成28年熊本地震特別貸付が、約1万2千件、約1,650億円となった。また、東日本大震災においては、原発事故に係る警戒区域等の公示の際に当該区域内に事業所を有していた中小企業・小規模事業者や、地震・津波により事業所等が全壊・流失した中小企業・小規模事業者に対しては、県の財団法人等を通じ、実質無利子化する措置も平成23年度に創設(平成23年8月22日より措置)しているところ、平成28年度も引き続き実施した。

3.信用保証事業【28年度補正予算184億円の内数】

東日本大震災により被害を受けた中小企業等を対象に、既存の一般保証や災害関係保証、セーフティネット保証とは別枠の新たな保証制度を平成23年度に創設。平成27年度も、特定被災区域内において引き続き実施した(100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。本制度の運用を開始した平成23年5月23日から平成28年12月末までの保証承諾実績は、129,773件、2兆6,361億円であった。

また、平成28年4月に発生した熊本地震においては、九州全域でセーフティネット保証4号(平成28年4月14日より順次発動)を発動したほか、熊本県全域(平成28年4月26日発動)では災害関係保証も発動した。両制度の平成28年12月末までの保証承諾実績は、6,538件、1,067億円であった。

4.原子力災害に伴う「特定地域中小企業特別資金」

原子力発電所事故の被災区域に事業所を有する中小企業等が福島県内において事業を継続・再開する場合に必要な事業資金(運転資金・設備資金)を長期・無利子、無担保での融資を行った。

5.「産業復興相談センター」及び「産業復興機構」による事業再生支援【28年度予算:25.6億円】

平成23年度に、被災各県の中小企業再生支援協議会の体制を拡充して「産業復興相談センター」を設立するとともに、債権買取等を行う「産業復興機構」を設立することで、東日本大震災により被害を受けた中小事業者等の事業再生支援を強化した。平成28年度には、事業者への相談体制を拡充させるため、福島県いわき市に常設窓口を新たに開設。各県の産業復興相談センターにおいては、平成29年2月28日までに5,594件の事業者からの相談に対応しており、そのうち対応を終了したものは5,481件となった。主な実績としては、金融機関等による金融支援について合意した案件は1,029件、うち債権買取は333件となった。

6.「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構」による事業再生支援

被災事業者の二重ローン問題に対応するため、東日本大震災事業者再生支援機構では旧債務に係る返済負担の軽減等の支援を実施した。東日本大震災事業者再生支援機構では、平成24年3月5日の業務開始以来これまでに2,502件の相談を受け付けており、そのうち687件の事業者に対して、債権買取等の再生支援を行う旨の決定をした(平成29年2月末現在)。

また、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法に基づき、平成28年12月20日に主務大臣の認可を受けて、支援決定期間を平成30年2月22日まで1年間延長した。

7.再生可能性を判断する間の利子負担の軽減

東日本大震災及び原子力発電所の事故による被害を受けた中小企業者や小規模事業者等が産業復興相談センターを活用した事業再建に取り組む際に、金利負担を低減することにより、早期の事業再生の実現を図ることを目的とする事業、具体的には産業復興相談センターによる再生計画策定支援の期間中に発生する利子を補填するもので平成23年度に創設した。本施策については、平成28年度も引き続き実施した。

8.被災中小企業復興支援リース補助事業

被災中小企業の二重債務負担の軽減を図るため、東日本大震災に起因する設備の滅失等により債務を抱えた中小企業に対し、設備を再度導入する場合のリース料の10%を補助した。

9.中小企業組合等共同施設等災害復旧事業

○東日本大震災【28年度予算:290億円】

東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進するため、

〔1〕複数の中小企業等から構成されるグループが復興事業計画を作成し、地域経済や雇用維持に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた場合に、計画実施に必要な施設・設備の復旧にかかる費用に対して、国が1/2、県が1/4の補助、

〔2〕商工会等の中小企業者のための指導・相談施設等の災害復旧事業にかかる費用に対して、国が1/2の補助

を実施し、被災した中小企業等のグループ等の施設の復旧等に対して支援を行った。

○熊本地震【28年度補正予算:1003.5億】

熊本地震に係る被災地域の復旧及び復興を促進するため、

〔1〕複数の中小企業等から構成されるグループが復興事業計画を作成し、地域経済や雇用維持に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた場合に、計画実施に必要な施設・設備の復旧にかかる費用に対して、国が1/2、県が1/4の補助、

