平成28年度において講じた小規模企業施策

第2章 新陳代謝の促進

<小規模企業振興基本計画における目標(2)>

(2)新陳代謝の促進
-多様な人材・新たな人材の活用による事業の展開・創出-


小規模企業は、経営者・従業員の高齢化、後継者不足等により、廃業が増加する傾向にある。他方で、女性・若者・シニアなど多様な人材に対して、小規模企業は、様々な価値観に基づく多様な働き方を提供している。また、我が国全体としての雇用拡大にも貢献している。

多様な働き方を提供し、自己実現、社会貢献等の生きがいを生み出す小規模企業の起業・創業や第二創業を促進する。また、事業承継により、本来我が国経済社会にとって有用な経営資源の散逸を防ぎ、地域の経済社会の発展に結びつけていく。事業の継続が見込まれない場合には、事業の廃止を円滑化することで、その生活の安定や再チャレンジに向けた環境を整備する。さらに、小規模企業の人材確保・育成を強化し、多様で新たな人材がその能力を発揮できる環境を整備することにより、誰もが小規模企業で働きやすい地域社会の実現を目指す。

第1節 創業・第二創業支援

1.創業・第二創業促進補助金【28年度予算:8.5億円の内数】

地域で新需要を創造する新商品・サービスを提供する創業者の創業費用や、事業承継を契機に既存事業の全部又は一部を廃止し、新分野に挑戦する第二創業者に対し、創業費用に加え、廃業費用(法手続費用、在庫処分等)も支援した。また、産業競争力強化法における特定創業支援事業を行う創業支援事業者が、認定創業支援事業計画に基づき行う創業支援(創業者への継続的な経営指導、ビジネススキルアップ研修、コワーキングスペース運営事業等)や創業支援の質の向上を図る取組等を支援した。

2.創業支援事業者支援事業【28年度予算:8.5億円の内数】

産業競争力強化法における特定創業支援事業を行う創業支援事業者が、認定創業支援事業計画に基づき行う創業支援(創業者への継続的な経営指導、ビジネススキルアップ研修、コワーキングスペース運営事業等)や創業支援の質の向上を図る取組等を支援した。

3.新創業融資制度【財政投融資】

新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度。

4.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

多様な事業者による新規事業の創出を支援するため、女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に、日本公庫が優遇金利で融資する制度である。平成11年の制度創設から、平成28年12月末までに、149,581件、751億円の融資を実施している。

5.再挑戦資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本公庫が、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。

6.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度を実施した。

7.起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化

産業革新機構、日本政策投資銀行及び商工中金の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を促進した。

8.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る事業である。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数95件、出資約束総額1,609億円、累積投資先企業数2,439社に至った(平成28年3月末現在)。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数86件、出資約束総額5,288億円、累積投資先企業数987社に至った(平成28年3月末現在)。

9.グローバル・ベンチャー・エコシステム連携強化事業【28年度予算:4.1億円】

起業家や、大企業等で新事業開拓を担う社内起業家の候補等を、世界をリードするイノベーション先端地域であるシリコンバレー等に派遣して、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業目線の高い新事業を創出する人材の育成や現地関係者とのネットワーク形成等を図った。また、起業家やベンチャー支援人材、大企業等からなる「ベンチャー創造協議会」において、ビジネスマッチングの開催や広範なネットワーク形成の場を提供するとともに、イノベーションの創出に大きく貢献したベンチャー企業を称える「内閣総理大臣賞」の授与等を行い、新事業創出のための基盤形成を図った。

10.創業スクール事業【28年度予算:8.5億円の内数】

全国の支援機関が、創業スクールを開催してビジネスプランの作成まで指導し、創業までのフォローアップを行うとともに、受講生を対象としたビジネスプランコンテストの開催等を行った。

11.エンジェル税制【税制】

創業後間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、一定の要件を満たす中小企業に対して、個人投資家が投資を行った時点と、当該株式を譲渡した時点において所得税の優遇を受けることができる制度である。平成9年の制度創設から、平成29年1月末までに、703社に対し、約156億円の投資が行われた。

12.企業のベンチャー投資促進税制【税制】

企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。平成25年度の制度創設から平成29年1月末までに、6件のベンチャーファンドに係る投資計画を認定した。

13.経営革新支援事業

中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援した。(継続)

14.地域における創業支援体制の構築

中小企業の海外販路開拓の実現を図るため、複数の中小企業が協働し、自らが持つ素材や技術等の強み・弱みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外見本市への出展等の取組を支援する。

15.中小企業・小規模事業者経営力強化融資保証【28年度予算:16.0億円】【財政投融資】

認定支援機関の支援を前提とした、日本公庫による創業または経営多角化・事業転換等を行う中小企業・小規模事業者に対する低利融資(女性・若者・シニア創業者は基準金利-0.4%)等を整備することで、経営力の強化を図った。

16.地域経済循環創造事業交付金【28年度予算:26.1億円の内数】

産学金官の連携により、地域の資源と資金(地域金融機関の融資)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業の立ち上げを支援するため、民間事業者等が事業化段階で必要となる経費について、地方公共団体が助成を行う場合、その助成に要する経費の一部を交付する。

また、平成28年度より、地元高校生など地域の将来を担う若者のアイデアを活用した創業を支援する次世代コラボ創業支援事業を創設し、次世代が地域に愛着をもち、定着することを促進する。

17.女性起業家等支援ネットワーク構築事業【28年度予算:2.0億円の内数】

女性の起業を支援するため、地域の金融機関や産業・創業支援機関等を中心とした女性起業家等支援ネットワークを全国10箇所で形成した。また、各地域において、潜在起業希望者等に向けた起業の普及に関するイベントを開催するとともに、起業を志すあらゆる段階にいる女性や、事業成長に課題を抱える創業間もない女性起業家を確実にフォローできる体制をネットワーク内に構築し、既存の起業家支援施策への橋渡し等、女性のニーズに応じたきめ細やかな支援を実施した。

18.生涯現役起業支援助成金【28年度予算:8.7億円】

中高年齢者の雇用機会の創出を図り、生涯現役社会の実現を推進するため、中高年齢者が起業を行う際に必要となる、募集・採用や教育訓練にかかる経費の一部を助成した。

第2節 事業承継支援

1.事業引継ぎ支援事業【28年度予算:58.4億円の内数】

各都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ支援センター」において、後継者不在に悩む中小企業・小規模事業者に対して、事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、M&A等によるマッチング支援を実施した。

平成28年4月~12月の間に、4,688件の相談に対応し、311件成約した。

2.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度(事業承継税制)【税制】

事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。平成21年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、平成28年12月末までに、相続税に係る認定を1,054件、贈与税に係る認定を686件実施した。

3.小規模企業共済制度

小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。平成28年12月末現在で131.5万人が在籍しており、平成28年4月から12月までの新規加入者は7.2万人に上った。

4.経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法には、遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、平成28年12月末までに、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を135件実施した。

5.事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金の内数】

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするため、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラム等による中小企業経営者等への普及啓発を実施した。

第3節 資金繰り支援、事業再生支援

1.セーフティネット貸付【財政投融資】

セーフティネット貸付のうち経営環境変化対応資金は、社会的、経済的環境の変化の影響等により、一時的に売上高や利益が減少している等の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対して、7億2,000万円(日本公庫(中小企業事業)、商工中金)、4,800万円(日本公庫(国民生活事業))の範囲内で融資を実施するものである。平成28年度補正予算では世界経済の不安定性などのリスクに備える中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援するため厳しい業況にある中で認定支援機関等の経営支援を受ける場合や雇用の維持・増加の取組みを行う場合に金利の優遇措置を行った。平成28年度の貸付実績は、約11万件、約2.0兆円となった(平成28年12月末時点)。

2.小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【28年度予算:39.8億円】【財政投融資】

小規模事業者を金融面から支援するため、商工会、商工会議所、都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本公庫が無担保・無保証・低利で融資を行った。(平成28年度の実績は、36,863件、2,187億円(平成29年1月末時点)。)

3.小規模事業者経営発達支援融資事業【28年度予算:0.2億円】【財政投融資】

事業の持続的発展に取り組む小規模事業者を支援するため、経営発達支援計画の認定を受けた商工会・商工会議所による経営指導を受ける小規模事業者に対し、日本公庫が低利で融資を行った。(平成28年度の実績は、205件、19.7億円(平成29年1月末)。)