〔2〕商工会等の中小企業者のための指導・相談施設等の災害復旧事業にかかる費用に対して、国が1/2の補助、

〔3〕激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律第150号)に基づき、事業協同組合等が行う共同施設の災害復旧事業にかかる費用に対して、国が1/2、県が1/4の補助、

〔4〕商店街における、被災したアーケードの撤去・改修、共同施設の改修・建替え、街路灯等の設備の改修等に要する費用に対して、国が1/2、県が1/4の補助

を実施し、被災した中小企業等のグループ等の施設の復旧等に対して支援を行った。

※〔1〕及び〔2〕については、28年度予算を繰り越して29年度においても引き続き公募等を実施する。

10.仮設工場仮設店舗整備事業【28年度予算:8.3億円の内数】

東日本大震災の被害を受けた中小企業者等の早期事業再開を支援するため、中小機構が仮設工場や仮設店舗等を整備し、被災市町村を通じて原則無償で貸し出す事業を実施しており、平成29年1月末までに6県52市町村588箇所に施設を設置している。また、平成26年4月より仮設施設の本設化、移設、撤去に要する費用の助成事業を実施しており、平成29年1月末までに38件の助成を実施している。

11.施設・設備の復旧・整備に対する貸付け

○東日本大震災

東日本大震災により被害を受けた中小企業者が、県から認定を受けた復興事業計画に基づいて、その計画を実施するために必要な施設・設備の復旧・整備を行う場合に、中小機構と県が協力して、必要な資金の貸し付けを行った。

○熊本地震

熊本地震により被害を受けた中小企業者が、県から認定を受けた復興事業計画に基づいて、その計画を実施するために必要な施設・設備の復旧・整備を行う場合に、中小機構と県が協力して、必要な資金の貸し付けを行った。

12.事業復興型雇用創出事業【28年度予算:40.6億円】

被災地での安定的な雇用を創出するため、産業施策と一体となって雇用面から支援を実施した。

13.特別相談窓口等の設置

全国の日本公庫、商工中金、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、中小機構地域本部等及び経済産業局に特別相談窓口を設置し、東日本大震災等の被災中小企業者等からの経営・金融相談に応じた。

14.中小企業電話相談ナビダイヤルの実施

どこに相談したらよいか困っている中小企業のために、一つの電話番号で最寄りの経済産業局につながる「中小企業電話相談ナビダイヤル」を実施した。

15.官公需における被災地域等の中小企業者に対する配慮【28年度予算:9.9億円】

「平成28年熊本地震」に関し、被災地域の中小企業・小規模事業者に対する官公需における配慮について、4月27日付で中小企業庁長官名にて各府省等あて要請文書を発出するとともに、その後、毎年度策定する「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」にも盛り込んだ。また、引き続き、東日本大震災の被災地域等の中小企業・小規模事業者に対する配慮等を同基本方針に盛り込み、周知徹底を図った。

16.被災者雇用開発助成金【28年度予算:2.2億円】

東日本大震災による被災離職者等の方を、ハローワーク等の紹介により、継続して1年以上雇用することが見込まれる労働者として雇い入れる事業主に対して、助成金を支給した。また、対象労働者を10人以上雇い入れる事業主に対して助成金を上乗せした。

17.放射線量測定指導・助言事業【28年度予算:0.3億円】

今後、避難指示区域の見直し・解除とともに被災企業の事業再開や被災地への企業立地の進展が見込まれる。こうした動きを踏まえ、風評被害対策として、工業品等の放射線量や放射性物質の種類・量の測定、検査及び指導・助言を行った。

18.福島県等復興産学官連携支援事業【28年度予算:1.0億円】

東日本大震災、原子力災害により、未だ風評の影響が残る福島県、宮城県を対象として、被災企業と大学、公的研究機関、大手企業等との連携の機会を提供し、試作品製作等を支援することにより、商品開発、販路開拓を促進した。