4.資本性劣後ローンの推進【28年度予算:158.0億円の内数】【財政投融資】

資本性劣後ローンとは、中小企業・小規模事業者に対して、リスクの高い長期・一括償還の資金(資本性資金)を供給し、財務基盤を強化することで、民間からの協調融資を呼び込み、中小企業・小規模事業者の資金繰りを安定化する日本公庫の融資制度である。平成28年度の貸付実績は、約900件、約514億円となった(平成29年1月末時点)。

(注)期限一括償還型の貸付であって、融資を受けた中小企業・小規模事業者が法的倒産となった場合に貸付金の償還順位を他の債権に劣後させる制度。毎期の決算の成功度合いに応じて金利を変更する等の制度設計とすることにより、当該劣後ローンは、金融検査上自己資本とみなすことが可能となっている。

5.(再掲)中小企業・小規模事業者経営力強化融資保証【28年度予算:16.0億円】【財政投融資】

認定支援機関の支援を前提とした、日本公庫による創業または経営多角化・事業転換等を行う中小企業・小規模事業者に対する低利融資等を整備することで、経営力の強化を図った。

6.借換保証の推進【28年度補正予算:125.0億円】

信用保証協会が、複数の借入債務を一本化し、足下の返済負担の軽減を図るための借換保証を推進。平成28年度(平成28年12月末まで)の保証承諾実績は、133,276件、約2兆5,600億円となった。

また、経営者に事業改善の意欲があるにもかかわらず、返済条件を緩和の実施によりため前向きな金融支援を受けることが困難な中小企業者等を支援するため、条件変更改善型借換保証を創設した。

7.セーフティネット保証

取引先の倒産、自然災害、取引金融機関の経営合理化等により経営の安定に支障を生じている中小企業者等に信用保証協会が一般の保証枠とは別枠での保証を実施した(原則100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。

平成28年度は、熊本地震(4号)、三菱自動車工業(株)による不正行為に伴う生産活動の制限(2号)等により発動されている。

また、セーフティネット保証5号は、引き続き最近3か月間の月平均売上高等が前年同期比で一定割合以上減少等の基準を満たす業種を指定した。

平成28年度(平成28年12月末まで)の保証承諾実績は、21,696件、4,699億円となった。

8.信用保証協会による経営支援【平成28年度予算:12.0億円】

信用保証協会の利用者又は利用予定している創業(予定)者、経営改善等に取り組む中小企業・小規模事業者に対して信用保証協会が地域金融機関と連携して、専門家派遣をはじめとした経営支援を実施し、資金繰り支援と一体となった支援を実施した。

平成28年度(平成28年12月末まで)は、約13,000回の専門家派遣を実施している。

9.認定支援機関による経営改善計画策定支援事業

自らでは経営改善計画の策定ができない中小企業・小規模事業者等に対して、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく認定支援機関(税理士、弁護士、金融機関等)による経営改善計画策定支援や当該計画に係るフォローアップに要する費用の一部を負担(2/3)した。平成28年12月末における相談件数は6,467件、新規受付件数は1,772件となり、制度発足時(平成25年3月)から平成28年12月末までの実績は、相談件数38,543件、新規受付件数は12,769件となった。

10.中小企業再生支援協議会【28年度予算:58.4億円の内数】

各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業再生支援協議会において、収益性のある事業を有しているが、財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者に対し、窓口相談による課題解決に向けたアドバイスや、関係金融機関等との調整も含めた再生計画の策定支援を行った。平成28年4月から12月末までの実績は、相談件数1,204件、再生計画の策定完了件数567件となり、制度発足時から平成28年12月末までの実績は、相談件数38,170件、再生計画の策定完了件数11,618件となった。

11.中小企業承継事業再生計画(第二会社方式)

産業競争力強化法に基づき、中小企業承継事業再生計画の認定を行い、その計画に従った事業の承継を行う場合に、許認可承継の特例措置及び金融支援を実施した。計画認定件数は平成28年12月末までの実績は3件、産業活力再生特別措置法に基づき措置された制度創設時(平成21年6月)から合計すると39件となった。