19.原子力災害対応雇用支援事業【28年度予算:42.4億円】

原子力災害の影響を受けた福島県内の被災者の一時的な雇用の場を確保し、生活の安定を図るための事業を実施した。

20.震災等対応雇用支援事業

被災地における被災者の一時的な雇用の場を確保し、生活の安定を図るための事業を実施した。

21.商店街震災復旧等事業(商店街にぎわい創出事業)【28年度予備費:11億円の内数】

熊本地震により被災した地域(熊本県)の商店街による商店街のにぎわいを取り戻すための事業の実施にかかる費用に対して支援を行った。

22.福島イノベーション・コースト構想 地域復興実用化開発等促進事業【28年度予算:69.7億円】

ロボット技術など福島イノベーション・コースト構想の重点分野(*)について、地元企業との連携等による地域振興に資する実用化開発等の費用を支援した。(新規)

*廃炉、ロボット、エネルギー、環境・リサイクル、農林水産業、医療機器等の分野を言います。

23.中小・小規模事業者の事業再開等支援事業【28年度予算:74.0億円(基金)】

福島県の原子力被災12市町村で被災した中小事業者の自立を集中的に支援し、当該地域における働く場の創出や、買い物をする場などまち機能の早期回復を図るため、事業再開等に要する設備投資等の費用の一部補助を行った。

24.原子力災害被災地域における創業等支援事業【28年度補正予算:1.5億円】

福島県の原子力被災12市町村のまち機能の回復やそれを通じた被災事業者の自立に向け、新規創業や12市町村外からの事業展開等に際して必要となる設備投資等に対する補助を行うとともに、投資の活性化に向けた環境の整備を行った。

25.生活関連サービスに要する移動・輸送手段の確保支援事業【28年度予算:1.4億円】

福島県の原子力被災12市町村において、地元商店による共同配達や医療サービス等に必要な移動・輸送手段の支援を行った。

26.人材マッチングによる人材確保支援事業【28年度予算:5.0億円】

福島県の原子力被災12市町村において、人材コーディネーターが被災地の事業者が求める人材ニーズをきめ細かく把握し、12市町村内外からの人材の呼び込みを進めるべく、これらニーズを求職者に幅広く共有し、マッチング支援を行った。

27.6次産業化等へ向けた事業者間マッチング事業【28年度予算:3.7億円】

事業者の販路開拓や新ビジネス創出等のため、事業者間マッチング等を行った。具体的には、事業者間のマッチングに加え、マッチング後の事業が円滑に進むように専門家による指導等により事業者をサポートを行った。

28.地域の伝統・魅力等の発信支援事業【28年度予算:0.5億円】

福島県の原子力12市町村の地域の魅力や伝統工芸品や特産品(地元の農・商工産品)等を国内外に発信するため、展示会への出展等を行う事業者等へ支援を行った。

29.官民合同チーム個別訪問支援事業【28年度予算:82.0億円(基金)】

福島相双復興官民合同チームにおける、福島県の原子力被災12市町村の被災事業者に対する相談支援体制を強化。カウンセラー、コンサルタント、中小企業診断士等の専門家を交えたチームを構築し、事業再開、承継・転業、生活再建等の課題について、事業者に寄り添ったコンサルティング支援を行った。

第2節 財務基盤の強化

1.法人税の軽減税率【税制】

年所得800万円以下の部分に係る法人税率(19%)を15%に引き下げる措置を講じた。

2.中小企業投資促進税制【税制】

機械装置等を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置。なお、機械装置等のうち、生産性の向上に資する一定の設備を取得した場合には、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる。

3.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例制度【税制】

少額減価償却資産(取得価額30万円未満のもの)を取得した場合、年間300万円を限度に、全額損金算入することができる措置(従業員1,000人超の法人を除く)。

4.欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】

欠損金の繰越控除は、当期の事業年度に生じた欠損金を繰り越して翌期以降の事業年度の所得金額から控除することができる措置。平成28年度税制改正において、平成30年度から繰越期間を10年間(現行:9年)とすることとされた。また、欠損金の繰戻還付は、当期の事業年度に生じた欠損金を1年繰戻し、法人税額の還付を請求することができる措置。

5.商業・サービス業・農林水産業活性化税制【税制】

商業・サービス業等を営む中小企業が商工会議所等の経営改善指導に基づき設備を取得した場合、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置。

6.交際費等の損金不算入の特例【税制】

交際費等を支出した場合、〔1〕定額控除限度額(800万円)までの損金算入、〔2〕支出した接待飲食費の50%までの損金算入を選択適用できる措置。

7.中小企業投資育成株式会社による支援

中小企業投資育成株式会社において、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施した。

第3節 取引価格の適正化、消費税転嫁対策

1.下請等中小企業の取引条件の改善

下請等中小企業の取引条件改善に幅広く取り組むため、平成27年12月に下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議(以下「連絡会議」という)を設置した。連絡会議設置以降、大企業・中小企業双方に対する大規模な調査・きめ細かなヒアリングを行ったところ、金型の保管コストの押しつけや手形払いといった様々な課題が明らかになったことから、平成28年9月15日には、対策パッケージとして「未来志向型の取引慣行に向けて」を公表した。これに基づき、平成28年12月14日、下請中小企業振興法(以下「下請振興法」という。)に基づく振興基準、下請代金の支払に関する通達を見直すとともに、公正取引委員会による下請代金支払遅延等防止法(以下「下請代金法」という。)に関する運用基準の改正に協力し、関係法令の運用を強化した。また、基準等改正を踏まえ、産業界では7業種12団体で自主行動計画を策定することとした。さらに、下請適正取引等の推進のためのガイドライン(以下「下請ガイドライン」という。)を改訂し、親事業者と下請事業者の連携・協力に係るベストプラクティスを追加した。

2.下請代金法の運用強化【28年度予算:9.9億円の内数】

平成28年12月14日、下請代金の支払手段に関する通達を改正するとともに、公正取引委員会による下請代金法に関する運用基準の改正に協力し、法令の運用を強化した。改正した運用基準については、同日に改正した下請振興法に関する振興基準、下請代金の支払手段に関する通達とあわせて、業界団体約870団体(平成28年12月20日付)・親事業者約21万社(平成29年1月6日付)に対して、経済産業省、公正取引委員会の連名で、今般の改正内容の周知徹底、法令遵守に向けた社内体制の整備等を指導するよう要請した。

下請取引の適正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請代金法を執行した。公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施するとともに、下請代金法違反事実に関する情報提供・申告等を行うための「申告情報受付窓口」により、下請代金法違反に関する情報収集を行い、下請代金法の厳格な運用に努めた。さらに、11月に実施する「下請取引適正化推進月間」においては、特別事情聴取を実施し、下請代金法の厳格な運用を図った。

3.相談体制の強化と下請取引適正化【28年度予算:9.9億円の内数】

全国48か所に設置した「下請かけこみ寺」において、中小企業等の企業間取引に関する相談に対応した。また、下請代金法等の違反行為を未然に防止するため、親事業者の調達担当者等を対象とした講習会を開催し、一層の周知を図るほか、全国で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請代金法等の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催した。さらに、下請ガイドラインについて、全国で説明会を開催した。

4.下請中小企業・小規模事業者の自立化支援【28年度予算:9.9億円の内数】

下請振興法に基づき、特定の親事業者への取引依存度の高い下請中小企業・小規模事業者が連携して課題解決型ビジネスを行う事業計画の認定を行い、補助金、融資、保証の特例により支援を実施した。また、親事業者の生産拠点が閉鎖又は縮小(予定も含む)された地域における下請中小企業・小規模事業者が行う新分野進出等に対し、補助金により支援を実施した。

5.下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【28年度予算:9.9億円の内数】

新たな取引先を開拓したい下請中小企業・小規模事業者に対して、「ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)」の運用により、自社の希望する業種、設備、技術等の条件に合った製造委託等の受発注情報の提供を行った。平成29年3月末現在の登録企業数は○○○社である。また、新たな販路開拓を支援するため、広域商談会を8会場で開催した。