12.中小企業再生ファンド

再生に取り組む中小企業の再生計画上、資金繰り支援、経営支援や必要な資金供給等を実施するため、中小機構と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、地域内の中小企業の再生を支援する地域型ファンドや広域的に中小企業の再生を支援する全国型ファンドの組成・活用を促進する取組を行った。平成28年12月末までに48件のファンドが創設され、ファンドの総額は約1,503億円に上った。また、当該再生ファンドによる投資実績は平成28年12月末までに397社、約811億円に上った。

13.「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進等【28年度予算:1億円】

平成25年12月5日に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進を図るため、平成25年度に中小機構地域本部等に設置した相談窓口と、ガイドラインの利用を希望する方への専門家派遣窓口について、引き続き実施した。また、平成25年度に拡充・創設した公的金融機関における経営者保証によらない融資・保証制度について、一層の推進を図るため、制度の改正を行った。加えて、中小企業・小規模事業者等に対してダイレクトメールやSNS等によるガイドラインの広報を行った。

14.金融行政における小規模事業者に対する経営支援の強化等

金融行政方針に基づき、金融機関に対し、担保・保証に依存する融資姿勢を改め、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適切に評価(事業性評価)し、融資や本業支援等を通じて、地域産業・企業の生産性向上や円滑な新陳代謝の促進を図るよう促した。

15.低保険料率の農林水産業関係法人向け貿易保険の新設

保険料率が低く、中小企業が利用しやすい「中小企業輸出代金保険」の対象を農林水産業関係法人等に拡大。(「中小企業・農林水産業輸出代金保険」を新設)。

16.沖縄の中小企業金融対策【財政投融資】

沖縄振興開発金融公庫を活用した沖縄の中小企業対策は、日本公庫が行う業務・取組について、同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度の拡充を実施した。

17.「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用

中小企業の経営状況の明確化、経営者自身による事業の説明能力の向上、資金調達力の強化を促す観点から、「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用を推進した。その普及策として、平成28年度においても、「中小企業の会計に関する基本要領」を会計ルールとして採用する中小企業・小規模事業者に対して、信用保証料率を0.1%割り引く制度を実施した。

第4節 人材・雇用対策

1.中小企業・小規模事業者人材対策支援事業【28年度予算:18.1億円】

経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者の人材の確保を支援することを目的に、地域特性に合わせ、各地の中小企業・小規模事業者が必要とする人材を地域内外から発掘し、紹介、定着などを支援した。また、中小サービス業・ものづくり現場の中核を担う人材や、小規模事業者を支援する人材を育成することを目的に、マッチングや実地研修の組成、外部講習受講の支援を行った。

2.中小企業大学校における人材育成事業【中小機構交付金の内数】

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業支援人材の能力向上のための研修を実施するとともに、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修を実施した。

3.ふるさとプロデューサー育成支援事業【28年度予算:10.0億円の内数】

地域の関係者を巻き込み、地域資源を活かした魅力ある産品を「地域ブランド化」し、海外市場を見据えて販路開拓を行う取組の中心的担い手となることができる人材育成の取組を支援した。

4.労働者の雇用維持対策【28年度予算:82.6億円】

景気の変動等に伴う経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給した。また、本助成金については、不正受給防止対策にも積極的に取り組んでおり、不正受給を行った事業主名等の公表、実地調査の実施等、本助成金のより一層の適正な支給に努めた。

5.魅力ある雇用創出に向けた雇用管理の改善の支援【28年度予算:61.0億円】

職場定着支援助成金において、企業の雇用管理改善の取組を支援し、魅力ある雇用創出を図るため、中小労確法に基づき各都道府県知事に改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等)が労働環境向上事業を行った場合に助成を行った。また、中小企業・小規模事業者等が就業規則・労働協約等を変更し、雇用管理制度を新たに導入した場合及び従業員の離職率を低下させた場合や、介護福祉機器を導入等した場合に助成を行った。また、当該コースの中に、賃金制度の整備を通じて従業員の離職率の低下を図る介護事業主及び保育事業主を支援する介護労働者雇用管理制度助成(平成28年4月)及び保育労働者雇用管理制度助成(平成28年10月)を創設した。

6.人材不足分野における人材確保のための雇用管理改善促進事業【28年度予算:8.8億円】

人材不足分野の事業を営む事業主が、人材確保のために従業員の処遇や職場環境の改善などの雇用管理改善を行う場合に、雇用管理制度の導入支援等を実施し、「魅力ある職場づくり」を支援した。