6.下請事業者への配慮要請等【28年度予算:9.9億円の内数】

平成28年12月14日、下請振興法に基づく振興基準を改正した。改正した振興基準については、同日に改正された下請代金法に関する運用基準、下請代金の支払手段に関する通達とあわせて、業界団体約870団体(平成28年12月20日付)・親事業者約21万社(平成29年1月6日付)に対して、経済産業省、公正取引委員会の連名で、今般の改正内容の周知徹底、法令遵守に向けた社内体制の整備等を指導するよう要請した。

また、平成28年12月20日、こうした下請取引の適正化に積極的に取り組む親事業者たる中小企業等の資金繰りに重大な支障が出ないよう、窓口における親身な対応、適時適切な貸出等に努めるよう、政府系金融機関に配慮を要請した。

7.価格交渉サポート事業等【27年度補正予算:4.0億円の内数】

下請等中小企業の経営者や営業担当者が、親事業者の調達部門への価格交渉を行う上で必要な価格交渉ノウハウについて、事例集やハンドブックを作成するとともに、個別指導やセミナー開催等による広報を行った。また、下請ガイドライン作成業種ごとに、同ガイドラインのフォローアップや浸透に向けた取組の強化等を行った。

8.消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【28年度予算:32.1億円】

消費税の円滑かつ適正な転嫁を行うため、全国に転嫁対策調査官を配置した。併せて、消費税の転嫁拒否等の行為に関する情報を収集するため、公正取引委員会と合同で中小企業・小規模事業者全体に対して大規模な書面調査を実施するなど、転嫁拒否行為等の監視・取締りを行った。

第4節 消費税軽減税率対策

1.中小の小売事業者等に対するレジの導入・システム改修等支援【27年度予備費:995.8億円】

消費税軽減税率制度の実施に当たり混乱が生じないよう、事業者の準備が円滑に進むように支援を行った。具体的には、〔1〕中小小売事業者等に対して、複数税率に対応したレジの導入等の支援を行うとともに、〔2〕複数税率への対応ができない電子的な受発注システムを用いている中小小売事業者・卸売事業者等に対して、システム改修の支援を行った。

2.消費税軽減税率対応窓口相談等事業【27年度補正予算:170億円】

消費税軽減税率制度を円滑に実施するため、中小企業団体等と連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や巡回指導型専門家派遣を通じたきめ細かいサポート、パンフレット等による周知等を行った。また、消費税転嫁対策窓口相談等も併せて実施した。

第5節 経営安定対策

1.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【中小機構交付金の内数】

中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権の回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度である。平成28年12月末現在で42.5万社が在籍しており、平成28年4月から平成28年12月末までの新規加入者、新規貸付金額はそれぞれ、3.8万社、43.2億円に上った。

2.経営安定特別相談事業【28年度予算:0.37億円】

経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に「経営安定特別相談室」が設置されている。本相談室において経営安定に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等を支援した。

3.中小企業BCP(事業継続計画)普及の促進

中小企業・小規模事事者におけるBCPの策定・運用を支援し、さらなる普及・定着を図るため、平成26年度補正予算で措置された「中小企業・小規模事者事業継続力強化支援事業」を引き続き実施し、中小企業・小規模事業者のBCP策定・運用等の支援を行った。また、普及支援体制の充実を図るため、

中小企業関係団体等が実施する支援担当者向けBCP研修・セミナーを支援した。さらに、中小企業・小規模事業者自らが策定したBCPに基づき防災施設等の整備を行う者に対して、日本公庫において低利融資を実施した。

4.ダンピング輸入品による被害の救済【28年度予算:0.5億円】

貿易救済措置のうちAD措置は、他国企業から我が国に対するダンピング輸入により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請を受けて政府が調査を実施した上で関税の賦課により、公正な市場競争環境を確保する措置である。平成27年度5月に開始した韓国及び中国産水酸化カリウムに対するAD調査について、平成28年度8月に調査を終了し、AD措置の発動を行った。また、平成28年度9月に開始した中国産高重合度ポリエチレンテレフタレートに対するAD調査についても、国際ルール及び国内法令に基づき公正且つ適切に進めている。また、WTO協定整合的に調査を行うための調査研究を実施した。

第6節 官公需対策

1.「平成28年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の策定及び周知徹底【28年度予算9.9億円の内数】