〔1〕モデル調査コース

事業主が取り組むべき雇用管理の内容が明確となっていない分野を対象として、雇用管理上の課題を抱える事業主に対し、その課題の解消に資する様々な雇用管理制度をモデル的に導入・運用するためのきめ細かなコンサルティングを実施した。

〔2〕啓発実践コース

人材不足分野のうち、介護分野や建設分野について、雇用管理改善の実践段階に課題を抱える事業主に対し相談支援を行い、業界ぐるみでの雇用管理改善の実践や、雇用管理改善に積極的に取り組む事業主を中心とした地域ネットワーク・コミュニティによる地域ぐるみでの雇用管理改善の実践を促進した。

7.地域雇用開発奨励金【28年度予算:33.2億円】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域求職者を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発奨励金を支給した。

8.戦略産業雇用創造プロジェクト【28年度予算:99.4億円】

良質かつ安定的な雇用機会の創出に向けた取組を推進するため、製造業などの戦略産業を対象として、産業施策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創造プロジェクトを支援する戦略産業雇用創造プロジェクトを実施した。

9.雇用促進税制の延長【税制】

平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間内に始まる各事業年度において、一定の要件を満たした法人で、雇用機会が不足している地域(地域雇用開発促進法に基づく同意雇用開発促進地域)において、質の高い雇用(無期雇用かつフルタイム)を創出させた場合、その増加雇用者一人当たり40万円の税額控除を行うことができる施策を実施した。

10.失業なき労働移動の促進【28年度予算:132.0億円】

労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等に対して、その再就職を実現するための支援を民間職業紹介事業者に委託等して行う事業主に対して助成を行った。

また、労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金)により、再就職援助計画等の対象者を離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れた場合や、雇入れ後、当該労働者に対し訓練を行った場合に助成を行った。

さらに、労働移動支援助成金(キャリア希望実現支援助成金)により、65歳を超えても安定的な雇用機会を得ることができるよう、生涯現役企業(65歳を超えて継続雇用が可能な企業)が自発的にキャリアチェンジを希望する労働者を移籍により受け入れた場合や、移籍等により労働者を受入れた事業主がその労働者に対して訓練を実施した場合に助成を行った。

11.福祉人材確保重点プロジェクト【28年度予算:16.8億円】

福祉(介護・医療・保育)分野におけるサービスを担う質の高い人材の安定的な確保のため、全国の主要なハローワークに設置する「福祉人材コーナー」を中心に、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施した。

12.若者応援宣言事業の促進【28年度予算:7.2億円の内数】

若者の採用・育成に積極的で、企業情報当を積極的に公表する中小企業については、「若者応援宣言企業」として情報発信の後押しを行った。

13.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【28年度予算:7.2億円の内数】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援した。

14.3年以内既卒者等採用定着奨励金【28年度予算:5.1億円】

既卒者や中退者の新規学卒枠での応募機会の拡大及び定着・促進を図るため、既卒者等が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を新たに行い、一定期間定着させた事業主に対して「三年以内既卒者等採用定着奨励金」を支給した。

15.最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【28年度予算:11.0億円】

最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕経営改善と労働条件管理の相談等にワンストップで対応するため、「最低賃金総合相談支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施する。

〔2〕全国規模の業種別中小企業団体を対象として、賃金の引上げに向けた販路拡大等のための市場調査や新たなビジネスモデル開発等、生産性向上のための取組に要した経費を助成(上限2,000万円)する。

〔3〕全国47都道府県の中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内の時間給1,000円未満の労働者の賃金を60円以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成(助成率1/2、企業規模30人以下の小規模事業者は3/4)する。

なお、平成28年度第2次補正予算以降、〔2〕ついて対象を都道府県規模の中小企業団体に拡充し、〔3〕について助成コース、助成率等の拡充を行った。(継続)

16.キャリアコンサルティングの普及促進

民間職業紹介・就職支援機関や企業の人事管理・人材育成部門、学校におけるキャリア教育などにおいて、キャリアコンサルティング(労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと。)の活用について普及促進を進めている。平成28年4月には、キャリアコンサルティングを行う専門家として「キャリアコンサルタント」を国家資格化するとともに、企業等に対しては、労働者のキャリア形成における「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職等の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組みである「セルフ・キャリアドック」の導入を推進している。

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