平成28年度の中小企業・小規模事業者向けの契約比率を55.1%と、引き続き新規中小企業者向け契約比率を平成27年度から平成29年度までの3年間で、26年度(推計1%程度)比で国等全体として概ね倍増の水準となるよう努めるとする、「平成28年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」(以下「基本方針」という。)を8月2日に閣議決定した。中小企業者の受注機会の増大のために実施する措置として、熊本地震の被災地中小企業・小規模事業者に対する配慮のほか、今後、中小企業庁が、契約の実績比率が大きく低下している機関等に対して、改善に向けた取組を聴取すること、地方公共団体の役務等の発注に際し、低入札価格調査制度等の適切な活用を促進すること等の措置を新たに盛り込んだ。

基本方針を周知徹底するために以下の取組を実施した。

(1)経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長(1,818団体)に対し、文書により「基本方針」の趣旨を説明するとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請した。

(2)地方における「基本方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を8月から9月にかけて50回開催した。

(3)地方において新規中小企業者からの調達を推進するための取組に関する情報の共有や連携方策を協議する会議(新規中小企業者調達推進協議会)を開催した。

(4)「官公需契約の手引」を作成し、国等の機関、地方公共団体等の機関及び商工関係団体等に配布した。

2.中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための「官公需情報ポータルサイト」【28年度予算:9.9億円の内数】

中小企業・小規模事業者が官公需に関する受発注情報を入手しやすくするため、国等や地方公共団体がホームページで提供している発注情報等を中小企業・小規模事業者が一括して入手できる「官公需情報ポータルサイト」を運営した。

第7節 人権啓発の推進

1.人権啓発【28年度予算:1.9億円】

中小企業・小規模事業者に対して、人権尊重の理念を広く普及させ、人権意識の涵養を図るため、セミナー等の啓発事業を実施した。また、小規模事業者等が多く、特に重点的な支援が必要な地域又は業種に係る小規模事業者等の活性化のため、経営等の巡回相談事業及び研修事業を実施した。

第8節 調査・広報の推進

1.中小企業白書/小規模企業白書の作成

中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(平成28年(2016年)版中小企業白書)を作成した。また、小規模企業の現状や課題を把握するため、小規模基本法第12条の規定に基づく年次報告等(平成28年(2016年)版小規模企業白書)を作成した。

2.施策の広報

中小企業施策を普及・広報するため、施策のポイントをまとめたガイドブックやチラシ等を作成し、各地方公共団体や中小企業支援機関、金融機関等に配付したほか、中小企業支援ポータルサイト「ミラサポ」を通じた情報発信やイベント「一日中小企業庁」の開催等により、広く普及・広報を実施した。

(1)冊子類の発行中小企業施策を利用する際の手引き書として200以上の施策を紹介した「中小企業施策利用ガイドブック」やチラシ等を作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関(商工会、商工会議所等)、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等に広く配布した。

(2)「一日中小企業庁」の開催開催地の都道府県と中小企業庁が共催し、地元中小企業者の方々に最新の施策を紹介し、理解を深めていただくとともに、意見交換や交流の場を設け、今後の中小企業施策の見直し・拡充等に反映させるイベントを開催した。

昭和39年度以来、毎年度開催しており、平成28年度は、福岡県において開催した。

(3)インターネットを活用した広報

〔1〕ホームページによる広報中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、広報のためのチラシ、冊子等を公表した。平成28年度は、年間約3,500万ページビューのアクセスがあった。

〔2〕メールマガジン各中小企業支援機関と連携し、元気な中小企業の紹介、施策情報、地域情報、調査・研究レポート等の情報をメールマガジン登録者に、毎週水曜日に配信した。メールマガジン登録者数は、約90,000件(平成28年12月末現在)。

(4)ミラサポ(中小企業・小規模事業者の未来をサポートするポータルサイト)ミラサポを通じて最新の支援情報や補助金申請のノウハウ、活用事例などを分かりやすくタイムリーに全国の中小企業に届けた。(会員数:117,000、ミラサポメルマガ登録数:約88,000 平成29年1月末現在)

3.中小企業実態基本調査

中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施した。

4.中小企業景況調査の公表中小企業の景気動向を把握するため、四半期ごとに中小機構が実施する中小企業景況調査の公表を行った。

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